阪神梅野隆太郎捕手(33)が22日、盟友との対決に闘志を燃やした。今オフ、ソフトバンクから甲斐拓也捕手(32)が巨人にFA移籍。21年東京五輪では同じポジションで共闘した縁深い後輩だ。これまでは交流戦のみの対決だったが、来季からは「伝統の一戦」で相まみえる。1学年下の好敵手をリスペクトしつつ、負けない覚悟を力強く宣言した。この日はファンクラブイベント「クリスマスパーティー」に岩崎優投手(33)と参加した。
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梅野の言葉の端々から、尊敬の念がにじみ出た。ソフトバンクから巨人にFA移籍した甲斐は23年WBCの世界一捕手でもある。1学年後輩の実力はもちろん認めている。だからといって、「伝統の一戦」では1歩も引かないつもりだ。
「勝負師としてキャッチャーとして、すごくいい性格。負けん気の強さというかね。個人としてもチームとしても負けないように」
福岡大時代からソフトバンク3軍との交流試合などで接点があった。プロ入り後も21年東京五輪では共闘。期間中は協力しながら寝る間も惜しんで相手国を研究し、濃密な時間を金メダル獲得につなげた。「密にやる時間は多かった」と梅野。努力や取り組みを間近で見てきたからこそ分かる、すごみがある。
「ここという勝負どころでの送球の強さとかは、すごく引かれるものがある。そういうところで負けないようにね」
今季、甲斐が封じた盗塁数は25。20個以上は18年から7年連続だが、梅野が特に認めるのは数字よりも捕手としての直感だ。「『ここでこれをするか』というのがキャッチャーの一番の醍醐味(だいごみ)」。肩の強さはもちろんのこと、嗅覚や度胸も捕手として重要な要素。総合力で真っ向から立ち向かう。
これまで直接対決は交流戦のみだった。来季からは同じセ・リーグで頭脳戦を繰り広げる。しかも相手は今季あと1歩でリーグ優勝をさらわれた巨人。いやが応でも意識は高まる。
「(甲斐)拓也が加入することでチームとしてもガラッと変わる。大きい存在になると思う。今年ジャイアンツは優勝してるから、なおさら乗り越えないといけない壁。やるしかない」
V奪還を掲げる25年。虎の扇の要として「伝統の一戦」の白星は譲らない。【波部俊之介】