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5,000万円で何年暮らせるか退早期職できる時期はいつか解説


5,000万円の資産があると、何年暮らせるのでしょうか。本記事では早期退職やセミリタイアを考えている人に向けて、「単身世帯」と「2人以上世帯」に分けて、4,000万円~6,000万円で働かないで暮らせる年数を計算してみました。

5,000万円で暮らせるのは約14~26年

平均的な生活水準を想定すると、5,000万円で暮らせる年数は以下のとおりです。

<5,000万円で暮らせる年数>
単身世帯:約26年
2人以上世帯:約14年

仕事を完全に辞められる年齢については、2人以上世帯の場合、資産4,000万円で53歳、資産5,000万円で50歳、資産6,000万円では47歳が現実的なラインになります。

65歳以降からは老齢基礎年金を受け取れますが、それでも5,000万円の資産で余裕のある生活を送ることは年齢によっては難しくなります。保有資産だけでの生活を考えている人は、シミュレーションをした上で今後のライフプランを考えましょう。

5,000万円で何年暮らせるのかをシミュレーション

保有している資産が5,000万円の場合、働かないで生活できる年数は以下のとおりです。

世帯平均的な生活水準余裕のある生活
単身世帯約25.7年約19.6年
2人以上世帯約14.3年約12.2年

それぞれのシミュレーション結果について、詳しく解説していきます。

シミュレーションの前提条件

上記のシミュレーションは、総務省統計局による「家計調査(家計収支編)」の生活費を基準に計算しています。

<1ヵ月あたりの単身世帯の生活費>

消費項目支出額
食料3万9,069円
住居2万3,300円
光熱・水道1万3,098円
家具・家事用品5,487円
被服及び履物5,047円
保健医療7,384円
交通・通信1万9,303円
教育0円
教養娯楽1万7,993円
その他の消費支出3万1,071円
合計16万1,753円

(参考:総務省「家計調査 家計収支編 単身世帯」)

<1ヵ月あたりの2人以上世帯の生活費>

消費項目支出額
食料7万7,474円
住居1万8,645円
光熱・水道2万4,522円
家具・家事用品1万2,121円
被服及び履物9,106円
保健医療1万4,705円
交通・通信4万1,396円
教育1万1,436円
教養娯楽2万6,642円
その他の消費支出5万4,817円
合計29万865円

(参考:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 」)

以下では、それぞれ生活水準別のシミュレーション結果を紹介します。

平均的な生活水準の単身世帯

5,000万円で何年暮らせるのかは、以下の式によって概算値を計算できます。

<資産額によって暮らせる年数の計算式>
保有資産÷(1ヵ月あたりの生活費×12ヵ月)=暮らせる年数

家計調査(家計収支編)のデータを平均的な生活水準として、単身世帯が暮らせる年数を計算してみます。

<暮らせる年数の計算>
5,000万円÷(16万1,753円×12ヵ月)=25.7年
(※小数点第2位以下は切り捨て、以下同様。)

平均的な生活水準の単身世帯では、約25年7ヵ月暮らせることが分かりました。

余裕のある暮らしをする単身世帯

余裕のある暮らしについては、1ヵ月あたりの平均支出額に5万円を加算してシミュレーションを行います。

<暮らせる年数の計算>
5,000万円÷(21万1,753円×12ヵ月)=19.6年

計算結果は約19年6ヵ月となり、平均的な生活水準より6年ほど短い結果になりました。

平均的な生活水準の2人以上世帯

次に、平均的な生活水準の2人以上世帯でシミュレーションをしてみます。

<暮らせる年数の計算>
5,000万円÷(29万865円×12ヵ月)=14.3年

単身世帯に比べると、5,000万円で暮らせる年数は11年ほど短くなりました。余裕のある暮らしをする単身世帯に比べても、暮らせる年数が5年ほど短くなっています。

余裕のある暮らしをする2人以上世帯

2人以上世帯についても、1ヵ月あたりの平均支出額に5万円を加算して、余裕のある暮らしでのシミュレーションをしてみます。

<暮らせる年数の計算>
5,000万円÷(34万865円×12ヵ月)=12.2年

平均的な生活水準に比べると、5,000万円で暮らせる年数は2年ほど短くなりました。

資産4,000万円〜6,000万円で早期退職できる年齢を計算

資産額から逆算して早期退職できる年齢は、おおよそ以下のとおりです。

資産額単身世帯2人以上世帯
4,000万円46歳53歳
5,000万円41歳50歳
6,000万円36歳47歳

シミュレーションの内容は、詳しく解説していきます。

資産額から仕事を辞める年齢を計算する手順

国民年金や厚生年金の加入者は65歳から老齢基礎年金を受け取れるため、保有資産だけで生活をするわけではありません。

厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金の平均受給額は月額14万5,665円です。このデータをもとに、以下では資産4,000万円~6,000万円のシミュレーションを紹介します。

<早期退職できる年齢を計算する流れ>
【1】生活費の平均から老齢基礎年金の平均受給額を差し引く
【2】平均寿命(※)を基準に、65歳以降の必要資金を計算する
【3】保有資産から65歳以降の必要資金を差し引く
【4】残りの資産で何年暮らせるのかを計算し、退職年齢を逆算する
(※)男性と女性の平均である約84歳で計算。

早期退職できる年齢の計算方法

早期退職できる年齢を計算する流れは、以下のとおりです。

<65歳以降の必要資金の計算式>
1ヵ月あたりの生活費-老齢基礎年金=65歳以降の必要資金(月額)
(毎月の必要資金×12ヵ月)×(平均寿命-65歳)=65歳以降の必要資金(年額)
<退職前に使える資金の計算式>
保有資産-65歳以降の必要資金(年額)=退職前に使える資金
<暮らせる年数の計算式>
退職前に使える資金÷1年間の生活費=暮らせる年数
<仕事をやめられる年齢の計算式>
65歳-暮らせる年数=仕事をやめられる年齢

ここからは、具体的なシミュレーションを行なっていきます。

単身世帯:資産4,000万円のシミュレーション

まずは、単身世帯のシミュレーションを行います。

<65歳以降の必要資金>
16万1,753円-14万5,665円=1万6,088円(月額)
(1万6,088円×12ヵ月)×(84歳-65歳)=366万8,064円(年額)
<退職前に使える資金>
4,000万円-366万8,064円=3,633万1,936円
<暮らせる年数>
3,633万1,936円÷(16万1,753円×12ヵ月)=約18.7年

<仕事をやめられる年齢>
65歳-18.7年=46歳(※小数点以下は切り捨て。以下同様。)

2人以上世帯:資産4,000万円のシミュレーション

2人以上世帯については、2人分の老齢基礎年金を受け取ると仮定してシミュレーションを行います。

<65歳以降の必要資金>
29万865円-(14万5,665円×2)=-465円(月額)
(-465円×12ヵ月)×(84歳-65歳)=-10万6,020円(年額)

計算結果がマイナスとなったため、65歳以降の生活では10万6,020円を資産に加算できることが分かりました。したがって、仕事をやめられる年齢は以下のように計算できます。

<退職前に使える資金>
4,000万円+10万6,020円=4,010万6,020円
<暮らせる年数>
4,010万6,020円÷(29万865円×12ヵ月)=約11.4年
<仕事をやめられる年齢>
65歳-11.4年=53歳(仕事をやめられる年齢)

単身世帯:資産5,000万円のシミュレーション

前述のシミュレーションから、単身世帯における65歳以降の必要資金(年額)は366万8,064円です。この金額をもとに、資産5,000万円で仕事をやめられる年齢を計算します。

<退職前に使える資金>
5,000万円-366万8,064円=4,633万1,936円
<暮らせる年数>
4,633万1,936円÷(16万1,753円×12ヵ月)=約23.8年
<仕事をやめられる年齢>
65歳-23.8年=41歳

2人以上世帯:資産5,000万円のシミュレーション

前述の通り、2人以上世帯では老齢基礎年金から老後の生活費を差し引いた10万6,020円を保有資産に加算できます。したがって、仕事をやめられる年齢は以下のように計算できます。

<退職前に使える資金>
5,000万円+10万6,020円=5,010万6,020円
<暮らせる年数>
5,010万6,020円÷(29万865円×12ヵ月)=約14.3年
<仕事をやめられる年齢>
65歳-14.3年=50歳

単身世帯:資産6,000万円のシミュレーション

<退職前に使える資金>
6,000万円-366万8,064円=5,633万1,936円
<暮らせる年数>
5,633万1,936円÷(16万1,753円×12ヵ月)=約29.0年
<仕事をやめられる年齢>
65歳-29.0年=36歳

2人以上世帯:資産6,000万円のシミュレーション

<退職前に使える資金>
6,000万円+10万6,020円=6,010万6,020円
<暮らせる年数>
6,010万6,020円÷(29万865円×12ヵ月)=約17.2年
<仕事をやめられる年齢>
65歳-17.2年=47歳

資産4,000万円以上ある人の割合

単身世帯のデータはありませんが、総務省統計局の資料(※)によると、貯蓄が4,000万円以上の2人以上世帯は全体の12.5%です。全体の平均値は1,901万円、中央値は1,091万円になりました。

(※)総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)

本データの貯蓄には、株式や債券をはじめとした現金以外の資産も含まれます。したがって、資産が5,000万円を超える2人以上世帯は、多くても1割程度と考えられるでしょう。

資産5,000万円あっても仕事を辞められない場合の対策

働かないでも暮らせる資産額に達していない人は、ライフプランを見直してみましょう。実際にどのような方法があるのか紹介します。

退職の年齢を遅らせる

退職の年齢を遅らせると、貯蓄によって保有資産を増やせるかもしれません。また、厚生年金分の老齢基礎年金や、勤め先から支払われる退職金も、増額されることが予想されます。

例えば、勤続年数で退職金が計算される会社では、退職時期を5年遅らせると支給額が500万円ほど変わる場合があります。厚生年金の加入状況や退職金規定などを確認し、「いつ退職したらどれくらい受け取れるのか」を把握しておきましょう。

完全な退職ではなくセミリタイアに切り替える

セミリタイアとは、これまで勤めていた会社を退職し、必要な分だけ働く方法です。働かないで暮らせる年数をシミュレーションしたときに、保有資産が少しだけ足りないようなケースは、セミリタイアで対応できるかもしれません。

ただし、正社員を辞めると社会的な信用が下がりやすいため、ローンなどの与信審査に影響する場合があります。特に住宅などの大きな買い物を予定している人は、退職前に契約することを検討してみましょう。

5,000万円で資産運用をする

5,000万円だけでは足りない場合は、資産運用によって増やすことも検討しましょう。ただ、資産運用には損失を出す可能性もありますが、運用期間が長くなるほどリターンが安定しやすいといわれています。数十年単位で資産運用ができるのであれば、当然リスクもありますが、逆に増やせる可能性もあると思われます。

5,000万円で資産運用をする方法3選

5,000万円で資産運用を始める場合は、どのような金融商品が候補になるのでしょうか。ここでは、安定したリターンを期待しやすい現実的な方法を紹介します。

【1】元本保証や元本確保の金融商品

元本保証とは、投資に充てた資金(元本)が減らない仕組みです。一方で、満期を迎えたときに元本が減らないように設計されている金融商品は、元本確保型と呼ばれています。

例としては定期預金や年金保険、国債などがあり、これらの金融商品は損失のリスクを抑えながら運用できます。ただし、その代わりにリターンが少ない傾向にあるので、「必要な利益を確保できるか」は事前に確認しておきましょう。

【2】配当金を期待した株式投資

株式の中には、利益の一部を投資家に分配する銘柄があります。このときに受け取れるお金が「配当金」と呼ばれており、国内株式では年1~2回の配当が一般的です。

配当金の有無や金額については、株式を発行する各企業が独自に決めています。そもそも配当金がなかったり、経営悪化によって金額が減ったりする銘柄もあるので、取引の前には各企業の配当方針や業績を確認しておきましょう。

【3】投資信託を使った投資

投資信託を使った投資には、インデックス投資と呼ばれ、主に株価指数との連動を目指して運用されているインデックスファンドを取引する手法と、それらインデックスを超える成果を目指すアクティブ運用のファンドなどがあります。

インデックス投資は、例えば、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)と連動した動きを目指している投資信託をイメージすると分かりやすいでしょう。アクティブファンドに投資する場合は、過去の運用実績などを吟味して、長期的にインデックスファンドを超えた運用実績を出せるかどうか確認することが必要になります。いずれにせよ、リスクもあるので、余裕資金で運用することが重要です。

資産5,000万円で足りない人は早めに対策を考えよう

平均的な生活水準を想定すると、5,000万円の資産では26年ほど暮らせます。ただし、お住まいの地域や家族構成、ライフスタイルによっては、老後生活の最中に資産が尽きるかもしれません。5,000万円で何年暮らせるか分からない人や、もっと余裕のある暮らしをしたい人は、セミリタイアや資産運用などの選択肢も検討しましょう。

※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。

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