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「移籍する気は全くなかった」 長岡萌映子がトヨタ紡織サンシャインラビッツに加入した理由とは


笑顔を見せる長岡萌映子

 10月18日に2025-26シーズンが開幕するWリーグ。昨シーズンはプレミア6位だったトヨタ紡織サンシャインラビッツは、シーズン終盤にはENEOSサンフラワーズに連勝するなど、チームは尻上がりに調子を上げてシーズンを終えた。ルーカス・モンデーロHC体制を継続した今シーズンは、長岡萌映子奥山理々嘉桂葵窪田真優といった経験豊富な新戦力を獲得。若手の育成と新戦力の融合で、プレーオフ進出(4強入り)を目指す。

 新加入選手の中でも、注目すべきは長岡だ。ENEOSから移籍した31歳の長岡は、日本代表経験も豊富な183㎝のパワーフォワード。富士通レッドウェーブトヨタ自動車アンテロープス、ENEOSと強豪チームを渡り歩き、個人タイトルや優勝など数々の栄冠を手にしてきたベテランだ。トヨタ自動車時代にはモンデーロHCの下でプレーをしており、指揮官のバスケットを熟知する長岡が、若いチームにどのような変化をもたらすのかーー。プロキャリア14年目を迎えた今、トヨタ紡織へ移籍した経緯や、やがて訪れる現役引退などについて話を聞いた。

恩師モンデーロHCとの共闘「すごくやりやすい」

――ENEOSからトヨタ紡織への移籍について聞かせてください

正直な話をすると、移籍をする気は全くなかったんです 。ENEOSで現役を終えようと思っていたので、自分も「まさかここ(トヨタ紡織)にいるとは」という気持ちではあります。ただ、中身は別として、アスリートにはキャリアを積んでいく上で(移籍は)あることなので、そこは真摯に受け止めてきた結果ということと、それでも求めてくれるチームがあるということはすごく幸せなことあり、喜ばしいことだなと思います。あとはルーカスとまたバスケができるっていうところは、移籍うんぬんを置いておいてもすごく光栄なことなので、本当にこの場にいられてすごく幸せだと思っています。

――現役14年目のベテランという立場で、ENEOSでの役割と、トヨタ紡織で必要とされる役割に違いはありますか?

そこまで変わらないかなと思います。ルーカスは一緒にやってきた自分のプレーも知っているし、別のチームでやってきた自分のプレーも見てくれていて、その中ですごく必要としてくれているので、(今までと役割が)大きく違うわけではないです。本当に必要としてくれていたので、自分に価値を見出してくれているという部分は感じます。

あとは、どこにいたって若手の育成だったり、伝えていくというところは変わらないかなと思います。(若手選手も)すごく聞いてくれるし、ルーカスも(若手に)言って欲しいと言ってくれているので。そこは自分のバスケットの考えを伝える上で、すごく伝えやすいです。(若手選手に)言った時にも「ありがとう」と言ってくれて、自分にとっては、すごくやりやすい、伝えやすい環境であるなと思います。

今季から加入した長岡©Basketball News 2for1

ーーENEOSでの3年間を振り返って、今感じることは?

大まかに言うと、色んなことを経験できた3年間ではあります。伝統あるチームに入って、優勝とかが当たり前と思われているチームで、責任を持ってバスケをしなきゃいけないということだったり、勝つ難しさ、それは他のチームでも経験はしているんですけど、常勝チームがどうするかというのは、自分も未知の部分だった。それこそタクさん(渡嘉敷来夢)とかがいたときには、「本当にわからないから勝ち方を教えて欲しい」と言いながらやっていました。

あとは(渡嘉敷の移籍でチームが)大きく変わったと思うんですけど、その時に新しいチームをどうまとめるのか、起きたことは仕方がないので、次にどういうチーム作りをしていくのか、どういうチームにしていきたいのか、このチームの明確な目標は何なのか。それはバスケットのところもそうですし、チームとしての成長した姿とはみたいなところは、すごく考えながらやっていたので、すごく勉強になった3年間だなと思います。

いろいろなことがあったし、最終的に(ENEOSを)出る形になってしまったんですけど、すごく感謝しているチームです。姉の(病気の)ことがあって、東京に行きたかったというのが前提にあったので、ENEOSに限らず、どこでプレーするかということが二の次だった私を必要としてくれたというところが、本当にすごくありがたいことでした。そこだけでも本当に感謝しきれないなと思っています。

有力な若手多数「未来あるチーム」

――長岡選手の移籍はWリーグの勢力図を変える力があると思います。これからトヨタ紡織という若いチームがどう変わっていくのか、感触はいかがですか?

(取材時点で)チームに合流して3ヶ月くらい。バスケット的にはみんなのことは分かってきたけれど、やっぱり私を理解してもらわないと(いけない)。自分が周りを生かすプレイヤーだとしても、それをできるって思ってプレーしてもらわないと、みんなの幅も広がらないと思う。「あそこ行けるよ」「これできるよ」ということをもっと伝えていかないとは思っています。若い子たちが本当に上手で能力があって、未来あるチームだなと思うのが一番ですね。

――対戦していた時、トヨタ紡織というチームはどんなイメージでしたか?

これからのチームだなと思っていました。最後の対戦では、ENEOSは紡織に2連敗していて、勢いをそのまま持っていけるチームですし、新加入が4人も入った時に、そこの和を崩さないようにしたいなと思っています。

ただ、「ルーカスのバスケはもっと面白いよ」ということを伝えたい。トヨタ(自動車)で2連覇してきているバスケなので。もちろん(トヨタ自動車は)メンツがいたりっていうのはあるんですけど、(モンデーロHCのスタイルは)自分に合っていて、バスケットの面白さみたいなものがあると思うし、ヨーロッパのバスケは結構好きなので、その面白さを伝えたいです。自分が点取り屋というところから変わったタイミングは、ルーカスとやって、トヨタで揉まれてという時だったんですけど、自分だけが行くバスケじゃないものを教えてくれたし、他のこともたくさん教えてくれたコーチなので、信頼してついていけます。まあ好き嫌いあるのでみんなに信頼してとは言えないんですけど、バスケットの面白さみたいなものを自分が身をもって伝えていければなと思います。

――ディフェンスで評価されるチームメイトの東藤なな子選手は、長岡選手をお手本にしていると言っています。同じ高校の後輩でもある東藤選手の印象は

 私もなな子のディフェンスはすごいと思っていて、足があるので簡単に抜けない、抜かれない選手。この言い方が合ってるか分からないけど、「なな子が抜かれたんだからしょうがない」と思えるぐらいだと思っています。だから一緒にやっていても、ヘルプしたところでちゃんとローテーションしてくれるとか、そういった部分の連携はすごく取りやすいです。そこをなな子も多分チームに伝えたかったと思うんですけど(まだ十分できていない)。それを自分が助けて、一緒に残していきたいなと思っています。本当に頼りになる選手です。 なな子がいてくれるから、紡織に来られたくらいに思っているので。それくらい(一緒に)やりたい選手ではあったし、信頼しているので、本当にこれから一緒にリーグを戦うのが楽しみです。

チームではベテランとしてけん引する©Basketball News 2for1

――キャリアの終え方、引退のタイミングについてはどのように考えていますか?

絶対ではないですけど、節目は15年だと思っています。今14年目だから(あと2年)。本当はそれこそ、富士通で5年、トヨタで5年やってきて、ENEOSで 3年だったので、(あと2年プレーして)ENEOSで 5年で終わろうとしていたんです。ただそれが、今こううまくというか、変わった。ただ、15年というのはキリがいいなとはずっと思っています。

あとは次にやりたいことを形にしてから(引退したい)。今は資格をとったり、次に向けて動いているんですけど、そういったものが形になって、(引退後に)やることがあるという状態でやめたいかなって思います。

――最後に、新シーズンへの意気込みを聞かせてください

チームの目標であるベスト4は、必ず目標として達成したいということもあるんですけど、やっぱり選手である以上優勝は目指さなきゃいけないものだと思う。ベスト4を通過点にできればいいなと思う反面、やっぱり若いチームなので、そんなに簡単なことではないし、そう言って負けた時の代償が大きくて、へこんでも嫌なので。堅実に一歩一歩積み重ねていくということは、チームとしてやっていかなきゃいけないと思います。

あとは本当に紡織の本気をオファーで感じたので、そこに貢献できることを楽しみにしていますし、新しい紡織なので、今まで見てくださった方、ファンの方はもちろんですけど、「やっぱり紡織すごいな」「紡織面白いな」と見ていただけるファンの方も増やせるように頑張っていきたいなと思います。

(高久理絵)

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