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高木美が金、夢体現=教科書書き換える滑り―女子1000メートル〔五輪・スピードスケート〕


 類いまれな才能が華やかに咲き誇った。スピードスケート女子の高木美帆選手(27)=日体大職=が1000メートルで金メダルに輝き、5種目に挑戦した北京五輪を最高の形で締めくくった。「体は結構限界だったが、無事に走り切れてよかった。金メダルを取れなくても悔いはないと思えるぐらいのレースができたことが、すごくうれしい」と納得の表情を浮かべた。  世界記録を持つ1500メートル、連覇を目指した団体追い抜きは期待通りのメダルの色ではなかった。それでも、開会式翌日の5日から17日まで計7レースを滑り、銀三つを含む計4個のメダルを獲得した。  スピードスケートで1大会に5種目出場した日本選手は、男女を通じて過去2人だけ。このうち、メダルを獲得できたのは、「五輪の申し子」と評された女子の橋本聖子さんが1992年アルベールビル大会の1500メートルで手に入れた銅だけだった。  大先輩が届かなかったところまで自身を高められた原点は、高校時代までの滑り込みにあると指摘するのは白幡圭史さん。日本スケート連盟のジュニア世代強化担当をしていた際、一緒にフォーム改善に取り組んだ一人だ。海外遠征に同行した当時を振り返り、「毎週のようにレースをしていた。毎週出るだけではなく、しっかりした成績を出す。そこが異次元」と言う。  本人も「昔からたくさん滑る機会があったことが幸運だった」と捉えている。その上で、代表から落選した2014年ソチ五輪後に出会ったスケート大国オランダ出身のコーチ、ヨハン・デビット氏らとともに励んだフィジカル強化によって滑りが進化。白幡さんは、「昔は下方向にバウンドするフォームだったが、現在ではジャンプするように羽ばたくスケーティングになった」とみる。  今の日本のエースを見て、「スケートの教科書は合っているのかな?」と言うのは、06年トリノ五輪で5種目に出た女子の田畑真紀さん。1000メートルから5000メートルの個人4種目に加えて団体追い抜きに臨み、あまりの過酷さから、最後の5000メートルは棄権することを相談したそうだ。  飛躍する後輩の姿に、「美帆さんが教科書を書き直している」と田畑さん。速くなるために己を磨き上げた結果、常識を覆すような領域に入った。高木美は「最後まで滑り切ること、最初の一歩をしっかり決めることだけを、ずっと考えていた」。希代のオールラウンダーだからこそ、なし得た離れ業だった。(時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕スピードスケート女子1000メートルで金メダルを獲得した高木美帆=17日、北京 〔写真説明〕スピードスケート女子1000メートルで金メダルを獲得し、コーチのヨハン・デビット氏(右)と日の丸を掲げる高木美帆=17日、北京
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