がんばれ!!マチダくん!!阪神ドラフト4位指名のBC・埼玉、町田隼乙捕手(21=光明学園相模原)が30日、埼玉・入間市内で球団の指名あいさつを受けた。186センチ、88キロの大型捕手。「ミスタータイガース」と言われた田淵幸一氏(78)も同じくサイズだ。レジェンド級のスケールで未来のクリーンアップ&正捕手へ歩み始める。
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すらりと長い手足に、チャーミングな笑顔が光った。通算474本塁打を放った田淵氏と同じ身長と伝え聞くと「そうなんですか? ゲームで使わせてもらってます」と思わぬ名前に目を丸くした。滞空時間の長いきれいな放物線を描くアーチストとして甲子園を沸かせたレジェンド。町田もそのスケールはミスター級だ。
「自分の一番の持ち味であるバッティングを評価していただいてうれしかったです。キャッチャーを始めたときからバッティングが好き。打てる捕手を目指してやってきました」
プロの世界でも長所を存分に生かすつもりだ。BC・埼玉では1年目から正捕手を務め、今季は51試合の出場で打率3割2分3厘、5本塁打。高校時代から視線を送ってきた吉野担当スカウトは「打撃が一番魅力。ホームランも狙える」と高く評価した。
夢も膨らむ。阪神の現役野手では井上、佐藤輝に次ぐ、高身長となる。長身トリオでのクリーンアップも夢ではない。「2人の名前を聞くとやっぱり長打力が出てくる。まだまだ勝てるものではないですけど、その背中を追いかけていきたい」。グッと拳を握った。
長身の秘密は母の手作りおにぎりだった。背の順では「幼稚園くらいからずっと一番後ろ」。さらに白米好きも講じてみるみる身長が伸びた。「母に言って作ってもらって、弁当以外にもおにぎりを持って行ってました」。中学3年間で23センチもアップ。プロ入りの礎を築いた。
昨年から阪神の2軍キャンプにアルバイトとして参加。2年間ブルペンキャッチャーを経験した縁もある。梅野、坂本に加え、栄枝、中川らも猛アピールを続けている中、強肩強打を武器に割って入る。「これからもう少し体を大きくして、力強さを売り出していけたらと思います」。成長途中の21歳。甲子園で放物線を描く日を夢見てプロの世界に飛び込む。【村松万里子】
◆町田隼乙(まちだ・はやと)2003年(平15)4月3日生まれ、神奈川県出身。小学3年時、「秦野ドリームス」で野球を始める。大根中時代は「平塚ボーイズ」に所属。光明相模原では甲子園出場なし。22年からBC・埼玉に所属。遠投110メートル、二塁送球は最速1・81~1・82秒。広角に打つことのできるパワーと技術が売り物。186センチ、88キロ。右投げ右打ち。
◆がんばれ!!タブチくん!! 阪神の主砲、田淵幸一捕手をモデルにした、いしいひさいち著のギャグ漫画。締まりのない言動を続けながら憎まれないタブチ君のほか、チームメートのフルサワ投手(古沢憲司)やカケフ選手(掛布雅之)ら、実在の選手を模した人物が続々登場。さらにはヤクルトのヒロオカ監督(広岡達朗)やヤスダ投手(安田猛)らライバルたちも、個性あふれる言動で笑いを誘った。従来のスポ根とは全く異なり、新たに「野球ギャグ漫画」という分野を確立した記念碑的作品は、後の漫画界に大きな影響を与えた。