<東都大学野球:東洋大19-2東農大>◇1、2部入れ替え戦◇最終日◇17日◇神宮
2部優勝の東洋大が、1部6位の東農大に2連勝で3季ぶりの1部復帰を決めた。
17-2で迎えた8回、1死。代打に主将の嶋村知浩内野手(4年=栄北)が告げられると、東洋大ベンチが一気に沸いた。「後輩が点差を広げてくれたので、もう自分は大きいのを狙おうと思いました」。仲間の声援を受けて、向かった打席。カウント2-2から真っすぐを振り抜くと、打球はレフトスタンドへ吸い込まれた。チームメートたちもベンチから飛び出し、ガッツポーズでジャンプ。喜びを表現した。大きな拍手に迎えられてベンチに戻ると、井上大監督(51)とガッチリ握手を交わした。
今秋、リーグ戦では下級生にポジションを奪われ、代打で2打席に立ったが無安打。それでも決して下を向かず、主将としてベンチでチームメートを鼓舞し続けてきた。井上監督も「ずっと試合に使われない。その思いを晴らしましたね」と、笑顔で嶋村を見つめた。
昨秋、1部6位で入れ替え戦に臨み、駒大に敗れて2部に降格した。新チームの主将に就任し、当時の4年生から1部昇格を託された嶋村は、チームの立て直しに取り組んだ。それぞれの役割を明確にし、今何をすべきかを選手が考え、練習を重ねた。「プレッシャーがあった中で、最後1部に上がれた。今は、安心しています」とホッとした表情を浮かべた。
大差の中での本塁打にも、優勝したかのように喜ぶチームメートの姿に、嶋村への信頼度が伺える。「あんな歓声の中で野球ができてすごい幸せです」。今までやってきたことは間違いじゃなかった。主将がチームに示した最高の1本が、今年の東洋大を表していた。【保坂淑子】