日本サッカー協会（JFA）は3日、パリ五輪の男子日本代表（U－23）メンバー18人を発表した。
最大3枠の行使を模索してきた24歳以上の特別枠オーバーエージ（OA）はゼロ。08年北京大会以来16年ぶりに活用できなかったが、会見した大岩剛監督（52）は「今がベスト」と選出可能な中では最強と強調。23歳以下の選手たちだけでも金メダルを狙う。背番号10はMF斉藤光毅（22＝ロンメル）に託された。17日（日本時間18日）にフランス代表と親善試合を行い、24日（同25日）に1次リーグ初戦のパラグアイ戦を迎える。
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読み上げられたメンバー18人に、やはり24歳以上の選手はいなかった。大岩監督は「OAも含めて、今、招集可能な選手たちを、ベストと思われる選手を招集したつもりでいます」。自身に言い聞かせるように、意図を説明した。
各クラブに選手派遣義務のない国際マッチデー外の五輪に、有力選手をそろえることができなかった。A代表主将のMF遠藤はリバプールに断られ、この世代の補強ポイントだったセンターバックも全滅。板倉、冨安らと候補に挙がり、最後まで残った町田も登録期限までに移籍が固まらなかった。指揮官は「OAがいる、いないは別として、日本代表の責任を持ってパリ五輪に向かっていきたい。その一心です。以上となります」と覚悟を示した。
23歳以下の進化に、懸ける。さまざまな障壁を「宿命」と受け止める。今回以上に、海外組を思うように招集できなかった4～5月のアジア最終予選兼U－23アジア杯では、一体感と勝負強さを発揮して優勝してみせた。「我々はチャンピオンになった自信と誇りを持ってパリに臨みたい。難しさはありますけど、力に変えて、前に進んでいきたい」と本大会を見据えた。
過去OAなしで挑んだ96年アトランタ大会と08年北京大会は1次リーグ敗退。いばらの道が待つ。一方で劇的に選手を伸ばす可能性もある。北京大会は3連敗ながら本田、長友、香川らが、後にビッグクラブへ羽ばたいた。もしOAがいれば選外になっていたはずの岡崎はプレミアリーグを制覇した。
既に6人の海外組がいるパリ世代も、同様の期待がかかるが、単なる経験で終わらせるつもりなど一切ない。「我々は経験を積みにパリ五輪に出場するわけではありません」と監督として言い切り「日本代表として、しっかりパリ五輪で金メダルを奪うという気持ち」と強い決意を表明した。
頂点への道筋を描いて2年半、活動してきた。「パリでファイナルに進む、これは日本サッカー界の悲願です。国民の皆さんと喜びを分かち合う瞬間を想像しながら1戦1戦、戦っていきたい」。16年ぶりの逆境も、選手と監督で国内タイトルを多数獲得してきた大岩監督の手腕が、真夏のパリで試される。【佐藤成】
○…U－23アジア杯の後、心身の消耗で完全休養していたMF山田（東京V）はバックアップメンバーに回った。6月の米国遠征で初招集のMF佐野（NEC）DF鈴木（磐田）GK佐々木（柏）の4人と有事に備える。また、今回もトレーニングパートナーとして28年ロサンゼルス五輪世代が同行する予定となった。山本NDは「選出はこれから」としながら「U－19を中心に5人を予定して準備を進めている」と明かした。
▽MF三戸（夢舞台に）「冬にスパルタへ移籍して、ヨーロッパで成長することの先にあったのもパリオリンピックでした。選んでいただいた以上は、結果も狙っていきたいと思います」
◆10代で五輪代表 最年少は19歳のDF高井。五輪出場に年齢制限が設けられた92年バルセロナ大会以降の、10代で五輪日本代表は10人目。DFでは08年北京五輪の吉田麻也（名古屋）以来となった。他には96年アトランタ五輪のDF松田直樹（横浜M）とMF中田英寿（平塚）、08年北京五輪のMF香川真司（C大阪）が10代で出場している。
