全国高校サッカー選手権は11日、東京・国立競技場で準決勝2試合が行われる。初出場で勝ち上がった東海大相模(神奈川)は、優勝実績のある強豪・流通経済柏(千葉)と対戦する。破壊力満点の相手に加え、大観衆の国立という洗礼も受ける。浮足立つことも想定される中、怖がらず相模らしいパスサッカーで勝負を挑む。もう1試合は、東福岡-前橋育英(群馬)の伝統校同士が激突する。
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夢舞台を翌日に控え、東海大相模のメンバーの表情はすこぶる明るかった。相模原市内の天然芝ピッチでの最終調整。冬晴れのもと約1時間半、気負いはなく笑顔も随所に見えた。攻守において強度が高い相手を意識したメニュー。勝負に関わるポイントを全員で頭にすり込み共有した。
初出場で国立ピッチに立つ。有馬信二監督は「試合の入りの15分が大事になってくる」。準々決勝で流通経大柏が上田西(長野)から8ゴールを奪った試合は衝撃的だった。「警戒すべき点はもう全部。2トップは速いし、ロングパスも飛んでくる。寄せが甘いとミドルゾーンからすごいシュートも飛んでくる」。浮足立てば、相手の思うツボ。国立の雰囲気にのまれずにどれだけ地に足を付けて戦えるかが、勝利への第1歩となってくる。
良薬、口に苦し。昨夏の全国高校総体3回戦で帝京長岡(新潟)に0-4と完敗した。強度の高さに苦しみ、開始早々に失点。さらに前半の飲水タイムに入る前に追加点を奪われた。「あの敗北があったから」。FW沖本陸、MF長井隆之介主将(ともに3年)ら誰もが口にする。相手にのまれた経験が生きている。練習から強度を上げ、プレー基準を1段階も2段階も上げた。強度の高い相手から逃げない-。それが奏功し今回の快進撃の礎となる。
舞台が国立であろうと、相模は相模らしくが信条だ。長井主将は「チームのパスサッカーは崩したくない。(相手の)強度が高く簡単にボールを前に送ってくる。その強度にビビって自分たちも蹴ったら勝ち目はない。どこまでパスをつなげるかがキーになる」。ミドルゾーンでのボール奪取、少ないタッチ数のパスで相手守備網をかいくぐり、素早くゴール前へと進入する。磨き上げた相模スタイルで、格上プレミアリーグ所属の強豪から番狂わせを狙う。【佐藤隆志】
◆初出場4強 今大会の東海大相模(神奈川)は18年度の瀬戸内(広島)以来6大会ぶりで、首都圏開催となった76年度以降では9校目。過去8校のうち優勝が2校、準優勝が3校と計5校が決勝に進出している。初出場で決勝進出は最終的に優勝した09年度の山梨学院大付が最後となっている。神奈川県勢の過去最高成績は準優勝で、50年度の小田原、96年度の桐光学園が記録。関東勢では唯一、優勝がない。ちなみに、96年度の桐光学園はMF中村俊輔が活躍したが、決勝でFW北島秀朗を擁する市船橋に1-2で敗れた。