MSCI 初の「State of Private Markets」レポートを発行、転換点を迎えるプライベート市場の現状を指摘
主なポイント:
• 透明性のギャップが拡大:プライベート市場は現在、大手機関投資家のポートフォリオの約5分の1を占めるまでに成長しているが、投資家はタイムリーな投資判断を行う際も、依然として、即時性と一貫性を欠くデータに頼らざるを得ない状況にある。
• プライベート・クレジットは期待値の修正局面へ:セミリキッド型の「エバーグリーン」ファンドにおける解約増加と借り手側のストレスの高まりにより、バリュエーションおよび流動性に対する信認が試されている。
• 流動性制約が継続:投資回収(エグジット)の減速や保有期間の長期化が投資家への分配の抑制につながり、資金調達環境を厳しくするとともに、セカンダリー市場の活性化を促している。
• AIが投資機会を再構築:AI関連資産は世界のプライベート・エクイティ市場の約16%を占めており、必要なインフラ整備には今後数兆ドル規模の追加資本が必要になる見通し。
• エバーグリーン・ファンドは成長に伴う課題に直面:急速な成長によって投資機会へのアクセスは拡大している一方、バリュエーション規律や解約管理を巡る新たな課題も生じている。
• パブリック市場・プライベート市場の統合が進展:投資機会とリスクをより包括的に把握するため、トータル・ポートフォリオやファクター・ベースのアプローチを採用する投資家が増えている。
東京-2026年5月13日 – MSCI Inc.(NYSE: MSCI、以下「MSCI」)は、機関投資家および富裕層投資家のポートフォリオにおけるプライベート市場への資産配分拡大が続くなか、現在の投資環境とプライベート市場を再構築しつつある構造的変化を包括的に分析した当社初のレポート「State of Private Markets 2026」を発表しました。
今後毎年発行する予定の本レポートによると、プライベート市場は、透明性への需要拡大、根強い流動性制約、そして投資をトータル・ポートフォリオの枠組みで評価する必要性の高まりを特徴とする、新たな成熟段階へと移行しつつあります。長期的なパフォーマンスがプライベート市場の中核的な魅力であることに変わりはないものの、データの透明性、バリュエーション手法および報告基準が急速な資金流入に対応しきれていないのが現状です。
MSCI プライベート資産責任者 ルーク・フレマーは次のように述べています。「プライベート市場は資産クラスとしては機能していますが、それを支えるインフラの整備が市場規模の拡大に追いついていません。流動性圧力、時価評価に対する信頼感のばらつき、そして最近のプライベート・クレジット市場におけるストレスはいずれも、透明性の構造的欠如に起因するものです。投資家がパブリック資産とプライベート資産を一体的に運用するために、自身の保有資産、その評価額、そしてリスクの所在を正確に把握することが必要不可欠です。」
本レポートでは、プライベート・クレジット市場で顕在化しつつある新たなストレスを主要な懸念点として指摘しています。その主な内容として、運用会社が報告するバリュエーションに基づいて定期的な解約に応じるセミリキッド型ストラクチャーについて、そのバリュエーションの正確性と適時性への市場の目線が厳しくなっており、同時に、特に小規模ファンドを中心に、借り手側の財務ストレスの高まりを示すシグナルも増えている点を挙げています。
プライベート・エクイティについては、投資回収(エグジット)と分配の停滞が続いており、その結果として資金調達環境が一段と悪化しているほか、流動性確保の手段としてセカンダリー市場やコンティニュエーション・ビークルへの依存度が高まっていると分析しています。
また、AIインフラの急速な整備がプライベート市場全体に大きな投資機会をもたらしているとし、AI関連投資はデータセンターからソフトウェア、エネルギーシステムに至るまで複数の資産クラスにまたがるものであり、ポートフォリオ・エクスポージャーをより精緻かつ統合的な分析の必要性を浮き彫りにしている点に言及しています。
さらに本レポートでは、プライベート市場へのアクセス拡大に寄与する一方で、流動性管理とバリュエーションの健全性を巡る新たな複雑性をもたらすエバーグリーン型ファンドの台頭についても取り上げています。こうしたビークルの普及に伴い、パブリック市場で培われた投資家の期待と、プライベート市場投資の実態との間の乖離が拡大しつつあります。
フレマーはさらに次のように述べています。「MSCIは、業界のさらなる成長を支えるプライベート市場の基幹インフラの構築に注力しています。当社は、投資家が自らのエクスポージャーを明確に把握し、ポートフォリオ全体にわたったより的確な投資判断を下せるよう支援するデータ、分析、ツールの提供に重点を置いています」とコメントしました。
詳細は「State of Private Markets 2026」をご覧ください。
以上
MSCIについて
MSCI Inc.(NYSE: MSCI)は、金融エコシステム全体の参加者を共通言語でつなぐことで、グローバル市場の強化に貢献しています。当社の経験豊富なリサーチに基づき、かつ最新のテクノロジーによって支えられた、データ、リスク分析ツール、指数は、グローバル投資家にとってのスタンダードを確立するとともに、お客様がリスクと投資機会を理解することで、より良い意思決定を行い、イノベーションを実現できるよう支援しています。MSCIは、アセットマネージャーやアセットオーナー、プライベート市場のスポンサーや投資家、ヘッジファンド、ウェルスマネージャー、銀行、保険会社、そして事業法人にサービスを提供しています。詳細はwww.msci.comをご覧ください。
MSCI 日本法人について
MSCI日本法人は、日本の投資エコシステムのキープレイヤーとして、グローバルなインサイトとローカルな専門性を融合させることで、機関投資家および個人投資家の皆様がますます複雑化する投資環境に適応できるよう支援しています。当社は東京で20年以上にわたり事業を展開しており、日本の年金基金、保険会社、資産運用会社、ヘッジファンド、富裕層ビジネス、銀行および事業会社の皆様と長期的なパートナーシップを築いてきました。
高度な分析ツールやリスク管理ツールを活用するとともに、専門のリサーチチームを設置することで、投資家がより良い意思決定を行い、より強固なポートフォリオを構築できるよう支援しています。MSCIの指数は、日本の主要な機関投資家が資産配分を行う際の基盤となっているだけでなく、NISAの主要指数として、個人投資家によるグローバルな分散投資と長期的な成長の実現にも貢献しています。MSCI指数がグローバル投資家に広く活用されるなかで、MSCI指数は包括的な役割を担い、日本企業とサステナビリティを重視するグローバル資本市場をつなぐことに寄与していきます。
さらに、私たちはクライアントの意思決定へのサステナビリティ統合を支援するとともに、「日本株女性活躍指数」や「日本株ESGセレクト・リーダーズ指数」などの革新的なベンチマークを通じて、日本企業をグローバル資本市場につなぐ架け橋としての役割も果たしています。詳細はwww.msci.com/japanをご覧ください。
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