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【巨人】坂本勇人が激走から魂のヘッスラ 12年前、同じ東京ドームで潮目を変えたのも坂本だった


巨人対DeNA 7回裏巨人1死一、三塁、岸田のスクイズで生還する坂本。左は代打長野(撮影・たえ見朱実)

<セ・CSファイナルステージ:巨人4-1DeNA>◇第4戦◇19日◇東京ドーム

ヒーローなき1勝で巨人が息を吹き返した。

DeNAに3連敗を喫し、崖っぷちで迎えた「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第4戦。同点の7回1死一、三塁から、岸田のセーフティースクイズに、三塁走者の坂本勇人内野手(35)が激走。魂のヘッドスライディングで勝ち越した。さらに重盗を仕掛け、相手の適時失策を誘うなど6安打に一芸を惜しみなくちりばめて勝利をもぎ取った。前回日本一になった12年CSファイナルでの3連敗からの3連勝実現へ、流れを一気に引き戻した。

   ◇   ◇   ◇

視界の横から、その男は現れた。同点の7回1死一、三塁。岸田の初球スクイズに、三走の坂本がスタートを切った。打球を処理した投手・ジャクソンが本塁へトスも、捕手戸柱のミットをかわしてセーフ判定。ヘッドスライディングで、伸ばした左手でホームをタッチした。勝ち越し走者として生還した坂本は、ユニホームが土にまみれたまま、歓喜に沸くベンチでハイタッチを繰り返した。

坂本のバットから勝ち越しへのドラマが始まった。1死からこの試合2安打目となる左前打で出塁。続いた中山の右前打で、迷わずに三塁へ激走したときには「阿部野球」に心の準備は整っていた。

阿部監督の「もうもちろんね、逆転しなきゃいけないところだったし、思い切ってね。ドキドキしたよ、俺が」という心中とは裏腹に、グラウンドの選手が任務を遂行した。流れをつかんだ勝ち越し直後、代打・長野への初球で重盗を仕掛け二、三塁にチャンスが拡大。さらに長野が3球目を強振し、打球処理した一塁・オースティンの本塁悪送球を誘発した。負けたら終わりの一戦。一芸を惜しみなく発揮して次の塁を狙う「阿部野球」が、土壇場でさく裂した。

12年前、同じ東京ドームで潮目を変えたのも坂本だった。リーグ優勝して臨みながら中日に3連敗を喫したが、第4戦でV打を放ち、そこから3連勝して逆転突破(1勝のアドバンテージ含む)。日本一まで登り詰めた。前回のようなバットで奪った1点ではなく、今回は泥にまみれてもぎと取った1点だった。8回の守備に就くときには、まるで激走がなかったかのように、新しく着替えたユニホーム姿でグラブを手に取り、三塁ベースの横に向かった坂本。12年前の再現へ、泥にまみれた新風が東京ドームに吹き込み始めた。【栗田成芳】

▼巨人中山(7回1死一塁で右前打で好機を拡大)「あの場面で得点も絡んだので1本出せてほっとしています。勇人さんとかベテランの方がヘッドスライディングしていましたし、ホームでもヘッドスライディングする姿を見て、見習わなきゃいけないですし、もっと気持ちを前面に出してプレーしようという思いになれました」

◆12年巨人のCSファイナルステージ4戦目 巨人が中日に3-1で勝利して対戦成績を2勝3敗とした。後がない巨人は沢村、中日は川上が先発。0-0で迎えた3回裏、巨人は先頭の長野が内野安打で出塁すると、坂本、阿部の連打で2点を奪って先制。8回には1死一、二塁から阿部の適時安打で1点を加え試合を決定付けた。先発の沢村は7安打を浴びながらも6回無失点。2番手の山口が失点を許すも、マシソン、西村のリレーで締めた。

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