『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』より一部抜粋
(本記事は、インベスコ・アセット・マネジメント株式会社の著書『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』=ベストセラーズ、2023年5月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
資産運用会社とは
資産運用会社は日本では運用商品である投資信託を直接販売しないケースが多いことから一般的に認知度は高くありませんが、個人投資家や機関投資家からお預かりした資金を株式・債券・不動産など、様々な資産で運用することを本業としています。
資産運用のはじまり
資産運用の歴史は、1815年、スコットランドの首都エジンバラで始まったとされています。当時の英国は、1793年に参戦したフランス革命戦争以降、1802年から1803年の短い休戦期間を除くとナポレオン戦争と続けて20年近く戦争状態にありました。1815年に英国側の勝利で終戦を迎えるも、父や夫、息子を戦争で亡くして独り身となり、収入源を絶たれ極度の貧困に陥る女性や子どもが後を絶ちませんでした。国土に残ったスコットランド男性たちが中心となり、戦争で家族を亡くしたとしても女性が未来を生き延びるお金を持てるように資金を集めて運用し、「スコットランドの寡婦年金(スコティシュ・ウィドウズ)」という仕組みを立てたことが資産運用のはじまりとされています。
投資信託の歴史
資産を増やすことを目的とした、世界で初めての投資信託は1868年の英国・ロンドンで誕生しました。19世紀の英国はヴィクトリア女王統治の下、圧倒的な工業力と軍事力を持ち、欧米諸国、アジア、アフリカへ自由貿易主義を拡大します。1851年には世界初の万国博覧会をロンドンで開催するなど世界中にその技術力を見せつける一方、庶民の生活は過酷でした。元々農民であった地方在住者が都市に出て労働者となり、子供から大人までが1日16時間を超えるともいわれる長時間労働に耐え、不衛生な環境下、狭い部屋にすし詰めの状態で生活せざるを得ませんでした。これに耐え、金銭的余裕をもつようになった中産階級が育ちはじめた頃、フォーリン&コロニアル (Foreign&Colonial)社が、現代の外国債券ファンドに近い「フォーリン・アンド・コロニアル・ガバメント・トラスト」を設立しました。
もともと投資といえば、貴族や資産家の資産保全のために行われるものが大半でした。しかし、フォーリン&コロニアル社は当時増え始めていた中産階級を販売対象とします。彼らが資本家同様に運用益を享受できるようにした点は画期的でした。低単価で手が届きやすく、複数の外国債券および英国植民地の債券を組み合わせて商品化することでリスク分散もなされており、資産を持ち始めていた中産階級の間で1880年代を中心に大きなブームとなりました。
日本での投資信託の始まりは、1951年6月に「証券投資信託法」が施行された時です。戦後の経済復興に向けて取り組む中、財閥解体などの影響で市場には株式があふれる一方、買い手が不足している状態でした。株価が大幅に下落している上に株式市場も沈滞しており、企業が必要な資金調達を行う環境が整っていませんでした。そこで、国民が保有する預貯金の一部を証券投資に振り向ける投資信託の活用が考えられ、発展を遂げていくことになりました。
新設当時は「単位型ファンドを毎月新設する方式」が採用されています。募集期間1ヵ月、2年間の短い信託期間、販売価額は固定(1口5000円、66年設定分から1万円の額面金額)で販売する仕組みで、個人が購入しやすい上に、金融機関も販売しやすい商品でした。1952年には追加型ファンドの販売が開始されたものの、主流は毎月募集の単位型ファンドで、信託期間が5年に延長されるなどの変遷を辿ります。株式という変動の大きい投資対象であるにもかかわらず、期間が限定されている点は世界的にも珍しいものでしたが、高度経済成長期の株価上昇に伴って拡大基調が続きました。
1990年代後半からは、欧米諸国では一般的であり、2020年代の現代日本でも主流となる「無期限追加型かつ日々変動する時価で販売するファンド」が販売されるようになります。
<著者プロフィール>
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、独立系資産運用会社インベスコの日本拠点です。
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社は、内外の公的年金・企業年金、事業法人、銀行や保険会社など機関投資家を対象に、株式や債券などの伝統的な投資戦略からオルタナティブなど非伝統的な投資戦略まで幅広い商品およびサービスを提供しています。
また、銀行・証券会社・保険会社などを通じて個人投資家向けの投資信託およびサービスを提供しています。
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