西地区1位の長崎ヴェルカと西地区3位の琉球ゴールデンキングスによるBリーグチャンピオンシップ(CS)ファイナルは、第2戦を終えて1勝1敗のタイとなった。今シーズンの王者が決まる第3戦は、26日の19時5分ティップオフとなる。
第3戦に勝利すれば、チーム創設6年にして初の王者となる長崎。鍵を握るのは、司令塔の熊谷航だ。今季のCSではここまで全6試合に先発出場し、平均5.2得点3.7アシスト1.2スティールを記録。66-60で勝利した第2戦では、6得点5アシストの活躍でチームに大きく貢献した。自身初となるファイナルの舞台で、チームを王座へと導けるか。

黒星スタート 「気負っている部分はあった」
初のファイナル舞台となった第1戦。5季連続でファイナル進出を果たした琉球に対して、長崎は序盤からシュートミスやターンオーバーが続き、第1クォーターで9-20と大きなビハインドを背負った。その後は持ち前のハードなディフェンスやファストブレークで一時逆転する場面もあったものの、試合終盤には琉球の「経験」を前にあと一歩及ばず。69-71で黒星スタートとなった。
初の大舞台ということもあり、試合前夜には「すごく高まるものがあった」という熊谷。先発ポイントガードとして約33分間プレーしたものの、フィールドゴール(FG)2分の0で無得点に終わり、序盤には2つのターンオーバーを犯すなど、らしくないプレーもあった。
「やっぱりこの素晴らしい舞台でやるというところで、少し気負っている部分はありました」
それでも、ディフェンスでは相手のキーマンとなる岸本隆一を追い続け、オフェンスではチームメートの得点を演出するなど、追い上げに大きく貢献。「後半に関しては自分らしいプレー、ドライブだったり、パスだったりはできた」と語った通り、時間が経つにつれてファイナルの舞台にも慣れ、持ち味を発揮できていた。
「自分たちがやることをやっている時は点差も詰まっていましたし、自分たちの流れが来ていた。その時間を長く続けられなかったということが多かったので、そこは切り替えたいと思います」

「格段に良くなった」 第2戦で「+16」
後がなくなった第2戦。序盤は第1戦と同様に、琉球に主導権を握られる。開始から約2分間で9-0のランを許し、追いかける展開となったものの、第1Q残り7分40秒にイヒョンジュンの3ポイントシュートで初得点を決めると、徐々に落ち着きを取り戻していく。熊谷もスタンリー・ジョンソンやヒョンジュンの3Pシュートを演出するなど、このクォーターだけで3アシストを記録。残り1分26秒にはファストブレークでレイアップシュートを決め、11-0のランを完成させた。
第2Qは両者の激しい守り合いとなり、互いに得点を重ねるのに苦しみながらも、31-29と長崎がわずかにリードを保ち前半を終えた。
そして、第3Qに潮目が変わる。トップでボールを持っていたジョンソンをマークするジャック・クーリーに対して、熊谷がスクリーンをかけにいくと、ジョンソンはすかさずゴールへとドライブ。クーリーの対応が遅れ、熊谷をマークしていた岸本がカバーに入ったものの、ジョンソンはものともせずにリングへとアタックする。たまらず岸本がファウルを犯し、ジョンソンはフリースローを獲得。岸本は個人4つ目のファウルとなり、第3Q残り8分48秒を残してベンチに下がることを余儀なくされた。
司令塔を失った琉球は連係が取れず、オフェンスが停滞。長崎は第3クォーターだけで琉球から5つのターンオーバーを誘発するなど流れをつかみ、52-38と大きくリードして最終クォーターへ。第4Qは終盤に琉球に追い上げを許したものの、セーフティーリードを保った長崎が66-60で接戦を制し、シリーズの決着を第3戦へと持ち込んだ。
熊谷は約29分の出場で6得点5アシスト3リバウンドを記録。徹底したマークで岸本を11得点(FG成功率16.7%)に抑える好守を披露し、出場した時間帯のチームの得失点差を表す「±(プラス・マイナス)」では、チームトップとなる「+16」を記録した。
「ドライブに行くところと(外から)打つところという部分がクリアになったと言いますか、昨日(第1戦)よりは格段に良くなっています。 パスブレークのところもなるべく早いパスを出すことを意識してやっていたので、昨日よりは良かったんじゃないかなと思います」(熊谷)

運命の第3戦 「ファウルマネジメント」も意識
司令塔としてチームを勝利に導いた熊谷だったが、2試合ともに5ファウルで第4Qにコートを去っており、課題も残る。特に第2戦では熊谷が退場後に琉球がディフェンスのプレッシャーを強め、長崎はオフェンスが停滞。なんとか逃げ切ったものの、残り約6分でFG成功は1本のみの8得点に抑えられた。
熊谷は「悔しいですけど、もう出られないので、仲間に託すという(思いで見ていた)」とその時の歯がゆい思いを吐露。「ああいった場面では自分が出ないといけないなと思っているので、ファウルマネジメントの部分も考えながらやらないといけない」と第3戦に向けての反省を口にした。
26日に開催されるファイナル第3戦は、チームとしても個人としても初の優勝がかかる大一番となる。熊谷は2020-21シーズンにシーホース三河でCSを経験しているものの、当時はベンチプレーヤーであり、クォーターファイナルで千葉ジェッツに連敗。その後は信州ブレイブウォリアーズや秋田ノーザンハピネッツで主力として活躍したものの、いずれもCSにはあと一歩届かなかった。
経験を重ね、長崎でようやくつかんだ好機。「なかなかないチャンスですし、本当に(優勝を)獲りたいなと思っています」と熊谷は力を込める。
「毎シーズン、CSに出たい気持ちでもちろんやっていましたし、今年はそのチャンスがある。いろんなチームに行って、自分の持ち味出したり、求められてることをやってきて、それが今につながっていると思うので。ここまでこういう舞台でできているということを感謝して、長崎のために本当に優勝したいなと思います」
チームを勝利に導き、長崎へ恩返しができるか。司令塔の活躍に期待がかかる。

(滝澤俊之)
