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横審委員の「お手本」=好角家としての田之助さん―沢村さん死去


 23日に死去した沢村田之助さんは好角家としても知られ、2003年から13年まで横綱審議委員を務めた。日本相撲協会にその屋台骨が揺らぐような大波が押し寄せた時期。単なる名誉職としてではなく、本来あるべき「ご意見番」からの直言が、一般ファンの耳にも届いた。  10年、横審は知人を暴行した朝青龍に「引退勧告」を決議。これに関連して田之助さんは、土俵上での「品格」こそが重要だと訴え、「わたしの若い頃には駄目押しも張り差しもあまりなかった。礼儀に失する」とたがを締めた。  白鵬が双葉山の69連勝に挑んだ際には、「双葉山を尊敬しているというのはいいこと」。連勝を伸ばすこと以上に、精神面を充実させることの意義を力説。その連勝は63で止まったが、田之助さんの言葉には、双葉山の土俵態度を知るからこその重みがあった。  さらに11年、八百長問題が発覚して春場所の中止が決まると、「番付編成のためだけでも、相撲を取った方がよかったのでは」。この問題とは無縁だった力士の立場に寄り添った。  元NHK会長で、相撲協会評議員会議長の海老沢勝二さんは、同じ時期に横審委員を務めた田之助さんを、「力士、特に横綱は、とにかく我慢強く礼儀正しく、という理想像をお持ちだった」と振り返る。「横審委員としても模範となるような方」との別れを惜しんだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕横綱審議委員会臨時会合に臨む沢村田之助さん(左)。右は鶴田卓彦委員長(当時)=2011年3月10日、東京・両国国技館
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