新人王は譲らない! 阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24=NTT西日本)が10日、都内のホテルでNPB新人選手研修会に参加。中日ドラフト1位の金丸夢斗投手(21=関大)に対抗心を燃やした。
今季目標に掲げる新人王の最大のライバルになりうる金丸は同じ即戦力左腕で、1年目から1軍で投げ合う可能性も十分ある。この日は講師役を務めた虎OBの鳥谷敬氏(43)から金言もゲット。決意新たに、弱肉強食の世界に飛び込む。
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新人研修を終えた直後、報道陣から「金丸」の名をぶつけられた。伊原は表情一つ変えることなく印象を語った。「もちろん、いいライバルになる存在。僕としても成長し合える選手だと思います」。淡々とした口調がむしろ、内に秘めた対抗心を際立たせた。
即戦力左腕の自覚は十分。今季目指すタイトルは新人王に違いない。そして、目標達成へ最大のライバルになり得る存在が金丸だ。昨秋のドラフトでは4球団が1位指名した逸材。伊原には金丸のくじを外した阪神から1位指名された事実もあるが、プロの世界で負けるつもりは毛頭ない。
大商大時代に金丸と対戦した経験がある。「当時も真っすぐがすごかった。(金丸から)吸収できるものはたくさんあると当時から思っていた」。そうリスペクトした上で、冷静に自分の足もとを見つめる。「あまり意識しすぎるのも良くないかなと思うので、とにかく自分のやるべきことをしっかりやりたい」。地に足をつけて、己のやるべき練習に集中する。
この日は午前中に「野球殿堂博物館」を見学し、午後からは講義を受講。講師役を務めた阪神OBの鳥谷敬氏からは時間の使い方についてヒントをもらった。「もし明日野球人生が終わるってなったらみんな必死でやると思う。それぐらい1日を大事にしてほしい」-。プロ野球歴代2位の1939試合連続出場を誇る「鉄人」の金言に、虎の後輩として感銘を受けた。「息の長い選手になるためには、その日その日が勝負。特に練習以外の時間の使い方が大事だなと思いました」。長寿を目指し、1日も無駄にしないつもりだ。
この日は審判2人を含む計123人が研修に参加。初めて同期入団選手が一堂に会した場を味わい、世代を引っ張る覚悟が湧いた。「(プロに)入れなかった人もいる。入った人がいい刺激を送り合えれば、これからの野球界につながる」。世代屈指の存在へ、まずは新人王をつかみ取る。【山崎健太】