ベクルリー(R)は、50万人超の入院患者対象試験において、全変異株のCOVID-19入院患者の死亡リスクを低減
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ベクルリー(R)(レムデシビル)、 50万人超の入院患者さんを対象としたリアルワールド試験において、全ての変異株に対して、COVID-19入院患者さんの死亡リスクを低減
―臨床現場から得られたリアルワールドエビデンスが、免疫不全患者さんを含む 全患者集団における、ベクルリー投与による死亡率の統計学的有意な低下を示す― ―別の解析では、ベクルリーを投与された入院中のCOVID-19患者さんにおいて、
30日以内の同病院への全ての原因による再入院率が低い結果を示す― ―ベクルリーは、懸念される最新のオミクロン株亜種に対して、
in vitro抗ウイルス活性を示す―
ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は2月21日、入院後2日以内のベクルリー(R)(レムデシビル)投与により、COVID-19による全入院患者さんにおいて、重症度に関わらず、死亡率および再入院率が低下したことを示す、レトロスペクティブ・リアルワールド試験から得られた3つの肯定的データを発表しました。死亡率の低下は、がんやHIVとともに生きる人々など、感染に対して脆弱な集団においても認められました。これらの試験では、COVID-19が時間の経過とともに変異する中、患者アウトカムに関するインサイトを得るため、米国全土の800を超える病院の臨床診療データを評価しました。これらのデータは、第30回レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI)で発表される予定です。
米国カリフォルニア州UCLA Healthの試験実施者で呼吸器科医のチディンマ・チマ-メルトン(Chidinma Chima-Melton)は次のように述べています。「懸念される主な流行変異株に関わらず、患者さんのアウトカムは、レムデシビルの早期投与により改善されます。このリスクの低下は、免疫不全患者さんを含む全ての酸素レベルおよび重症度の患者さんにおいて一貫して認められています。これはまさに、最も感染に脆弱な患者さんに対する治療を考える上でのパラダイムシフトです。COVID-19の治療状況が大きく変化したことを考慮すると、実臨床データを利用する大規模試験は非常に重要です。今回の縦断解析では、全てのCOVID-19患者さんにおける死亡率低下を示したレムデシビルの価値と、病院にとって重要課題の一つである、再入院率低下に対するレムデシビルの肯定的な影響が確認されています」
COVID-19入院患者さんにおける死亡率について
2つの試験では、50万人を超える成人COVID-19入院患者さんに関するU.S. Premier Healthcareデータベースの臨床診療情報を解析しました。全体解析では、14日目および28日目の全ての原因による入院患者死亡率を検証し、入院後2日以内にベクルリーを投与された患者さんと、COVID-19による入院中にベクルリーを投与されなかった対照群を比較して、全ての酸素レベルにおいて、死亡率が統計学的有意に低いことが認められました。ベースライン時に酸素療法使用の記録がない患者さんは、ベクルリー投与により、28日目の死亡リスクが19%(p<0.001)低下しました。また、低流量酸素療法または高流量酸素療法を受けている患者さんにおいて、28日目の死亡リスクがそれぞれ21%(p<0.001)、12%(p<0.001)低下しました。ベースライン時に侵襲的機械換気(IMV)/ECMOを必要とする患者さんにおいて、28日目の死亡リスクが26%(p<0.001)低下しました。これらの結果は、オミクロン株を含む全変異株の流行期を通じて、酸素療法を必要としない患者さんだけでなく、IMV/ECMOを必要とする患者さんを含む全てのレベルの酸素療法を受けている患者さんにおいて認められました。
ギリアドのウイルス学治療領域責任者で、上級副社長のフランク・ダフ(Frank Duff, MD)は次のように述べています。「CROIで発表されるリアルワールドエビデンスは、入院患者集団の実臨床データの解析に基づいており、患者集団全体、ならびに免疫不全患者集団などCOVID-19により重症化リスクが高まると考えられる部分集団の両方において、ベクルリーの治療効果を評価しています。これらの解析により、死亡率および再入院率への影響を含め、パンデミックのさまざまな変異株の流行期を通して、ベクルリーの一貫した有効性が示されています」
2つ目の解析では、再感染やブレークスルー感染する可能性のある免疫不全患者さんなど、感染に対して脆弱な患者集団においても、死亡率の低下が認められました。28日時の死亡率は、入院後2日以内にベクルリーを適時投与された場合、ベクルリー非投与群と比較して、全ての変異株の期間において、全体で死亡リスクが25%有意に低い結果が示されました(デルタ株以前(35%)、デルタ株期(21%)、オミクロン株期(16%))。
COVID-19入院患者さんにおける再入院率について
別の解析では、ベクルリーを投与されたCOVID-19入院患者さんが30日以内に同じ病院に再入院する確率も有意に低い(27%)ことが認められました。この結果は、パンデミックのさまざまな変異株の流行期を通して一貫していました。また、ベクルリーを投与された患者さんの再入院率の低下は、COVID-19による初回入院時に高濃度の酸素吸入を必要としていた患者さんにおいても認められました。
変異株に対するin vitro抗ウイルス活性について
CROIで発表されるin vitro解析によると、ベクルリーは、XBB、BQ1.1、BA.2.75、BA .4およびBA .5を含む懸念される最新のオミクロン株亜種に対しても、抗ウイルス活性を保持しています。これらのデータは、オミクロン株亜種のSARS-CoV-2患者さんに対するベクルリー継続使用を裏付けています。ギリアドは、世界各地で新たに出現し、懸念される新たなSARS-CoV-2変異株に対するベクルリーの活性を引き続き評価しています。
ベクルリーの臨床試験およびリアルワールドエビデンス試験について
複数の無作為化臨床試験(RCT)を補完するCOVID-19による入院患者さんに関する今回の新たなリアルワールドエビデンス(RWE)は、臨床医や患者さんに対してベクルリーが有益であることをさらに示すものです。入院患者さんにおけるベクルリーの臨床的ベネフィットは、ACTT-1試験を含む、複数の無作為化、対照、第III相臨床試験で確立されています。2020年のACTT-1試験の結果では、COVID-19入院患者集団全体において、ベクルリーを投与された患者さんが、プラセボ群と比較して、死亡率低下の傾向を示しました(11%対15%、HR:0.73、95% CI:0.52 - 1.03)。しかしながら、この結果は統計学的有意ではありませんでした。
RCTが医薬品の有効性および安全性を評価する最良のツールであることに変わりはありませんが、RWEは、日常の診療における治療薬の使用に関する重要なデータを提供し、RCTのデータを補完することが出来ます。これらの試験は、疾患の臨床管理が変化し続け、それが新たな臨床試験開始のスピードを上回る可能性があり、かつ現場の医療従事者がリアルタイムで治療を決定し、進めていくために、治療薬の有効性を理解したいと切望しているパンデミックの状況において、ますます重要性を増しています。このような試験は、データセットの出典の種類や規模、ならびに交絡またはバイアスの可能性軽減のために用いた方法論に基づいて、解釈されるべきものです。日常の診療から得られたエビデンスは、さまざまな医療現場を含め、あらゆる患者さんに関する入手可能な全データとの関連において考察する必要があります。
今回のリアルワールド解析におけるベクルリーに関連する死亡率低下は、2021年に実施されたリアルワールド解析における、パンデミックの初期段階におけるCOVID-19患者さんの生存率改善という過去のエビデンスと一貫性を示しています。ベクルリーのRWE解析は他でも現在進行中であり、その結果や結論はそれぞれ異なる可能性があります。
ギリアドのCOVID-19開発プログラムについて
ベクルリー(レムデシビル)は、ギリアドの10年以上にわたる抗ウイルス研究の成果を基に創薬されたヌクレオチド誘導体です。本剤は、COVID-19による入院患者さんの標準治療として使われる抗ウイルス薬で、進行リスクが高い非入院患者さんの疾患進行を抑制する治療として推奨されています。ベクルリーの安全性プロファイルは確立されており、幅広い集団において最小限の薬物相互作用を有しています。ベクルリーは、さまざまな重症度の患者さんに対して疾患の進行を抑制し、入院患者さんの早期回復を可能にすることにより病院の限られたリソースを解放し、医療システムのコスト削減に貢献しています。
ベクルリーは、世界約50カ国で承認されています。現在までにベクルリーおよびジェネリック薬のレムデシビルは、ボランタリー・ライセンスを通じて提供された低中所得国における800万人を含め、世界で約1,300万人の患者さんに提供されています。これらのボランタリー・ライセンスは、レムデシビルへの幅広い患者アクセスを可能にするというギリアドのコミットメントを反映し、ロイヤリティ・フリーで提供されています。
COVID-19患者さんに向けた新しい効果的な経口治療選択肢開発に対する大きなニーズが依然として存在します。ギリアドは、代謝されるとレムデシビルと同じ活性代謝物を産出する経口ヌクレオシドプロドラッグ阻害剤(GS-5245)の開発も進めています。
米国でのベクルリーの適応症
米国におけるベクルリー(R)(レムデシビル100 mg注射剤)の適応症は、次の成人および小児患者さん(生後28日以上、体重3kg以上)に対するCOVID-19治療となります。
・入院している
・あるいは、入院しておらず、軽症から中等症のCOVID-19であり、入院や死亡を含むCOVID-19重症化リスクが高い
詳細については、www.gilead.comに掲載されている米国の添付文書(完全版)をご覧ください。
米国におけるベクルリーに関する重要な安全性情報
禁忌
ベクルリー製剤またはそのいずれかの成分に対して臨床上問題となる過敏症の既往歴のある患者には投与しないでください。
警告および使用上の注意
・過敏症(注入に伴う反応とアナフィラキシー反応を含む):ベクルリーの投与中および投与後に、注入に伴う反応やアナフィラキシー反応などの過敏症の発生が報告されています。また、そのほとんどが1時間以内に発現しています。投与中は患者をモニタリングし、臨床的に適切となるよう投与完了から少なくとも1時間は過敏症の徴候や症状がないか観察してください。低血圧、高血圧、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管浮腫、発疹、吐き気、発汗や振戦などの症状が現れることがあります。点滴速度を下げると(点滴時間は最長で120分)、これらの反応を予防できる可能性があります。投与に伴う重度の過敏症が発現した場合、直ちにベクルリーの投与を中止し、適切な治療を開始して下さい(「禁忌」を参照)。
・トランスアミナーゼ上昇リスク:ベクルリーを投与された健常被験者やCOVID-19患者に、トランスアミナーゼの上昇が認められています。COVID-19の臨床初見としてもトランスアミナーゼ上昇が報告されています。全ての患者について、肝機能検査を行ってください(「用法および用量」を参照)。ALTが施設基準値上限(ULN)の10倍を超える場合、ベクルリーの投与中止を検討してください。ALT上昇に伴い肝臓の炎症を示す症状・徴候が認められた場合はベクルリーの投与を中止してください。
・クロロキン・ヒドロキシクロロキンとの併用時の抗ウイルス活性低下リスク:ベクルリーとリン酸クロロキンまたはヒドロキシクロロキン硫酸塩との併用については、細胞培養で拮抗作用が認められ、ベクルリーの抗ウイルス活性が低下する可能性があることから、併用は推奨しません。
副作用
・発現率が高かった副作用(全グレードにおいて発現率5%以上)は吐き気でした。
・発現率が高かった検査値異常(全グレードにおいて発現率5%以上)は、ALT上昇とAST上昇でした。
薬物相互作用
・ベクルリーと併用薬の薬物相互作用を検討するヒトを対象とした試験は行われていません。
用法および用量
・アナフィラキシーなど、重度の過敏症反応の管理が可能な条件下で投与されます。
・投与期間:
O 入院患者の場合、COVID-19の徴候があると診断された場合、早急にベクルリーを投与する必要があります。
O 侵襲的機械換気および/またはECMOを必要としない入院患者の場合、推奨投与期間は5日間です。臨床的改善が認められない場合、投与期間をさらに5日間まで延長でき、投与日数の合計は最高で10日間です。
O 侵襲的機械換気および/または ECMO を必要とする入院患者の場合、推奨投与期
間は合計 10 日間です。
O 軽症から中等症のCOVID-19と診断され、入院または死亡を含むCOVID-19重症化リスクの高い非入院患者の場合、推奨投与期間は合計で3日間です。COVID-19の徴候があると診断された場合、できるだけ早急に、症状発現から7日以内に外来での使用を開始することを推奨します。
・投与前および投与中の検査:ベクルリーの投与開始前はeGFR、肝機能検査、プロトロビン時間の検査を行い、投与期間中も、臨床上必要に応じて行ってください。
・腎機能障害:eGFRが30 mL/分未満の患者には、ベクルリーの投与は推奨しません。
妊婦および授乳婦への投与
・妊婦:妊婦レジストリは確立されています。妊娠中のベクルリーの使用に関するヒトのデータは十分に得られていません。COVID-19は、子癇前症、子癇、早産、前期破水、静脈血栓塞栓性疾患、胎児死亡などの母体や胎児の有害転帰と関連しています。
・授乳婦:ベクルリーが乳汁中へ移行するかは不明です。COVID-19患者の授乳については、乳児へのウイルス曝露を避けるための臨床ガイドラインを参照してください。
ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。
将来予測に関する記述
本プレスリリースは、1995年「米国証券訴訟改革法」(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これらのリスク等には、現在見込まれるタイムライン内に臨床試験を開始、進行、完了するギリアドの能力、またはそれらが全く完了できない可能性、ベクルリー関連を含む進行中または追加の臨床試験から得られた結果が好ましくない可能性、規制当局への申請および関連する申請に対する承認が適時に行われない不確実性、規制当局から承認された場合でも、その承認に著しい制限が課される可能性および上記のいずれかの根拠となる仮定も含まれます。これらのリスクやその他の不確定要素については、米国証券取引委員会に提出している、2022年9月30日を期末とするギリアド四半期報告書(フォーム10-Q)で詳細に説明しています。これらのリスク、不確定要素およびその他の要因により、実際の結果が「将来予測に関する記述」で言及されたものと大きく異なる可能性があります。歴史的事実以外の全ての記述は、「将来予測に関する記述」とみなされます。このような「将来予測に関する記述」は将来の業績を保証するものではありませんので、この記述に過度に依拠しないようご注意下さい。「将来予測に関する記述」は全て、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは「将来予測に関する記述」を更新する義務を負うことはなく、更新する意向もありません。
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