うつ・不安症状に対するマインドフルネスの効果検証研究を開始
詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202212050781-O1-qWYl5XpP】
早稲田大学人間科学学術院の髙橋 徹(たかはし とおる)助教と大須 理英子(おおす りえこ)教授が、オンラインでマインドフルネス※1のクラスを提供している株式会社Melon(代表取締役CEO:橋本 大佑(はしもと だいすけ)、以下MELON)とマインドフルネスに関する共同研究を2022年9月より開始しました。近年、コロナ禍によりオンラインでマインドフルネスを実践するプログラムが行われるようになりましたが、その効果を厳密に検証した研究は、国内では未だありませんでした。うつ・不安症状に対し、オンラインで実施するマインドフルネスのプログラムが有効かどうかを国内で初めて検証します。
■これまでの研究で分かっていたこと
WHOは2017年、世界には3億人を超えるうつ病患者がおり、患者の多くが正しい診断や適切な治療を受けられていないという点を指摘しています。この状況は、世界だけでなく日本においても深刻化しています。厚労省によると、日本人のおよそ40人に1人(323万人)がこころの病気で通院や入院をしており、生涯を通じて5人に1人がこころの病気にかかるとも言われています。
このような現状の打開策として注目を集めているのが「マインドフルネス」です。マインドフルネスとは、「現在の体験にありのままに気づくこと」を意味しており、「過去でも未来でもない、今この瞬間の感覚」に注意を向ける瞑想などで訓練します。マインドフルネスを訓練するプログラムがうつや不安、ストレスを低減することは多くの研究から分かってきており、集団で訓練するプログラムを提供する病院やクリニックも出てきています。うつや不安は、過去の後悔や将来の心配にとらわれることで増悪するため、現在の感覚に注意を向けるマインドフルネスの練習をすることで、うつや不安が低減するというメカニズムも明らかになってきています。
近年、コロナ禍によりオンラインでマインドフルネスを実践するプログラムが行われるようになりましたが、その効果を厳密に検証した研究は、国内では未だありませんでした。うつや不安を抱える方は、外出して支援を受けに行くことへの難しさもあることから、本プログラムはオンラインによる新たな支援法としての活用が期待できます。
そこで私たちは、オンラインでマインドフルネスのクラスを提供してきた実績のあるMELONと共同し、ランダム化比較試験※2を実施することで、その有効性を検証することにしました。
■今回の研究で新たに実現しようとしたこと
信頼性のあるデータを得るためには、介入実施者と、その効果を測定する評価者が独立していることが重要です。本研究では、なるべく客観性を担保するように、介入実施者であるMELONと、効果測定者である早稲田大学のチームを分離させて研究を進めています。
また、通常は検査やクラスに参加するために移動するコストがかかりますが、測定から介入までの全ての工程をオンラインで行えるようにしたことで、参加者の負担も少なく、日本のどこからでも参加できるような介入試験を実現しました(臨床試験登録ID:UMIN000048781)。
■研究の波及効果や社会的影響
うつや不安などのメンタルヘルスの問題が増加している中で、オンラインで簡便に実施できるマインドフルネスプログラムの有効性が実証されれば、効率的な心理支援として普及することができるようになり、その波及効果は大きいと言えます。メンタルヘルス問題の社会的コストは大きく、マインドフルネスは集団で実施することが容易であるため、長期的には医療経済的なメリットもあると考えられます。
現在、本研究の参加者を募集中です。うつまたは不安症状のある方が対象で、診断の有無に関わらず参加可能なプログラムのため、日々ストレスを感じている方はお気軽にご応募ください。1日のうちの都合の良い時間にオンラインでクラスに参加できるため、仕事等で忙しい方も参加しやすい形になっています。詳細は以下を参照ください。 参加いただき、全てのアンケートに回答いただいた方は、回答の一部を集計したフィードバックを受けることができます。マインドフルネスのプログラムに参加して、自身がどのように変化したかを確認することができます。
【効果検証試験の流れ】https://www.the-melon.com/research-waseda1/
■研究者からのコメント
身体的な健康に関しては、スポーツジム・フィットネスクラブなどさまざまな施設が充実しています。しかし、心の健康に関してはどうでしょうか。今回の共同研究は、MELONが提供している、いつでもマインドフルネスのクラスに参加できる仕組みが「心のインフラ」になり得るのかを検証する、重要なチャレンジだと考えています。研究成果の社会実装が叫ばれて久しいですが、既に社会実装されているものを研究するという方向性も面白いと思っています。
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