悲願成就へ最後のタクト＝名将ファンハール―Ｗ杯サッカー・オランダ

　試合終了の笛を聞くと、オランダのファンハール監督はスタッフ一人一人とがっちり握手を交わした。７１歳１０５日は、Ｗ杯監督歴代３位の年齢。名将最後の戦いは白星で始まった。 　大事な初戦でＧＫに代表戦出場経験のないノパートを抜てきした。「彼はボールを止められる。それを完璧にやってくれた」。２８歳は落ち着いたセーブを見せ、後半３９分に均衡を破った直後には２０３センチの長身を生かし、横っ飛びでシュートを防いだ。「２日前に言われたが、驚かなかった。普段からベストを尽くしてきたから」。歴戦の監督は選手を見る目も確かだ。 　アヤックスを欧州チャンピオンズリーグ制覇に導くなど黄金時代を築いた戦術家。バルセロナなどの名門クラブでも数々のタイトルを手にした。 　昨年８月に３度目の代表監督に就任すると、オランダの伝統とも言える攻撃的な４―３―３の布陣にメスを入れ、３バックに変えた。当初は国民から疑問の声も上がったが、これで就任以来国際Ａマッチで１６戦負けなし。結果で黙らせた。 　４月に前立腺がんで闘病中であることを明かし、今大会を最後に退任する。有終の美に向けてタクトを振る指揮官の思いを酌み、主将のファンダイクは「忘れられないＷ杯にする」と誓っている。　（ドーハ時事） 【時事通信社】 〔写真説明〕交代した選手をねぎらい笑顔を見せるオランダのファンハール監督＝２１日、ドーハ