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低い手数料を実現できる、グループ企業ならではの強みとは?暗号資産取引所GMOコインインタビュー


(撮影=NET MONEY編集部)

GMOコインは、手数料の低さが魅力の暗号資産取引所です。取引手数料は暗号資産取引所にとって収益源の一つであるにもかかわらず、なぜ、低い手数料を実現できるのでしょうか。

「できる限り低コストで取引できる環境を整えるのは、GMOコインだけでなく、グループ全体のポリシーです」

こう語るのは、GMOコインの石村富隆社長です。

NET MONEY(ネットマネー)編集部は、GMOコインの石村社長を訪ね、低コストでサービスを提供できる理由や、そこに込められたグループの信念を深堀りしました。

インタビューから見えてきたのは、暗号資産だけではなく株式や投資信託、FXやCFDなどさまざまな金融商品を扱うGMOグループだからこその強みでした。初心者から上級者まで満足できる取引環境を提供できる、その背景に迫ります。

開発陣も投資経験者。GMOグループのノウハウが詰まった取引ツール

(撮影=NET MONEY編集部)

ーーGMOコインが投資家層の拡大に向けて取り組んでいることや、特にこだわっていることは何ですか?

私たちはGMOフィナンシャルホールディングスの一員であり、グループ会社では株式や投資信託、FXなど金融サービスを提供しています。そのため、取引ツールに関しては長年の経験とノウハウがグループ内に蓄積されています。特に取引のしやすさや説明の分かりやすさに力を入れており、初心者の方にも利用しやすいように、というところはこだわっています。また、プロフェッショナルな投資家の方にも対応できる高度な分析ツールも提供しています。

ーーツール開発の中で他社と差別化できている理由は何ですか?

GMOコインの取引システムは、暗号資産に限らず、以前から行っていたFXや株取引の経験とお客様の声を反映して開発しています。そのため、暗号資産の分野でもそのノウハウが活かされています。また、開発陣もFXや株取引の経験者が多く、金融取引システムに精通した人材です。その結果、非常に高品質な取引ツールを提供できていると思います。

(画像=GMOコイン

手数料はほぼ無料!リーズナブルな投資環境を提供できる理由

(画像=GMOコイン

ーーGMOコインは特に手数料の安さが魅力だと感じます。この手数料に関するこだわりや背景について教えていただけますか?

コストが投資家の負担になることを考慮し、できる限り低コストで取引できる環境を整えるのは、GMOコインだけでなく、グループ全体のポリシーでもあります。

ーーリーズナブルな投資環境を提供できている理由は何でしょうか?

私たちの主な収益源は、ユーザーの皆様が取引をすることで発生する「フロー収益」です。多くの取引が行われることでリスクマネジメントの効果が発揮され、収益を上げることができます。取引フローが少ないと収益が上がらず、コストのみがかかって利益が出ない状況になります。ですから、各種手数料を低く抑えてでも多くのお客様に多くの取引を行っていただく、まさにお客様と我々の間にWin-Winシチュエーションを作り出すことがことが我々にとっては重要であり、その構造がお客様に対してリーズナブルな投資環境の提供を行うことを可能としています。

ーーフロー収益を最大化するには、手数料の低さだけでなく、システムの安定性も重要になりそうです。

システムの安定稼働には特に注力しています。システム障害を防ぐため、メンテナンスをしっかり行い、常に安定したサービスを提供できるよう努めています。

ーーシステムにおけるGMOグループの強みは何ですか?

私たちのエンジニアは元々株式取引のシステムを担当していた経験があるので、「これくらいでシステムが止まるのは許されない」という意識が強くあります。そうした積み上げが、現在の高い安定性につながっているのです。

(画像=GMOコイン

ストック型商品にも注力

(画像=GMOコイン

ーーIR資料の中で「ストック型商品の強化」について言及されていましたが、この強化の背景について教えていただけますか?

我々GMOコイン自体は上場していませんが、グループ全体、特にGMOフィナンシャルホールディングスは上場しており、安定した収益が求められています。暗号資産はご存じの通り、調子の良い時は非常に良いのですが、悪い時は取引が激減します。例えば、昨年や一昨年のピーク時と比べると、取引量が10分の1にまで落ち込んだこともありました。これが取引フローに依存している結果です。

そのため、ストック型の商品、つまりお客様の預かり資産残高に基づいて収益が得られるサービスを強化することで、経営の安定を図りたいと考えています。具体的にはステーキングです。また、収益が減る時期もあるので、固定費を削減し、効率的な運営を目指しています。

取り扱い銘柄は安全性の高いものを厳選

ーー2022年の年頭所感の中で、「取り扱い銘柄を増やしていく」という方針を掲げていたと思います。現在の取り扱い銘柄についての方針はいかがでしょうか?

一時期、日本全体で銘柄を増やすのに非常に手間がかかっていたため、なかなか進まない時期がありました。しかし、日本暗号資産取引業協会の改善努力のおかげで、銘柄が増えるスピードはかなり速くなりました。

ただ、その反面、一時的に注目を集めるだけで最終的には価値がなくなるような銘柄も増えています。

2~3年前の所信表明の際、取り扱い銘柄は10~15銘柄程度でした。その時は「増やしていきます」と言っていましたが、現在は他の取引所が次々と銘柄を増やす中、私たちは慎重に選定を進めています。取引していただく上で、安心できる銘柄を目利きしていきたいと考えています。

ーーその銘柄の目利きについて、もう少し詳しくお聞きしたいです。これから取り扱っていきたい銘柄や、これまでの選定基準について教えていただけますか?

ビットコインやイーサリアムといった銘柄は、グローバルでもメジャーで、安定性がありますし、なくなることは考えにくいですね。それ以外では、プロジェクト自体にある程度の実態があるかどうかを重視しています。特にセキュリティ面やブロックチェーンの技術、プロジェクトの内容をよく見て選定しています。

日本の暗号資産業界の課題は「イノベーションの起きづらさ」

(撮影=NET MONEY編集部)

ーーここ数年を振り返って、暗号資産業界全体の変化をどのように捉えていますか?

全体的に見ると、自主規制が導入されたことで業界全体のクオリティが大きく向上したと感じています。以前は、各社で取り組みにばらつきがあった顧客資産の管理や情報開示が、自主規制によって一定のレベル感で統一されました。

私たちは顧客の資産を預かっている以上、投資家保護が最優先です。顧客資産が突然消えてしまうような事態は絶対に避けなければなりません。そうしたリスクは確実に低減されていると思います。

また、自主規制による適切な情報開示が進んだことで、顧客がどの会社を選ぶべきか判断しやすくなったでしょう。金融庁に登録されている取引所を選べば、最低限の基準は満たされているので、安心して利用できると思います。

ーー日本の暗号資産保有率はアメリカなどと比べてまだ低い状況ですが、日本の暗号資産業界が抱える課題について、どのようにお考えでしょうか?

日本の暗号資産業界は、非常に保守的で厳格な規制が敷かれています。安全性は高い反面、イノベーションが起きにくい状況です。安全性を確保するために多くのコストがかかっており、新しい取り組みに投資するリソースが限られています。

さらに、暗号資産は他の金融資産と税制が異なり、利益が雑所得に分類されます。高い税率が適用されるため、投資対象として選ばれにくいという課題もあります。

業界としては、これらの問題について提言を続けており、今後に期待したいところです。

暗号資産取引初心者は通貨の「流動性」に注目を

(撮影=NET MONEY編集部)

ーーこれから暗号資産投資を始めたいと思っている人にメッセージをお願いします。

暗号資産投資を始める際には、国内の取引所で少額から売買することがおすすめです。

海外には魅力的な銘柄や高い利回りを謳う投資案件もありますが、詐欺被害も報告されており、リスクが伴います。まずは、日本暗号資産交換業協会(JVCEA)に登録されている国内の業者を選ぶことを強くお勧めします。厳しい規制のもと運営されており、基本的なセキュリティ対策が施されています。もちろん、GMOコインもその一つなので、選んでもらえるとありがたいです。

また、リスク管理の方法として、最初は金融投資に向けられる資産の5%程度を目安に少額から始めて、慣れてきたら徐々に増やしていくのが賢明です。

ーー初心者はどの暗号資産を買うのが良いでしょうか?

投資では、「売りたい時に売れる、買いたい時に買える」という流動性が非常に重要です。例えば、流動性の高いものとしてはビットコインやイーサリアムなどが挙げられます。これらは24時間365日どこかで取引されているので、初心者の方には最適です。

初心者の方の中には、友人や知人、さらにはSNS上で知り合った人から「この通貨が上がるらしい」などと聞いて、マニアックな通貨に手を出す方もいます。しかし、マイナーな通貨は流動性が低く、詐欺被害に遭う可能性も大いにあるので、注意が必要です。

どうしてもマニアックな銘柄に手を出したいという場合には、購入時点で価値がゼロになる覚悟で手を出すくらいで丁度いいと思いますし、ゼロになってもいい金額の範囲内で取引を行うことで万が一それが詐欺であったとしても被害は最小限に留められるため、それを強くお勧めします。

価格変動を気にせずに続けられる積み立て暗号資産

(画像=GMOコイン

ーーGMOコインで展開している「積み立て暗号資産」は、分散効果があって初心者向けだと感じました。

積み立て暗号資産は、「いつ買えば良いのか分からない」、「今の価格が適正かどうか分からない」という人には適しています。暗号資産はボラティリティが激しいので、値動きを常に気にしてしまう人もいるでしょう。その点、積み立て投資を選べば、あまり価格変動を気にせずに投資を続けることができます。

ビットコインは今後どうなる?

(撮影=NET MONEY編集部)

ーービットコインの価格は2024年3月に最高値を更新し、長期的には上昇傾向にあります。今後の展望について、どうお考えでしょうか?

ここまで資産として組み込まれている以上、ビットコインの資産価値が近いうちにゼロになってしまうことは考えにくいでしょう。さらに、ビットコインは供給が限られているので、長期的には資産価値が上がる可能性も高いと思います。それを見越して、企業が積極的に購入しているケースもあります。

今後も価格上昇すると考えているのであれば、現物を購入するという手段がありますし、もし「もう上がらないのでは?」と考えるのであれば、CFD(差金決済取引)を利用して、売りから入ることも可能です。

GMOコインでは、現物取引だけでなくCFD取引やシステムトレード、レバレッジを効かせた取引も提供しています。価格が上昇すると予想する人、価格が下落すると予想する人のそれぞれに合った投資方法を選択できるプラットフォームを提供しています。

(画像=GMOコイン

ーーGMOコインが今後目指していく業界での立ち位置、ポジションについてお聞かせください。

私たちが目指すのは常に「1番」です。特に取引高で1番になりたいという思いが強いですが、現在は、bitFlyerさんが非常に強く、私たちは2位にとどまっています。今後もサービス内容を工夫し、取引を増やすべく努力し、やるからには1位を目指したいですね。

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石村 富隆
GMOコイン株式会社 代表取締役社長
1997年4月:東洋信託銀行株式会社(現三菱UFJ信託銀行株式会社)入社
2003年8月:株式会社ライブドア(現NHNテコラス株式会社)入社
2007年2月:かざかフィナンシャルグループ株式会社へ転籍
2010年10月:株式会社My外貨(現OANDA証券株式会社)代表取締役
2013年4月:GMOCLICKUKLIMITED(現GMO-Z.comTradeUKLimited)取締役CEO
2017年12月:GMOコイン株式会社取締役社長
2018年1月:GMOコイン株式会社代表取締役社長(現任)
2018年5月:GMO-Z.COMCOINCANADA,INC(現GMO-Z.COMBUSINESSSUPPORTCANADA,INC)取締役
2022年1月:当社代表執行役社長COO
2022年3月:GMOクリック証券株式会社取締役(現任)
GMOクリックグローバルマーケッツ株式会社代表取締役社長
当社取締役兼代表執行役社長COO(現任)
GMOインターネット株式会社(現GMOインターネットグループ株式会社)グループ執行役員(現任)
2023年3月:GMO-ZcomSecurities(Thailand)PublicCompanyLimited取締役(現任)
GMOビジネスサポート株式会社取締役(現任)
GMO-Z.COMBUSINESSSUPPORTCANADA,INC.代表取締役社長(現任)
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