アビスパ福岡は16日、パワハラ解任歴がある金明輝新監督(43)の来季就任会見を行った。同席した川森敬史会長は、監督就任に至った経緯を説明した。
金氏の就任報道に際しては、福岡最大のサポーター団体「ウルトラオブリ」が公式X(旧ツイッター)で「後任監督人事の報道について」と題して、クラブに異例とも言える猛抗議に踏み切るなど、反発の声があがっていた。川森会長は「ネガティブなコメントが目立ったが、予想はしていた」と告白した。
声は届いていたと言うが、反省の姿勢や、関係者へのヒアリング、指導実績などから変更はしなかったという。「新監督就任の際に選考プロセスと理由を説明し、理解いただくように取り組もうと考えていた」と弁明した。
パワハラ行為について「過去の行いは容認されるものではない。過去の事実は変えることはできない」としつつ、「熟慮した上での決定。声を真摯(しんし)に受け止め、これからの取り組みで信頼を回復していく。行動で示して理解をいただく」と述べた。
さらに「監督自身が過去を反省し、努力を重ねている。過去の間違いを乗り越える過程も、子どもたちに大切な学びや刺激になると信じている。サッカーを通じて、チーム全体が新たなことに挑戦して、子どもたちに何かを感じてもらうことも大切」と明かした。
会見は当初予定になかった「ライブ配信」も実施。柳田伸明強化部長らも同席し、サポーターらの批判を受ける中での就任経緯、今後のクラブの方向性などを説明した。
金氏を巡っては、Jリーグから21年12月、選手やスタッフへの暴力行為や暴言など行き過ぎたパワーハラスメント行為があったと認定され、翌22年1月にサガン鳥栖監督を契約解除された。
指導者ライセンス階級がSからAに降格された後、社会奉仕活動への参加などを経て22年からゼルビア町田FCのヘッドコーチに就任。翌23年のJ1昇格に貢献し、今季も一時は首位を走ったチームを支えた。その間、異例のS級ライセンス再取得。2年ぶりに監督資格を取り戻していた。
その後「監督即復帰」が鳥栖に近い隣県の福岡となったこともファンの心情を逆なですることになり、賛否両論、物議を醸すドタバタ劇となっていた。