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【ドラフト連載】健大高崎・佐藤龍月「プロ行きたい」から手術決断 未来信じてくれた人のために


佐藤龍月投手(2年)は、昨年のセンバツで優勝し、一躍注目を浴びた健大高崎高校の左腕投手です。しかし、左肘の負傷に伴い、一時的にリハビリを余儀なくされています。痛みの原因はスライダーにあると指摘され、自らも認識していた佐藤は、トミー・ジョン手術を受ける決断をしました。プロでの活躍を目指して、甲子園優勝後には体重を12キロ増量し、トレーニングに励んでいます。右腕でも80メートルの遠投が可能で、左腕の投球スタイルを一新する計画です。仲間や家族の温かい励ましを胸に、彼は未来のプロ野球界での活躍を夢見ています。

佐藤龍月(2024年5月21日撮影)

<高校生編>

未来のスターを要チェック!全3回の新春ドラフト候補企画第1弾は、高校生編。昨春センバツの優勝投手で健大高崎(群馬)の左腕、佐藤龍月投手(2年)は「高卒でプロ」が目標も、今は懸命なリハビリの道中だ。

   ◇   ◇   ◇

健大高崎・佐藤は人の顔を覚えるのが得意だ。中学時代に全国屈指のマンモス校で磨いた目はだてじゃない。だから、誰にそう言われたかもなんとなく覚えている。「あの投げ方じゃ、ケガするよね」。そんなこと、自分が一番知っていた。「スライダーで肘に負荷がかかるのが原因でもあったので」。インステップからの強烈なスライダーで上級生をきりきり舞いさせ、昨年2年生ながらセンバツ優勝投手になった。左肘痛はその後、顕著になる。チームを夏の群馬大会Vに導くのが限界だった。

「実家に帰ってテレビで甲子園を見て、そこにいたはずの自分がいなくて」。悔しさを振り切り、8月30日にトミー・ジョン手術を受けた。プロでも1軍復帰まで1年半はかかることが多い。高校生なら当然、最後の夏から逆算する。その答えが現実だ。でも「高卒でプロに行きたい。それも早めの手術を決断した理由の1つです」。

長く活躍したい。繰り返せない。体を変えた。甲子園Vの春から12キロ増量し、現在は体重80キロ。年末の沖縄・石垣島キャンプでは「暑くて汗かけます。体重増えたのでちょうどいいです」としっかり走り込んだ。

150キロ台中盤を誇るチームメートの石垣元気投手(2年)は、球速依存から脱皮中。佐藤もスライダー投手から卒業する。「別人のようなスタイルを」と、同じ左腕のカブス今永を到達地に見据える。実は右投げでも遠投80メートル。投げたい思いを封印して右手にグラブをはめる。

「あの投げ方じゃ…」を華麗に聞き流し、17歳の胸にしみいったのは「早く投げてる姿を見たい、って仲間たちや家族が言ってくれて。未来を見てくれる言葉が本当にうれしかったです」。明るい未来を信じてくれた顔は、絶対に忘れない。【金子真仁】

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