海外FA権を行使して広島からオリックスに移籍した九里亜蓮投手(33)が25日、「由伸超え」を宣言した。
大阪市内で入団会見。2年契約を結んだタフネス右腕は、移籍1年目の目標に「200イニング」を掲げた。昨季までリーグ3連覇の大黒柱だったドジャース山本由伸も未達成の記録。大幅にキャリアハイを更新して、チーム2年ぶりVの使者になる。
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目標の数字を聞かれた九里は、迷うことなく口にした。「イニングを投げることに強くこだわりを持っている。なかなか200イニング投げる投手は少なくなってるので、目標としてやっていきたい」。投手分業制が確立された00年以降、オリックスで到達したのは05年JPと10、13年金子の2人だけ。3年連続投手4冠を成し遂げたドジャース山本も21年の193回2/3が最多だった。仮に1年間ローテを守って25試合先発した場合、平均8回が必要。かなりの高いハードルだ。
九里は今季まで8年連続110回以上。昨季23年にはセ最多174回1/3を投げた。そんなタフネスは「球数に関しては苦じゃない。最少失点で投げていくのが大切」ときっぱり。イニング数へのこだわりは、先発ローテに定着しつつあった3、4年目から持ち始めた。その証しである「信頼される投手に」との思いは、新天地でも変わらない。
200イニングへの準備として、来年2月の春季キャンプでは従来通り投げ込みを重視する。「僕の持論ですけど、ブルペンと試合の疲労度はまったく違うので」。ブルペンで追い込むことで、実戦での投げる体力を養うつもり。今オフは「新しいトレーニングも入れながら」とウオーターバッグを導入したトレーニングで故障知らずの体を作り上げている段階だ。
ファンにはプレゼントとなった“クリ”スマス会見。オリックスの球団カラーを意識した紺色のネクタイ姿で臨んだ。「奥さんにコーディネートしてもらいました」。関西に縁があるとされる家族の後押しも受けて大阪行きを決断した。「赤のユニホームから紺に変わるので、似合ってると言われるよう頑張りたい。熱い男として見られるように」。闘魂スタイルでパの強打者を退け、イニングを食っていく。【大池和幸】
◆年間200イニング オリックスでは13年金子の223回1/3(29試合)が最後。90年代以前は先発完投が多く、阪急時代には梶本隆夫、米田哲也、山田久志、今井雄太郎らが達成。2リーグ制以降では球団通算で21人がのべ75度記録している。パ・リーグ全体では14年楽天則本の202回2/3が最後。セでは18年巨人菅野の202回が最後となっている。
▽オリックス福良GM ゲームメークできるし、イニングを投げられるのはわかっている。1年間しっかりローテを守って、うちの若い先発投手を引っ張っていってもらえたら。向上心も持っていて、研究熱心でもあるし、若手にはいい見本にはなる。