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ドイツ手本に指導体系化=もう「教え子」ではない―日本サッカー・育ての親(中)


 デットマール・クラマーさんの貢献が1968年メキシコ五輪の銅メダルと実ったが、日本サッカーは低迷期に陥る。手本とすべきは、トータルフットボールのオランダか、王国ブラジルか―。日本協会の強化指針は揺れた。
 転機は80年代の日本代表選手による西ドイツ留学。古河電工の選手だった日本協会の田嶋幸三会長もその一人で「選手をしている場合じゃない。早くここに来て勉強しないといけないと思った」。衝撃を受け、25歳で引退。再びドイツへ渡った。
 戦後のドイツで指導者養成の中心を担ったのがケルン体育大。54年ワールドカップ(W杯)スイス大会で西ドイツを初優勝に導いたゼップ・ヘルベルガーさんが創設に尽力。クラマーさんや、奥寺康彦氏を発掘したヘネス・バイスバイラーさんは教え子だ。田嶋氏も83年から約3年学んだ。
 ドイツの指導は、理論立てて教える一方で、選手の個性、能力に合わせる柔軟性もあった。「彼らが体系的にまとめたものは、日本人にとって非常に勉強しやすかった」。田嶋氏はドイツの制度を持ち帰り、S級ライセンスなど現在の指導者養成制度の土台をつくった。
 今の日本はどう映るか。ドイツ連盟で指導者養成などに関わり、講師を務めるため来日経験があるラルフ・ペーター氏は「もう日本を『教え子』とは表現できないと思う。素晴らしい発展を遂げている」と評す。2018年W杯ロシア大会でベルギーを苦しめた激戦を取り上げ、「ドイツにとっても日本は手ごわい」と語る。
 ペーター氏は「日本の指導者たちは規律正しく、学ぶ意欲がある。『何事もきっちり』という国民性から、個々の創造性が育ちにくいところがあったがオープンになってきた」と指摘。日本は森保一監督ら国産スタッフでW杯カタール大会に臨む。指導者の成長を示す舞台にもなる。
 ◇ラルフ・ペーター氏の略歴
 ラルフ・ペーター氏 ドイツ・サッカー連盟指導者養成インストラクター。ボルシアMGなどのコーチを経て、01年から同連盟所属。U17(17歳以下)女子代表監督を10年間務めるなど育成年代の指導と指導者養成の経験が豊富。ドイツ・ライネ出身。60歳。 (時事)
【時事通信社】
〔写真説明〕新設された「JFA夢FIELD」について記者会見し、記念撮影する(左から)元日本代表主将の長谷部誠、日本サッカー協会の田嶋幸三会長、日本代表の森保一監督=2018年12月、東京都文京区
〔写真説明〕ラルフ・ペーター氏(本人提供)
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