<明治安田J1:札幌1-0柏>◇最終節◇8日◇プレド
北海道コンサドーレ札幌は柏レイソルとの今季最終戦を1-0の完封勝利で締めた。今季限りで退任するペトロビッチ監督(67)のラストマッチを白星で飾った。前半5分にMF近藤友喜(23)のゴールで先制し、1点リードを守り切った。最終的に9勝10分け19敗のJ1・19位でフィニッシュ。来季9年ぶりにJ2に降格するが、90分で「ミシャサッカー」の集大成を見せた。
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「ミシャ」コールと拍手が響く会場で、ペトロビッチ監督は札幌での最後の仕事を終えた。試合後のセレモニーでは18年就任からの7シーズンを振り返る動画が上映され「心打たれ、感情を揺さぶられている」と感激。「31年間監督として仕事をしているが、この7年間が私にとって一番の素晴らしい時間だった。みなさんの存在は一生忘れることができない大切な宝物」と感謝した。
前半5分に駒井、浅野、鈴木とパスで相手を崩してゴールに迫り、近藤のフィニッシュ。指揮官が初年度から掲げた、見る人を魅了する「札幌らしい」と言われるようになったサッカーを体現した。「この7年間、我々がずっとやり続けた攻撃的なサッカーの一部が、今日の得点という形で生まれた」と喜んだ。
リーグ歴代最多のJ1通算594戦目で外国人監督として歴代最多の247勝目を挙げ、フィナーレを迎えた。泣いても笑っても最後の90分。戦いを終えると「久しぶりにさわやかな気持ちになった。勝てた瞬間は力みがすっと抜けた気持ちだった」。やり切った。
近年は結果が出ずに悩み、ストレスで胃を痛めて野菜スープを食べて過ごすなど、苦しい時間が長かった。それでもこの1カ月ほどは、練習で選手のウオーミングアップ中に自身もピッチの端をウオーキングしたり、ストレッチして、健康に気をつけ、最後の瞬間まで力を出し切る覚悟がみなぎっていた。21年1月の帰国中に転倒で左大腿(だいたい)骨を折って、キャンプのスタートに合流できなくても、リハビリで驚異の回復力を見せて開幕に間に合わせた。7シーズン、札幌の全公式戦で必ず采配を振った。
もうテクニカルエリアから時々はみ出して注意を受けながら、ピッチの選手に指示を出す姿は見られない。「我々を支えてくれた人たちのために勝って、最後は喜んで終わって欲しい思いがあった」。札幌歴代最長シーズンを率いた名将の戦いが終わった。【保坂果那】