<全国高校サッカー選手権:前橋育英3-1東福岡>◇11日◇準決勝◇国立
前橋育英のFW佐藤耕太(3年)が「赤い要塞(ようさい)」を破った。無失点で勝ち上がってきた堅守の東福岡に前半はシュート0。0-1のハーフタイム、山田耕介監督は「距離感を意識して一瞬の隙を突け」と指示を出した。
佐藤は前半を終え、相手DF大坪のキックモーションが大きいと肌で感じていた。後半3分。左サイドで大坪が蹴る瞬間に体を寄せ狙い通りにボール奪取。そのままゴール前に持ち出し左足でネットを揺らした。直後の後半9分にはペナルティーアーク付近から右足を振りゴール右隅に芸術的なミドル弾。チームを「新国立初勝利」に導き、佐藤は「一瞬の隙を突けた。1点取って相手が崩れたのが大きかった。2点目は練習でも決めたことがないコースで自分でもびっくり。国立1勝目に貢献できて良かった」と笑みをこぼした。
今大会4得点のオノノジュとはライバル関係だ。高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区で、オノノジュは10得点で得点王。佐藤は9得点だった。練習から、オノノジュに「僕はプレミア10点、佐藤は何点?」といじられ、今大会も「自分は4点」といじられてきた。佐藤は「刺激にはなります。オノノジュが点を取るとうれしい気持ち半面、悔しい気持ちだった」。この日はオノノジュは無得点で佐藤は「逆にこっちが(2得点と)言ってやりたい」といたずらっぽく笑った。
ライバルだが、チームに貢献する気持ちは変わらない。佐藤の今大会3点目をアシストしたオノノジュは「ここまで来たら、もう、決めてくださいって感じ。日本一がかかっているんで。僕らが決めたら勝てる。チームとしては、どっちが決めてもいいから点がほしいので」と強調する。今大会はオノノジュが4得点、佐藤が3得点。両エースの得点王争いが、前橋育英の7大会ぶり優勝へとつながる。【岩田千代巳】
○…とどめの3点目は、後半開始から投入された2年生MF白井だった。161センチと小柄ながら、スピードあるドリブルで相手を翻弄(ほんろう)。2-1の後半13分、自陣でボールを拾うと約40メートルをドリブルで持ち上がり、FWオノノジュを経由し3得点目を決めた。国立を大いにわかせて「自分のドリブルで歓声がわいて楽しい。得点はずっと狙っていた。国立で決められてうれしい」。