殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」から最新研究開発ニュース
公益財団法人 川崎市産業振興財団 https://www.kawasaki-net.ne.jp/
キングスカイフロント プレスリリース
配信元:公益財団法人 川崎市産業振興財団 〒210-0821 川崎市川崎区殿町3丁目25-13
Date: 19 January 2022
殿町国際戦略拠点「キングスカイフロント」から最新研究開発ニュース
(Kawasaki 19 January 2022) 日仏コラボレーションピッチ (Synthetic Biology and Health) 開催;キングスカイフロントに立地する実験動物中央研究所・70年にわたる独創的研究の実応用で世界の医療に貢献;SBI ホールディングス株式会社及び東京都立大学による米国科学誌「FEBS Open Bio」への5-ALA に関する研究論文発表。
ホームページ
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日仏コラボレーションピッチ ~Synthetic Biology and Health~ 開催
2021年11月26日、フランスのバイオクラスターであるジェノポール(Genopole)と川崎市産業振興財団はオンラインイベントを開催し、将来的なコラボレーションに向けて革新的なアイデアと技術を共有しました。
同ミーティングの目的は、2021年2月5日に川崎市産業振興財団(KIIP)と欧州最大級のバイオクラスターであるメディセン・パリ・レジョン(Medicen Paris Region:MPR)との間で締結された、産産および産学連携の促進に向けた覚書(MoU)に基づき、健康福祉分野でのビジネス交流を推進することです。
川崎市産業振興財団は、世界最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点、キングスカイフロントの活動振興を担っています。キングスカイフロントは、ライフサイエンスおよび環境分野の最先端研究開発拠点の一つとして、世界的な発展が期待されます。
ミーティングの模様は、KingSkyFront Lifescience Portal YouTubeサイトでご覧いただけます。
(https://youtu.be/35vBN6uVN80)
日仏コラボレーションピッチは、以下のプログラムに沿って午後5時に始まり、ピッチセッションでは、日仏よりそれぞれ3人のスピーカーが登壇しました。
オープニング
17:00~17:05 <開会の挨拶>Dr. Pepin(Genopole)
17:05~17:25 <主催者紹介>
1. 川崎市産業振興財団(KIIP)
2. Genopole
ピッチセッション
17:25~17:55 司会:Dr. Pepin(仏)
1. Abolis(スピーカー:Dr. Gwenael Servant)
2. Eukarys(スピーカー:Dr. Philippe Jais)
3. Hybrigenics Services(スピーカー:Dr. Marie-Edith Gourdel)
17:55~18:25 司会:河野裕(Ph.D)(日)
4. エリクサジェン・サイエンティフィック日本支店 代表 饗庭一博氏(Ph.D)
5. (株)遺伝子治療研究所 代表取締役 浅井 克仁氏
6. (株)ナレッジパレット 代表取締役 團野宏樹氏(Ph.D)
18:25~18:30 <閉会の挨拶>河野裕(KIIP)
詳しくは以下のウェブサイトをご参照ください。
1. MoU
https://tonomachi-ksf.kawasaki-net.ne.jp/pdf/2021120701.pdf
2. ミーティングのYouTube動画
https://youtu.be/35vBN6uVN80
3. Genopole
https://www.genopole.com/
4. 川崎市産業振興財団 殿町キングスカイフロントクラスター事業部(日本語)
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5. キングスカイフロント
https://www.king-skyfront.jp/
6. KING SKYFRONT iNewsletter
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キングスカイフロントに立地する実験動物中央研究所・70年にわたる独創的研究の実応用で世界の医療に貢献
「1952年、私の父である野村達次は、遺伝・微生物学的に高品質の実験動物を作製し医療と医学に貢献することを目的に、実験動物中央研究所(CIEA)を設立しました。今日、CIEAは、無菌動物技術と品質管理技術をベースに医学・創薬に有用性の高いヒト疾患モデル動物の開発と事業化を目指す世界トップレベルの研究機関として、世界的な評価を得ています。その礎を築いたのは父の先駆的な研究です」と、CIEAの理事長を務める野村龍太氏は言う。
実際に、過去70年にわたり、CIEAの科学者は、WHOと共にポリオの撲滅、筋ジストロフィー治療法の研究、再生・細胞医療の安全性の確認法の確立、がんをはじめとする疾患の治療薬の開発など、多岐にわたる国際プロジェクトで極めて重要な役割を担ってきた。
「CIEAは民間の独立した非営利研究機関ですから、研究費を自ら集めなければなりません。そのため、研究成果を事業化して企業にライセンスし、ロイヤリティー収入を次の研究に投入しています。このようなビジネスモデルこそがCIEAの神髄です。研究成果が世に出て使われてこそ、世界の人々の健康に貢献できると考えています。」
CIEAが開発を進めるユニークなヒト疾患動物モデル
CIEAは研究部門、基盤技術部門および受託・技術開発部門の3部門で構成されている。
研究開発は、研究部門にある下記の各研究部において行われている。
実験動物基礎研究部
同研究部にある免疫研究室では、免疫不全マウスの開発を通してヒトの細胞・組織を生着させる「ヒト化マウス」を作製している。なかでも実中研で開発した超免疫不全「NOGマウス」にヒト血液免疫系を再構築するための研究を行い、さらに新しい遺伝子改変技術を通して創薬・安全性試験などの研究開発現場でのin vivo実験を可能にするモデル動物を作出している。
実験動物応用研究部
同研究部は3つの研究室で構成される。まずヒト疾患モデル研究室では、アレルギー、感染症、自己免疫疾患などヒト疾患を再現する動物モデルを構築することを目的に、遺伝子改変技術を活用した新たなヒト化マウスを開発している。次にヒト臓器/組織モデル研究室では、肝炎ウイルスやマラリアなど感染症研究や新薬開発に活用できる動物実験モデルとして、肝臓を標的としたヒト化モデルの開発に注力している。肝臓ヒト化マウスの肝臓は8割以上がヒト肝細胞に置換されており、遺伝子やタンパク質の発現パターンだけでなく、薬物代謝の特性もヒトに類似することが明らかにされている。そして腫瘍研究室では、ヌードマウスの誕生以来30年以上の歳月をかけて500株以上の腫瘍細胞(ゼノグラフト)株を樹立しており、治療標的分子の探索や抗がん剤スクリーニング等の創薬研究の場に提供している。
マーモセット医学生物学研究部
マウスとヒトは、生理学的、解剖学的に異なる点が多く、特に知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知機能はマウスモデルで再現する事は困難である。そのためヒトと似た特徴を多く持つ霊長類の実験動物が重要な役割を果たす。同研究部は、小型霊長類コモンマーモセットの発生工学、繁殖生理学研究を通じて患者に安心・安全な新薬、新規治療法を届けるシステムの構築を目指している。特に、2009年のトランスジェニックマーモセットの作出により、導入したヒト遺伝子が体内で安定して機能し、さらに導入した遺伝子が子孫にも伝達することが証明された。これにより、非ヒト霊長類を用いた遺伝子改変による疾患モデルの作出が可能となった。
ライブイメージングセンター
In vivo 実験医学において同センターの目指している生命科学の最終ゴールは、ヒトの生命機能の解明と病気の克服である。そのために、多くの年月をかけて基盤技術の整備が行われてきた。ライブイメージングセンターでは磁気共鳴画像装置(MRI)、マイクロX 線CT、in vivo蛍光イメージング装置を用いたin vivo イメージングを行っている。またin vivoイメージングは、実験動物の代替(Replacement)、削減(Reduction)、苦痛排除(Refinement)という、動物福祉のために必要な3R実践のための強力な手法であり、非侵襲かつ経時的な変化を捉えることができる。
国際連携と海外展開
「現在、ロイヤリティー収入の約3割を海外のライセンス先が占めています。今後、世界規模で施設や技術を開放し、海外の研究機関との連携を拡大することで、この割合を高めたいと考えています。」
新たな拡大領域の具体例として、「研究インバウンド」プロジェクトがある。これは、海外の提携先が、規制や法令の変更により自国で実施できない実験をCIEAで実施する、さらにCIEA独自のMRIや卵受精技術を使用するなど、CIEAでしか実施できない実験を行うというものである。
「さらに高度なヒト化マウスの作製も進める予定です。たとえば、多臓器/多組織マウスモデルの作製、ヒト病理の再現などで、これら2つの領域間でインタラクションとフィードバックが行われます。」
多臓器/多組織モデルの具体的な例として、機能的なヒト血液・免疫系、ヒト肝臓、ヒト肺、ES/iPS由来組織(神経、肝臓、腸、肺、胸腺)などがある。また、ヒト病理の再現の例として、がん免疫、患者由来ゼノグラフト(PDX)モデルの拡充、自己免疫疾患、感染症、および神経変性疾患患者由来iPS細胞などがある。
CIEAの研究活動を医療や医学における新たなトレンドとシンクロナイズ
「CIEAでの研究は、現代人類が直面する問題の解決に貢献すべく絶え間なく進化しています。たとえば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって生じる、新たな医療上の課題へのソリューションを見出す上で、重要な役割を担いたいと考えています。今回のCOVID-19のみならず、今後出現する新たなウイルスにも広く対応できるヒトの肺を持った世界初のヒト化マウスの開発をはじめ、新型コロナウイルス感染症の後遺症に関連するうつ病などの疾患治療に向けた、マーモセットを用いた動物モデルの作製がその一例です。」
他にも、CIEA技術の多様化などのプロジェクトがある。たとえば、優れた再現性を誇る、人工授精用の半自動マニュピュレータがある。野村氏は、「本技術は、日本精工株式会社と共同開発したもので、出生率低下への取り組みにおいて大きな潜在力を秘めています。人が行う人工授精の成功率は、わずか20~60%です。CIEAの技術は半自動であるため、卵受精プロセスにおいてコンピュータを活用し正確且つ簡単に操作できます。これは、世界規模で医療に大きく貢献し、少子化問題の解決に寄与できると期待しています」と述べている。
川﨑市殿町のキングスカイフロントについて
「CIEAは、キングスカイフロントに移転した研究機関第1号でした。2008年に移転を決定し、2011年に運営を開始しました。どの角度から見ても、空から見てもCIEAとわかるよう、私は屋根にCIEAロゴを描くことにこだわりました。まさに、どこから見てもCIEAとわかります。」
野村氏は、キングスカイフロントネットワーク協議会会長も務めており、キングスカイフロントに立地する70超の機関の、国内外での認知度向上に向けたアウトリーチイベントの企画で中心的な役割を担っている。たとえば、キングスカイフロントに立地する機関が企画する、親子で楽しめる夏の科学イベント、世界各地からスピーカーを招聘する、ネットワーキングセッションに主眼を置いたセミナーやシンポジウム、さらにはキングスカイフロントで勤務する人を対象とした小規模な会合などがある。
「多様な経歴と専門知識を持つ人たちが定期的にネットワーキングや交流を行うことは、キングスカイフロントがダイナミックかつクリエイティブであり続ける上で極めて重要です。2022年3月には、キングスカイフロントと羽田空港をつなぎ、国内外の交流活性化を可能にする多摩川スカイブリッジが開通するなど、今後も大きな進展が期待されます」と、野村氏は述べ、次のように続けた。
「多摩川スカイブリッジが、藤田医科大学をはじめ、近隣の保健研究機関とCIEAのコラボレーションの一環として、メディカルツーリズムや不妊治療など、新たなビジネスチャンスをもたらすことを願っています。キングスカイフロントはこれからも、ライフサイエンス分野における世界トップレベルの研究ハブであり続けると確信しています。」
詳しく見る
CIEAウェブサイト:
https://www.ciea.or.jp/
東京都立大学による米国科学誌「FEBS Open Bio」への5-ALA に関する研究論文発表のお知らせ
~5-ALA/SFC でショウジョウバエの寿命が延びる可能性~
詳細はこちら
https://tonomachi-ksf.kawasaki-net.ne.jp/pdf/2022011102.pdf
キング スカイフロントについて
1.オープンイノベーション拠点
キングスカイフロントは、川崎市殿町地区(羽田空港の南西、多摩川の対岸)に位置する、世界最高水準の研究開発から新産業を創出するオープンイノベーション拠点です。
2.日本の成長戦略を牽引
約40haに及ぶこのエリアでは、健康・医療・福祉、環境といった課題の解決に貢献するとともに、この分野でのグローバルビジネスを生み出すことで、日本の成長戦略の一翼を担います。
3.様々な優遇制度の活用が可能
国家戦略特区・国際戦略総合特区・特定都市再生緊急整備地域に指定されているエリアであり、規制緩和・財政支援・税制支援等の様々な優遇制度の活用が可能です。
名前の由来
「キング(KING)」は、「Kawasaki INnovation Gateway」の頭文字と「殿町」の地名に由来しています。 「スカイフロント(SKYFRONT)」は、羽田空港の目の前という立地や、このエリアが世界につながっていることを表しています。
問い合わせ
公益財団法人 川崎市産業振興財団
殿町キングスカイフロントクラスター事業部
〒210-0821 川崎市川崎区殿町3丁目25-13
川崎生命科学・環境研究センター(LiSE)1F
TEL:044-589-4780
Email: event-ksfcl@kawasaki-net.ne.jp
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