FC東京は19日、オーストラリア人のピーター・クラモフスキー監督(46)が今季限りで退任することを決め、発表した。後任に、アルビレックス新潟を今年のYBCルヴァン杯で準優勝に導いた松橋力蔵監督(56)らをリストアップ。今後、国内外の複数候補から絞り込んでいく。東京は今季ここまでリーグ戦で14勝9分け13敗の8位。4年連続の無冠が確定していた。23年途中に就任したクラモフスキー監督は1年半で去り、新体制で再起を図る。
首都クラブが、かじを切った。来季こそ浮上へ、クラモフスキー監督との契約を今季限りとし、新指揮官を招く。同監督は昨季途中の6月に就任。アルベル前監督が成績不振で解任された後を任されたが、昨季は11位と引き上げられず、今季もここまで8位。中位から抜け出せなかった。クラブは後任について「決まり次第」としたが、複数関係者の話を総合すると、新潟の松橋監督ら国内外から候補をリストアップ。動向を注視し、絞り込んでいる。
松橋監督は、古巣である横浜F・マリノスの下部組織でユースのコーチや監督を歴任。17年から横浜のトップチームコーチに転じ、翌18年から現在、プレミアリーグのトットナムを率いるポステコグルー監督を支えてきた。
21年に当時J2だった新潟へ。アルベル監督の下でコーチを務めた後、同監督の後任として22年から監督に昇格した。
育成に定評があり、選手に技術を磨かせ、後方からつなぐ美しいパスサッカーを新潟に植え付けた。「相手のプレスは技術ではがす」が選手の合言葉。監督初年度の22年にJ2優勝で6季ぶりのJ1復帰を果たすとともに、今夏パリ五輪の日本代表として活躍したMF三戸舜介(現スパルタ)や、A代表デビューしたMF伊藤涼太郎(現シントトロイデン)らを養成した。
今季はルヴァン杯で決勝に進出。クラブ初タイトルに王手をかけ、名古屋グランパスと歴史に残る好勝負を繰り広げた末に、準優勝に導いた。東京にはMF俵積田ら有望な若手が多く、指導力に期待されてリスト入りした。
新潟では3年目。今季限りで退任し、新たな挑戦をしたい意向を固めているという。現在は残留を争うリーグ戦に集中しており、東京も、シーズン終了後を見据えて選定を本格化する。
◆松橋力蔵(まつはし・りきぞう)1968年(昭43)8月22日生まれ、東京都出身。千葉・市原緑高-日産自動車-横浜-京都-ジヤトコ。02、03年はジヤトコのコーチ、04~20年は横浜でユースのコーチ、監督、トップチームのヘッドコーチを歴任。15年にS級(現プロ)ライセンスを取得。21年1月に新潟のコーチへ転身。22年に監督。昨季J1は10位。選手時代はJ通算44試合3得点。JFL通算79試合15得点など。