明治安田J1で3位フィニッシュしたFC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)が12日、クラブ施設で会見し「エキサイティングなシーズンだった」と総括した。
初昇格1年目ながら前半戦でトップに立つなど、異端の挑戦者は話題となった。「出来過ぎと言いますか。こう何年かに渡って行うようなことをここ1、2年でだいぶ時間を巻いて走ってきました。最初のシーズンで不具合のようなことはたくさんありましたけど、その中で黒田監督を中心に選手がまとまって戦ってくれた」と現場スタッフ、選手をたたえた。
黒田監督就任1年目となった昨季はJ2を独走して優勝。「J2で優勝して昇格してきたフットボールがどのくらいJ1で達成できるのか、通じるのかっていうのを目標としてきた、そういった部分ではブレずにやってきた」。
しかしJ1となれば、そうは問屋が卸さない。「J2では対策されてもそれを上回る力があったように感じたが、J1になるとやはり個々のレベルが高いという印象があった。こういう消し方をしてくるんだということも」。
相手からの対策されても、自分たちのサッカーは曲げなかった。それについては「あまり(こちらも)対策をやり過ぎると、何が通用して何が間違いだったのかっていうことが(分からなくなる)。来季につながらないということを(黒田監督が)おっしゃっていた。基本を貫くと選手たちにもよく言っていた」。
9月、10月で5試合勝ち星なし(2分け3敗)となった低調期が影響した。ただ優勝した神戸、2位の広島との差も実感した。
「神戸さん、広島さんは本当にすべての面で充実していたなっていう印象はありましたね。いい目標ができました。1年でこう充実してきたチームではないので、やっぱり監督さんの継続性、選手も著しく変わらずに2、3年しっかり戦い抜いている。もっと選手間の理解度っていうか、そういうところを深化っていうか、お互いに切磋琢磨(せっさたくま)してという意味ではたくましい」
なお今季のチームMVPについて尋ねられると、林、下田、中島、昌子、谷らの名前を挙げた。その上で「誰かをこう選手をあげちゃったりしたらよくないんだろうけど、変わらずにこう支えてくれたという印象はありました」。
選手層の厚さ、底上げは来季への課題となってくる。今夏には相馬勇紀、中山雄太ら現役日本代表選手の補強を敢行した。それでも「(神戸、広島と比較すると)11人の先発メンバーまでは負けていないけれど、13番目まで行ったらちょっと落ちるかな、15番目まで行ったらもっと落ちるな、って」。最終節の鹿島戦終了後に、藤田晋社長が来季は大型補強を少し控え、今季戦ったメンバーから大枠は変えない考えを示唆した。
原FDもそこに同調した上で「(選手の)少ないポジションでピンポイントで補強していく。(今いるメンバーの)集団としての深化を進めたい」と骨格についての構想を語った。選手の数も今シーズン当初は40人近くもいたが、マネジメントも考慮すれば30人ほどで収める方向のようだ。
今季の3位が単年で終わらないよう、来季以降も上位定着がテーマとなってくる。「みなさんの期待値も高くなってくる。継続していく作業は難しいと思うけど、そうなれるようにスカッドも工夫していかないといけない」。
マークが厳しくなってくる来年に向け、あらためて挑戦していく思いを口にしていた。