ソフトバンク甲斐拓也捕手(32)が、12日までに今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使する意向を固めたことが分かった。期日の最終日となるきょう13日に申請書類を球団に提出する予定。日本代表経験も豊富で、名実ともに球界を代表する捕手だけに、FA権行使なら争奪戦へ発展する可能性は高い。球団は、複数年契約など好条件を提示して全力で慰留に努める。
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FA市場の目玉がついに宣言する。甲斐は12日までに国内FA権を行使する意思を固めた。この日「明日、球団に行ってお話しします」と明かした。11日にみずほペイペイドームで自主トレをした際は「最後までいろいろと、しっかり考えたいなと思います」と語っており、熟考を重ねた上で決断した。期日最終日のきょう13日に球団事務所へ出向き、申請書類を提出する予定だ。
言わずと知れた球界屈指の捕手。楊志館(大分)から10年育成ドラフト6位で入団。13年オフに支配下昇格を果たし、14年に1軍デビュー。扇の要として長年チームを支え、今季も119試合に出場した。絶対的な正捕手として存在感を示し、リーグトップのチーム防御率2・53の投手陣をけん引。2年ぶり7度目のゴールデン・グラブ賞も獲得した。打っては打率2割5分6厘、5本塁打、43打点をマーク。さらに得点圏打率2割9分8厘とレギュラー定着後、最も勝負強さを発揮した。4年ぶりのリーグ優勝に欠かせない存在だった。
21年の東京五輪、23年のWBCでは世界一に貢献するなど、日本代表での経験、実績も十分で、当然のように他球団からも高評価を受ける。今オフのFA市場の目玉として注目を集め、権利行使なら他球団との争奪戦へ発展する可能性が極めて高い。すでに巨人が興味を示しており、獲得調査を進めている。
今オフは甲斐と同じ育成出身の石川がFA権の行使を表明済み。14日に石川、甲斐と「FA宣言選手」として公示される見込みで、翌15日から争奪戦が始まる。ホークスにとって主力の“ダブル流出”の危機だが、宣言残留を認める球団は複数年契約などの好条件を提示し、全力で慰留に努める。
◆ソフトバンク捕手事情 今季は甲斐が119試合(うち先発102試合)に出場し、絶対的な正捕手として存在感を示した。他に海野が自己最多の51試合(同38試合)に出場し、今シーズンから捕手一本に挑戦した谷川原は4試合(同3試合)、経験豊富な嶺井は4試合(先発なし)だった。谷川原は2軍戦では74試合に出場するなど経験を積んだ。長打力が持ち味の渡辺陸もおり、もし“甲斐流出”となれば、若手を中心に激しい正捕手争いになりそうだ。
◆甲斐拓也(かい・たくや)1992年(平4)11月5日生まれ、大分県出身。楊志館から10年育成ドラフト6位でソフトバンク入団。13年オフに支配下へ昇格した。強肩で知られ、18年広島との日本シリーズでは6盗塁刺を記録し「甲斐キャノン」と異名を取る。19年の11本塁打は、育成ドラフト入団選手初の2桁弾。20年には、球団の大先輩、野村克也の背番号19を受け継いだ。170センチ、87キロ。右投げ右打ち。