国枝、窮地で示した意地＝１６歳の挑戦はねのける―楽天テニス

　国枝は新鋭の小田に追い込まれ、「いつかやられる日が来ると思っていた。きょうがその日かな」。何度もそう思ったというが、最終セットのタイブレークでミスを抑え、勝利をもぎ取った。「まだまだ、おじさんのパワーを見せるぞ」。１６歳の挑戦をはねのけた３８歳が、ほっとした表情を見せた。 　最終セット、ゲームカウント５―６で相手サーブの第１２ゲーム。連続ポイントを取られたら負けという状況から、見事なフォアのリターンエースを決めて巻き返した。窮地で示した王者の意地。諦めそうになるたびに「もう少しだけ勝たせてくれよ」と自らを奮い立たせ、ラケットを振った。 　国際テニス連盟（ＩＴＦ）公認の国際大会では、実に１６年間も日本選手に負けていない。その強さをまた一つ示した。 　有明のセンターコートには１万人近くが訪れ、車いすテニスとしては異例の大観衆に見守られた。母国開催の大舞台で金メダルを手にした昨年の東京パラリンピックに続き、「もう一つ、夢がかなった」。名勝負の余韻に浸り、感慨にふけった。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕試合後、握手する国枝慎吾（左）と小田凱人＝８日、東京・有明テニスの森公園