阪神藤川球児監督(44)が厳しい指令を発した。1、2軍ともに沖縄で行う来春のキャンプについて「こちらの希望としては、キャンプインの時には全選手が戦える状態、スタメンで出られるようなポテンシャルに仕上げてもらいたい。(監督)任期の間は常にそう思い続けようと思う」と断言。ベテランや実績組の危機感を強くあおった。
岡田前監督の方針から大きく変わる。これまでは、希望したベテラン選手は2軍スタートを選べるなど、マイペース調整が許されていた。だが藤川監督は「そう思いたいですけど(シーズンで)勝っていないわけですから」と、どこまでもシビア。抑えの岩崎ら蓄積疲労を考慮すべき主力選手は対象外としたが、その他の選手に甘えは許さない。口ぶりからは主に野手を念頭を置いているようだ。
「若い選手が今、必死にやっていますから。紅白戦やオープン戦で若い選手が打てば打つほど(ほかの選手の)出番はなくなっていく。それが競争。僕が監督になった以上は、勝負はそういうものだと思うので」
秋季キャンプ、オフ期間の状況をまとめた上で、例年通り1月中に行われるスタッフ会議でコーチの意見を聞きながら1、2軍の振り分けを決める。「選手の自由に任せる」とマイペース調整を選ぶのはいいが、自動的に働き場所が用意されている選手はほぼいないことを示唆した。誰であっても、競争のテーブルに1度は乗せられる。
「イスは少ないですよ、ということですよね。野手は特に、ポジションが少ないから競争は激しくなる。どんな選手も簡単にベンチには入れないと思います」と重ねて強調した。2・1キャンプインまで1カ月と少し。火の玉ガチンコバトルは、年の瀬から事実上始まっている。【柏原誠】
<阪神藤川新監督就任後の主なコメント>
◆ベテランにゲキ(10月15日、新監督就任会見で)「ベテランで、ただ空気が良いだけでは、必要ない。必要なのは力。プレーヤー個人の力がなくてベテランは、僕は必要ないです」
◆秋季キャンプで5年ぶり実戦予告(同16日、週末に実施プラン明かす)「プロの素晴らしいプレーを見てほしいのもあって。子どもたちとかオフでも野球が見れる喜びも。制限はかかりますけど、ぜひ見てほしい」
◆選手と直接の会話を重視(同22日、甲子園での秋季練習初日で佐藤輝と会話)「技術のある選手が多いので、それを引き上げるのにも、まずは何を考えている、僕自身が分かる必要があると思うし、僕も分かってもらう必要があるし」
◆新人に金言(12月9日、新入団会見で)「素直であることが一番大事じゃないかな。9人もドラフトされれば、卑屈になるときも出てくるだろうし。それでは成長が止まってしまう」
◆メジャー志向に理解(同24日、佐藤輝や才木らが将来的なメジャー志望公表に)「どんどん高い目標をつくらないと伸びていけない。チャレンジすることが日々の努力に変わると思う。その発想自体は大事なこと。彼らの気持ちは間違っていない。理解できます」