国内フリーエージェント(FA)権を行使した阪神大山悠輔内野手(29)が21日、神戸市内で「タイガース杯ゴルフ」に参加し、悩める胸中を明かした。FA宣言を表明した13日以来、8日ぶりとなる報道陣対応。「自問自答しながら毎日いる」と現状を表現した。すでに巨人が獲得に乗り出しており、阪神との争奪戦が激化中。決断のタイミングはまだ先になりそうだ。
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大山は自ら報道陣のもとに歩み寄った。気の置けない仲間たちとのゴルフを終えた直後。注目を浴びている立場を理解した上で、丁寧に言葉を選び続けた。
「今は何もお話できることはないので。決断した時にしっかり自分の口から報告するので」
開口一番、まだ何も決まっていない現状を穏やかな表情で強調した。13日に国内FA権の行使を表明。前代未聞のTG争奪戦に突入したことで、報道は過熱する一方だ。毎日のように臆測も飛び交う中、本人はどこまでも冷静だった。
「自分自身、自問自答しながら毎日いるので。ゴルフをしている時はちょっと忘れることができたので、すごく楽しかったです」
18ホールを回っている最中は同組の近本、木浪、中野と笑顔で談笑。つかの間の気分転換を楽しんだ。
この日は交渉の過程や決断のタイミングについては「お話しすることはない」「今はお答えできない」と話すにとどめた。一方で、他球団との交渉解禁日となった15日から7日目。全力で慰留を続ける阪神とはもちろん、獲得に乗り出している巨人ともすでに交渉に入っているとみられる。
両球団ともに5年超の大型契約を準備しているもようだが、大山は金銭面だけを判断基準にしているわけではない。野球人生の岐路。引き続き慎重に熟考を重ね、後悔のない決断を導き出す考えだ。
今後は23日のファン感謝デーにも参加する。ただ、「何かを発表するつもりか」と問われると「そこで決断がどうのこうのではない」と明確に否定した。
「どういう決断をするにしろ、今年1年間、僕個人もそうですし、チームを応援してくれたことには変わりない。感謝の気持ちをまずは伝えたい。確かにFA宣言をしてる身ではありますけど、そことはまた別のところで僕はしっかりやりたいと思っているので。そこは一緒にしてもらいたくないなと思います」
残留か移籍か。決断は急がない。