<全国高校サッカー選手権大阪大会:阪南大高5-0履正社>◇決勝◇9日◇ヤンマースタジアム長居
阪南大高のエースFW硲冬真(はざま・とうま、3年)が、2ゴール1アシストの活躍で5-0勝利をもたらした。
阪南大高は後半13分にMF福本一太(いった、3年)のゴールで先制すると、同19分にはカウンターのチャンス硲のラストパスからMF岡田翔太郎(2年)が決めて追加点。同26分には、MF瀬尾優斗(2年)の左CKから硲が頭で3点目を決め、同35分に瀬尾、同39分に硲がドリブルからネットを揺らした。
年末から行われる全国大会は、最前線で抜群の存在感を示した硲にとって、念願の舞台となる。
中心的な存在でありながら、優勝候補だった大津(熊本)を破ったインターハイではプレーできなかった。大阪大会決勝の興国戦で、相手と交錯して一発退場。悪意はなかったが、球際での争いでスライディングした選手同士で接触し、レッドカードを掲示された。これにより2試合の出場停止が課された硲は、インターハイではメンバーに入ることができなかった。
この一連の出来事は硲に大きなダメージとなった。チームはインターハイで優勝候補の大津(熊本)を破る活躍もしたが「そこに自分がいない悔しさもあった」。そんな硲を復活に向かわせたのが、両親の存在だった。「そんな仲良くしてる感じではなかった」と話す通り、それまでは照れくささもあって親密さを出すような関係ではなかったというが、退場劇から立ち直るまでは、寄り添ってくれた両親を頼り、甘えた。「あの時はだいぶ一緒にいてもらって、本当にずっと支えてくれました」。この日たくましいプレーで2ゴール1アシストを決めた背番号7は、父と母のおかげでつかんだ栄冠に笑顔を見せた。
スピードを生かした背後への抜け出しやシュート精度に自信を持つストライカーは、夏に出られなかった分、強い思いで大舞台に挑む。高校生活で自身初となる全国大会を前に「得点王になりたいです」と宣言。両親にささげるゴールを量産することを誓った。【永田淳】