照ノ富士、気持ち崩れず＝復調へ「信じてやるだけ」―大相撲夏場所

　古傷を抱える膝などの状態が懸念される今場所。一人横綱の照ノ富士が難敵の高安を下し、２連敗は免れた。 　過去１１勝１２敗だった相手を先手で攻めた。右を差し勝つと、高安の上手を遠ざけながら、「慎重に前に圧力をかけていこうと思った」と振り返る。巻き替えを許したものの、構わずに出て、右からの小手投げでねじ伏せた。 　先場所は左膝などの負傷で途中休場。今場所に向けての合同稽古も、万全とは言えない内容だった。初日は大栄翔に一方的に攻め込まれ、横綱に昇進してからは初めての黒星スタートに。それでも、「いつも言っているが、その日の一番に集中する。終わったことは終わったこと」。多くの修羅場を乗り越えて番付の頂点を極めただけに、精神面で簡単に崩れることはない。 　「勝ったということで気持ちが楽になるんじゃないかな」とは八角理事長（元横綱北勝海）。ここからの復調に期待を寄せる。照ノ富士は「できることはやってきたので、信じてやるだけ」。その目は、いつも通りに力強かった。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕照ノ富士（右）は高安を小手投げで下す＝９日、東京・両国国技館