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6月FOMCへの市場の反応は限定的だが..


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要旨

FOMCではタカ派色が前面に

6月13~14日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、市場の想定よりもかなりタカ派的となりました。

限定的であった金融市場の反応

もっとも、タカ派的なFOMCに対する金融市場の反応は限定されたものとなりました。足元の景気・インフレ指標は、今回のFOMCの見通しよりも今後の実際の景気が下振れ、インフレが落ち着いたものになる可能性を示唆しています。私は、今後のFRBによる利上げの実施回数は0回あるいは1回とみています。

景気回復が遅れるリスクがより意識されやすい展開に

今回公表されたFOMC参加者による見通しは、多くのFOMC参加者が、金融市場が想定する以上の高金利政策の2024年中の継続を想定していることを示唆しています。今後、タカ派のFOMC参加者による情報発信が金融市場で懸念材料になりやすいとみられます。このことは、実際の景気減速を示す指標とともに、年末に向けて米国株価の上値を抑制する作用をもたらす可能性が高いと見込まれます。

FOMCではタカ派色が前面に

6月13~14日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)は、市場の想定よりもかなりタカ派的となりました。利上げが見送られたことは大方の想定通りであったものの、FOMC参加者が、今年末時点でのFFレート見通しを5.6%(中央値ベース)に引き上げるとともに、2024年末についても4.6%に上方修正した点はサプライズとなりました(図表1)。この見通し通りに今後の金利政策が実施される場合、年内に25bp(=0.25%)の追加利上げが2回実施されることになります。パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は、足元での景気やインフレがFRBの想定に対して上振れたことに言及したうえで、インフレについては下振れリスクよりも上振れリスクの方が大きく、年内の利下げは考えにくいという見方を表明しました。

の方が大きく、年内の利下げは考えにくいと

限定的であった金融市場の反応

注目されるのが、タカ派色を打ち出した今回のFOMCに対する金融市場の反応です。金利先物市場では前日(6月13日)の段階で、年末までに2bpの利上げが想定されていましたが、FOMC後に年末までの利上げ想定幅は10bpに上昇したに過ぎません(具体的には、9月の会合までに19bpの上昇と、その後の低下が織り込まれています)。これは、7月以降、年末までの間に追加的に2回の利上げ(1回あたり25bpとして計算)を想定するFOMCに対して、金利先物市場ではネットで0.4回の利上げしか想定されていないことを意味します。金利スワップ市場でも、2年~3年先のFFレートについての織り込みは今回のFOMC前後で大きくは変わっておらず、それが10年金利の変動が小さかった背景であったと考えられます。米10年金利はFOMCの前日に3.81%であったのに対して、FOMC当日は3.79%でした。S&P500種指数は、FOMC声明文の公表直後こそ下落しましたが、パウエル議長の記者会見を受けて上昇に転じましたが、これは、長期金利の落ち着きが安心材料になった部分もあったと考えられます。

一方、FOMCによる金融政策決定の当日の朝に公表された米PPI統計がインフレの足元での落ち着きを示唆する内容であった点も、今回のタカ派的FOMCに対する金融市場の反応を限定的にしたとみられます。5月のコアPPI(エネルギーや食品を除くPPI)の前月比上昇率は0.0%を記録しました。これは、市場予想の0.2%を下回るとともに、4月分の上昇率も速報値の0.2%から0.1%へと下方修正されました。5月のコアCPIの前月比上昇率は0.4%と市場予想並みでしたが、PPIの計数は基調的なインフレ率が低下しつつある可能性を示唆しています。

ISMサービス業指数が5月に前月比で低下したことや平均賃金の前月比での賃金の増加率が同じく5月に減速したことを合わせて考えると、今後、景気の悪化がより明確になると見込まれる中、インフレが徐々に落ち着いていく可能性が高まっていると考えられます。パウエル議長は、記者会見において、FRBは直近の単月の経済指標だけ景気やインフレの状況を判断せず、過去3カ月の指標を重視する姿勢を明らかにしました。これは、足元の景気・インフレ指標は、今回のFOMCの見通しよりも今後の実際の景気が下振れ、インフレが落ち着いたものになる可能性を示唆していると言えるでしょう。これらを踏まえて、私は、今後のFRBによる利上げの実施回数は0回あるいは1回とみています

(図表2)金利先物市場・金利スワップ市場が見通すFRBの利上げ幅とFF金利、米10年国債利回り

景気回復が遅れるリスクがより意識されやすい展開に

私は、FOMC参加者による2024年の政策金利についての考え方が今回かなり変わった点にも注目しています。参加者の中央値でみると、2024年末のFFレート見通しは、3月FOMCの4.3%から6月に4.6%へと引き上げられましたが、2024年末に5%以上のFFレートを見込むFOMC参加者数は、3月には18人中、4名でしたが、6月には6名に増えました。また、4.5%以上の金利水準を見込む参加者は、3月の7名から6月には10名に増加しました。

これは、金融市場でエコノミストが見通す2024年末のFFレートが、直近のブルームバーグによる調査では3.7%、5月にNY連銀が公表したプライマリー・ディーラー調査では3.5%、同投資家調査では3.38%であったことを踏まえると、かなり高い水準です。このことは、多くのFOMC参加者が、金融市場が想定する以上の高金利政策の2024年中の継続を想定していることを示唆しています。FOMC参加者による2024年10-12月期の実質GDP成長率の見通しが1.1%と、長期の均衡水準である1.8%を大幅に下回ることはこの金利見通しと整合的です(図表1)。タカ派のFOMC参加者が増えたとも言える状況下、今後、タカ派のFOMC参加者による情報発信が金融市場で懸念材料になりやすいとみられます。このことは、実際の景気減速を示す指標とともに、年末に向けて米国株価の上値を抑制する作用をもたらす可能性が高いと見込まれます

木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト

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MC2023-091

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