DeNAが、日本シリーズでソフトバンクを4勝2敗で下し、26年ぶりの日本一を達成した。
貯金2でシーズン3位のチームが、貯金42のパ・リーグ覇者を破る「史上最大の下克上」。CS、日本シリーズと短期決戦を制した裏に隠されたのは、心優しき「ハマの番長」から「勝負の鬼」と化した三浦大輔監督(50)の「番長のゲキ」、自身の進退をかけた覚悟だった。
◇ ◇ ◇
日本一が決まった瞬間、三浦監督の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。CSファーストステージから勝ち上がり、監督就任4年目で悲願の日本一を達成。愛する横浜の地でファンに見守られ、5度宙に舞った。
「悔しさをバネに日本シリーズ優勝を目指して、1つになれた。全員がいっぱいいっぱいのところで最後までよく戦ってくれた」
振り返れば、前半戦最終戦だった7月21日のヤクルト戦、三浦監督が試合前のミーティングで語気を強めた。「CSの最終戦という位置付けで、チームとしてやっていこう」。対話を重視し、普段は温厚な「番長のゲキ」に周囲はピリつき、驚いた。
試合では坂本、京山を3連投で投入し、守護神森原を回またぎで起用。仮想CSで「勝負の鬼」と化したが、延長11回の末にサヨナラ負けした。当時はチーム内にも動揺が広がり、チームは9連敗も喫したが、秋のポストシーズンを見据えた「番長のミーティング」は、結果的に選手の心身を短期決戦に備えさせた。
自身の進退もかけ、覚悟のタクトを振った。7月20日のヤクルト戦から9連敗を喫し、首位とのゲーム差は0・5から一気に6・5差へ拡大。3位の背中も遠ざかる中、退路を断つように言った。
「結果が出ないのは、監督の責任やから。勝てなければ、その責任を取るのがプロの世界」
22年から複数年契約を結び、続投の可能性は高かったが、覚悟を示した。CSからは持ち味の強打に小技を絡めた「番長野球」で得点。投手陣はジャクソン、ケイを中4日でも起用し、短期決戦用の早めの継投で勝負をかけた。CSファイナルではセ・リーグ覇者の巨人、日本シリーズではソフトバンクに勝利し「下克上V」を成し遂げた。【久保賢吾】