猛虎のサウスポー軍団に殴り込み! 阪神ドラフト1位指名のNTT西日本・伊原陵人(たかと)投手(24=大商大)が28日、三菱重工Eastとの練習試合で堂々の“虎デビュー”を飾った。京都・久御山町のNTT淀総合運動場でマウンドに上がり、ドラフト指名後初の実戦で1回2奪三振無失点と好投した。虎ではまず先発として期待されるが、安藤1軍投手チーフコーチが「力があれば全員左でもいい」と語るほど、先発左腕はすでに駒がそろっている。29日開幕の社会人日本選手権(京セラドーム大阪)で弾みをつけ、藤川新監督にアピールする。
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うなるような伊原の剛球に、乾いたミット音が響いた。4回に中継ぎ登板した三菱重工East戦。安打1本を許したが、2死から高めの直球で空振り三振を奪った。「今日はストレートを一番意識した。高めを振ってもらえたのは大きな収穫」。ドラフト後初の実戦で最速146キロ。直球に勢いがあった。1回1安打無失点2奪三振で堂々の“虎デビュー”を飾った。
藤川新監督は指名あいさつの際に「ドラフト1位といえば先発からスタート」と先発起用を明言している。ただ、12球団屈指の先発陣、とりわけ左腕の層は厚い。現状、3季ぶりの復活で今季4勝を挙げた高橋を筆頭に2年連続2桁勝利の大竹、復活を目指す伊藤将が中心となるだろう。ここに若い門別、及川、富田と先発候補たちの名前が次々と並ぶ。
安藤1軍投手チーフコーチは「力があれば全員左でも、もちろんいいと思う」と力説。先発枠の左右の配分に「左○枚」などのルールはない。「力が圧倒的にある方を使いますよ。(左右の)バランスを考えて力が劣る方を使うなんてことはないです。力がある方を使っていく、左が多くなってもね」。ドラ1左腕まで割って入れば、最強の左腕軍団を形成できる。
NTT西日本では先発に加え、中継ぎでもフル回転してきた。伸び盛りの24歳は「先発でも中継ぎでも抑えでもどこでもできることが強み」と言いつつ「与えられたところで、というのは思っています」。まずは指揮官の構想通り、先発でプロでの勝負をスタートさせるつもりだ。
11月1日には社会人野球日本選手権の初戦を迎える。地元・関西での開催。虎党からの注目度も高いだろう。開幕前日記者会見では「目標はもちろん日本一」と宣言。社会人NO・1の座を手土産に、タテジマに袖を通す。【村松万里子】