電通PRコンサルティングの企業広報戦略研究所が、生活者1万人対象『第7回魅力度ブランディング調査』を発表
2022年10月31日
企業広報戦略研究所(C.S.I.)
(株式会社電通PRコンサルティング内)
生活者1万人を対象とした「第7回魅力度ブランディング調査」結果
2人に1人以上の生活者が、ビジョンを掲げ、業界を牽引している企業に注目
20代および株式保有者は「人的魅力」を重視する傾向が顕著に
企業広報戦略研究所(所長:阪井完二、所在地:東京都港区、株式会社電通PRコンサルティング内)は、生活者が企業のどのような活動や事実(ファクト)に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に、本年7月、全国1万人を対象とした「第7回魅力度ブランディング調査」を実施しました。
「魅力度ブランディング調査」とは、コーポレートブランドを構成する魅力を「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」に分類し、それぞれで重視すべき6領域12項目(計36項目)を定め、企業の“魅力”を分析しています。企業広報戦略研究所では2016年から毎年調査を行っています。
本リリースでは、20業界200社を対象とした調査結果から、魅力項目ランキング、魅力度の業界別ランキング、魅力を感じた情報源、魅力を感じた後にとった行動などについて分析しています。
調査結果のポイント
1. 企業に魅力を感じる項目「ビジョンを掲げ、業界を牽引(けんいん)している」が不動の1位
生活者の半数以上が注目
2. 業界ランキングは2年連続、1位「海外自動車・自動車関連部品」、2位「飲料」、3位「電機」
「損保・生保・商社」は大きく存在感が高まる
3. 魅力を感じた情報源:コロナ禍が続く中でもリアル系の回答が51.5%で最高
4. 企業の魅力認知後、何らかのアクションを起こした生活者は7割以上
具体的なアクションは「企業の商品やサービスを購入または利用した」が最高
5. 20代の企業魅力を感じる項目では、「人的魅力」関連項目が上位10位の中の9項目を独占
6. 株式保有者が回答した企業魅力項目上位10位のうち、「人的魅力」関連が8項目
株式非保有者よりも企業の人材活躍に関連する項目に注目
※本リリース上のスコア構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、表において加減の結果が小数第1位で異なる場合や、合計が必ずしも100%にならない場合があります。
魅力度ブランディングモデル
生活者や個人投資家が、企業のどのような活動や事実(ファクト)に“魅力”を感じるのかを「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3要素(各12項目、合計36項目)で検証する、新たなブランドモデルです。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O10-UntcfamE】
【3魅力の定義】
●「人的魅力」:リーダーシップや職場風土、ソーシャルイシュー対応力など、企業を構成する「個人」や事業活動を通じて周囲に感じさせる「法人」としての魅力
●「財務的魅力」:成長戦略、安定性・(中・長期的な)収益性、リスク&ガバナンス対応など、優れた財務パフォーマンスと、それらを支える仕組みや取り組みに関する魅力
●「商品的魅力」:コストパフォーマンス、安全性・アフターサービス力・クレーム対応、独創性・革新性など、商品・サービスを通じて伝わる魅力
2016年に、企業広報戦略研究所が開発し、このモデルを基にした論文が日本マーケティング学会2017ベストペーパー賞を受賞しています。
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~注目の魅力項目とは~
企業に魅力を感じる項目「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」が不動の1位
生活者の半数以上が注目
生活者1万人が対象企業200社に対して感じた魅力を集計したところ、最も多かった魅力が「人的魅力」で全体の 37.3%となりました。次いで、「商品的魅力」の33.9%、最後が「財務的魅力」の28.7%でした【図表1】。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O1-z78YI45i】
この順位は、割合に微増・微減はあるものの、調査開始以来7年連続で変わりません。企業の3魅力を巡る考え方は、世の中の移り変わりにあまり左右されない不動のものであることがうかがえます。
企業の総魅力量に関しては、2021年に減少が見られましたが、コロナ禍3年目の今年は、withコロナの新たな段階に移行しつつあったこともあり、2020年と同水準に回復しました【図表2】。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O4-1KYHxIGo】
3魅力の内訳を見ると、生活者が企業に対して感じた魅力項目のランキングでは、TOP5が4年連続で同じ項目となりました。さらに、本調査開始以来7年連続で、「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」(51.6%)が第1位となりました【図表3】 。
ビジョンやリーダーシップなどの非財務情報が“魅力ある企業”のカギになることは普遍的であると言えそうです。特に社会・経済環境が急速に変化している昨今、ビジョンやリーダーシップによる結束力を発揮し、持続的な事業成長の実現に挑戦する企業に魅力を感じていることが考えられます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O7-migtB4z4】
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~魅力度業界別ランキング~
業界ランキングは2年連続、1位「海外自動車・自動車関連部品」、
2位「飲料」、3位「電機」。「損保・生保・商社」は大きく存在感が高まる
生活者が企業に対して感じた魅力項目の合計ポイント数を業界別で見ると、上位3位は昨年と同順位で「海外自動車・自動車関連部品」(19,038ポイント)、「飲料」(18,279 ポイント)、「電機」 (17,815ポイント)となりました【図表4】 。
また、 昨年13位だった「損保・生保・商社」は4位となり、9ランク上昇で最も大きく上昇した業界となりました。社会・経済環境が不安定な中、コロナ保険の提供などをはじめ、リスク対応の考え方が普及したことを背景に、世間の関心が高まったことが影響していると考えられます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O13-R8c3s5c3】
自動車・二輪車関連業界に関して、「国産自動車・二輪車」業界は2年連続で順位が下降し、2020年より6ランク下がり、15位になりました。コロナが長期化し、自動車関連部品の供給不足による納期の長期化といった報道の影響が出たことなどが原因と考えられます。 一方、「海外自動車・自動車関連部品」業界を見ると、自動運転や電気自動車など次世代自動車関連領域において、海外勢は先進的な取り組みを打ち出している企業が多く、自動車業界の発展を牽引していることなどから高いスコアとなっていると考えられます。
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~魅力を感じた情報源~
魅力を感じた情報源:コロナ禍が続く中でもリアル系の回答が51.5%で最高
「企業の魅力をどのようなところで見聞きしたか」を聞いたところ、上位5位の順位は1位「商品・サービスを購入して」(27.0%)、 2位「テレビ番組」(18.8%)、3位「テレビCM」(17.3%)、4位 「商品・サービスを試して」(14.3%)、5位「社員・店員などを通して」(12.1%)となりました【図表5】。
1位、4位、5位がリアルな経験を通じて感じた魅力の項目であることから、社員や店員は自らが会社の顔となり、その魅力を伝える影響力を持っていることが分かります。中でも、「商品・サービスを購入して」は、約3割が魅力を感じた情報源として回答しています。結果、リアルを選択した人は51.5%と半数以上に上り、次いでメディアの番組・記事(30.5%)となりました【図表6】。
メディアの番組・記事では「テレビ番組」、メディアの広告では「テレビCM」、オウンドメディアでは「企業ウェブサイト(商品・サービスブランドページ)」、ソーシャルメディアでは「ウェブ上の動画・ライブ配信」が最も多い回答となりました【図表5】。
業界や企業によって魅力を感じた情報源に違いが見られることもあり、広報戦略立案に当たっては情報源について自社の詳細データを見ていくと効果的でしょう。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O8-3hHfc8PD】
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~魅力認知後のアクション~
企業の魅力認知後、何らかのアクションを起こした生活者は7割以上
具体的なアクションは「企業の商品やサービスを購入または利用した」が最高
企業に対して最も魅力に感じる項目を認識した後の行動の有無については、「特になし」を除いた73.1%が何かしらのアクションを起こしていると言えます【図表7-1】。昨年に引き続き、7割以上と高い水準になっています。
最も多かった回答は「企業の商品やサービスを購入または利用した」(26.9%)、次いで「企業や、商品・サービスのウェブサイトを閲覧した」(23.9%)、3位「家族や友人に話をした」(14.9%)でした【図表7-1】。昨年とTOP3の順位は変わっていません。企業に魅力を感じた結果、4人に1人以上の人が「商品やサービスを購入・利用」したり、「ウェブサイトを閲覧」し、約7人に1人が、「周囲の人に伝える」という行動を取ったことが分かりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O6-1oLIUST9】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O3-MYH296nt】
魅力認知後のアクションを性・年代別で見ると、「商品やサービスの購入または利用」(全体1位 23.9%)といった行動は、男女ともに満遍なくどの年代でも行われていることが分かります【図表7-2】。一方、 「ウェブサイトを閲覧」という項目では、男性20代(31.6%)、40代(29.2%)が高くなりました【図表7-3】。また、3位の「家族や友人に話した」は女性の50代(20.3%)が高く、約5人に1人は周囲に話していることが分かりました【図表7-4】。
男性20~40代はウェブを利用してリサーチを行う割合が高く、女性50~60代は家族や友人・知人とのシェアが高いという傾向は昨年とほぼ変わらず、性年代ごとの特徴が明らかになりました。
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~特集篇 「人的魅力」項目に注目~
20代の企業魅力を感じる項目では、「人的魅力」関連項目が
上位10位の中の9項目を独占
生活者が企業に対して感じた魅力項目のランキングを年代別で比較した結果、20代の上位10項目の中で、「人的魅力」関連項目が最も多く、9項目を占めていました【図表8】。また、20代のランキングで特徴的な点としては、全体と比べて上位10位内に、7位「社員がやりがいを持って活き活きと仕事をしている」、9位「まじめで、信頼できる社員がいる」といった項目が挙がっている点です(表中の赤枠参照)。これは、若年層が就職活動を行う中で、企業での働き方や仕事のやりがいについて関心を寄せており、それらの情報を積極的に発信している企業に魅力を感じることが考えられます。
また、「商品的魅力」に関して、全体のランキングでは、4位「熱心なファンが多い商品・サービスを提供している」、9位「品質に信頼がおける商品・サービスを提供している」が、上位10位内に入っています。一方で、20代全体のランキングではいずれも10位以下という結果になりました。
「財務的魅力」については、20代、全体ともに「収益基盤が安定している」という項目が10位以内に入っていることが分かりました。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O12-83z48hCb】
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~特集篇 「人的魅力」項目に注目~
株式保有者が回答した企業魅力項目上位10位のうち、「人的魅力」関連が8項目。
株式非保有者よりも企業の人材活躍に関連する項目に注目
投資家的属性を持つ回答者が、どのような要素に対して企業の魅力を感じているのかを見るために、株式保有の有無別で、人的魅力関連の項目に着目したランキングを比較しました。株式保有者の全36項目のランキングでは、上位10中、人的魅力関連の8項目がランクインしました【図表9】 。一方、非保有者のランキングでは、人的魅力関連項目が占めている部分は、上位10位中6項目となっています。この結果から、株式保有者は非保有者と比べて、「人的魅力」要素に注目していることが考えられます。
株式保有者の上位3項目は、1位「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」、2位「チャレンジスピリットにあふれたリーダー・経営者がいる」、3位「イノベーションにこだわる経営をしている」 となりました。企業の成長性を判断する上で、ビジョンや牽引力、リーダーシップ力といった要素が、重要視されていると推測されます。
ほかにも、4位「こだわりをもった社員が品質向上にチャレンジしている」、8位「実力主義な職場風土である」、10位「まじめで、信頼できる社員がいる」といった、人材の活躍に関連する要素も上位10位の中に挙がりました(表中の赤枠参照)。人材を「資源」ではなく「資本」と捉え、人的資本に関する情報を開示することが、企業の魅力や価値向上に有益であると思われます。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O11-6kQNgqtc】
第7回 魅力度ブランディング調査結果 ~特集篇 「人的魅力」項目に注目~
▶株式保有者の約3割が企業の「オウンドメディア」から魅力を感じたと回答
企業の魅力を感じた情報源をカテゴリ別で見ると、株式保有者は、オウンドメディアから発信される情報に対して魅力を感じており、非保有者の回答と比べて約12ポイントも多いことが分かりました【図表10】。
具体的な情報源【図表11】のランキングでは、株式保有者と非保有者の上位5位に共通の項目が入っていることが分かります。株式保有者と非保有者のランキングで異なる部分として、保有者の方では、企業の最新動向を発信している「企業ウェブサイト(コーポレート情報ページ)」「新聞記事」が魅力を感じた情報源として上位に挙がりました。一方、非保有者の特徴としては、「店頭やショールームのPOP、ディスプレイなどを見て」「商品・サービスのパッケージ」といったリアルの情報源が上位に挙がっていました(表中の赤枠参照) 。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O15-ahkM91E1】
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O9-U982kLbX】
7回 魅力度ブランディング調査 概要
調査対象 :全国の20~69歳の男女 計10,000人
※20業界(200社)のいずれかに魅力を感じている人(各業界500人)
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O2-BIcu9b98】
調査方法 :インターネット調査
期間 :2022年7月22日~7月29日
設問内容 :魅力を感じる業界、魅力を感じる企業、魅力を感じた要素、魅力を感じた情報源、企業イメージなど(※魅力を感じた要素の詳細は、C.S.I.ウェブサイトをご覧ください)
調査対象企業一覧:
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202210308984-O14-o6HbM14W】
<お願い>本調査内容を転載・引用する場合、転載者・引用者の責任で行うとともに、当研究所の調査結果である旨を明示してください。
企業広報戦略研究所とは
(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)
企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制などについて
調査・分析・研究を行う、(株)電通PRコンサルティング内の研究組織です。
2013年12月設立 所長:阪井完二
企業広報戦略研究所サイト http://www.dentsuprc.co.jp/csi/
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