第37回「中堅企業経営者『景況感』意識調査」~世界29カ国同時調査~を発表
太陽グラントソントン
・世界29カ国の平均景況感(2020下半期7~12月期)は前回調査比14ポイント増の大幅な上昇
・約8割の調査対象国が前回調査比でプラスに
・日本の景況感は調査対象国中最も低い15%
太陽グラントソントンは、 2020年10~12月実施の2020年下半期(7~12月期)の非上場企業を中心とする中堅企業経営者の意識調査の結果を公表した。この調査は、グラントソントン主要加盟国が年に2回実施する世界同時調査の一環である。
全調査対象国平均でプラスを記録
世界29カ国の中堅企業経営者に対して行った自国経済の今後一年の見通しに関する2020年下半期(7~12月期)の調査結果では、全調査対象国の平均景況感は2020年5月~6月に実施した2020年上半期(1~6月期)の調査結果から14ポイント増の57%を記録し、大幅な上昇をみせた。さらに、国ごとでみると、大多数の国でマイナスに転じた前回調査より一転し、多くの国がプラスに転じ、二桁ポイント増を記録した国が多く目立った。新型コロナウイルの継続的な拡大により世界中の経済活動が厳しい状況に置かれながらも、記録的な最低水準まで落ち込んだ前回の結果から脱却する格好となった。一方で、2019年下半期の調査結果と比較すると、感染拡大前の水準への回復へは、一部を除き多くの国が道半ばであると伺える結果であった。
中国は80%台の大台に乗り調査対象国中最高水準を記録
日本・中国・米国・英国の4カ国をみると、中国が前回調査比18ポイント増と、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回る83%を記録し、強固な上昇をみせた。政権交代による過渡期に置かれている米国においても、前回調査では二桁ポイントの激しい下落をみせたが、 今回19ポイント増を達成し、感染拡大前の水準へと近づいた。
英国では8ポイント増、日本では9ポイント増と向上をみせたものの、いずれも全調査対象国平均を下回り、ことに日本においては再び最下位を記録し、継続した景況感の低さをみせた。
今回の結果について太陽グラントソントン顧問 中村毅夫は次のようにコメントしている。
「今年は、世界的なコロナ感染症の再拡大に伴う先行き不安の高まりとともに幕を開けた。各国で急ピッチの治療薬と予防ワクチン開発が進むがいまだ広範な処方実現までには至っていない。当面マスク着用と3密回避という相変わらずの地味な対応以外に効果的な手段がない中で、経済活動の回復に向けた青写真を描くのは容易ではない。
毎年恒例の世界銀行の世界経済見通しでは、20年-4%から21年+4%成長へとリバウンドを想定しており1、これを支える主力は逸早く回復に向かった中国を擁する東アジア・太平洋地域の+7%成長となっている。これは奇しくも今回の「中堅企業経営者『景況感』意識調査」結果と軌を一にする。しかし、こうした数字とは裏腹に世界銀行のトーンは警戒感に満ちている。今回の感染症の流行は財政基盤の脆弱な国々の累積債務リスクを増大させ、元々成長鈍化傾向にあった世界経済の一層大幅な減速を招く恐れがあると強調している。」
図1
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O1-R5BWRvMS 】
記録的な落ち込みから脱却
多数の国で景況感が向上するも
新型コロナウイルス前の水準へは届かず
今回の調査では、全調査対象国29カ国の景況感の平均は前回比14ポイント増の57%となり、全体のうち約8割の22カ国が回復した。前回比では回復したものの、前年同期比でみると、減少を示した国が19ヵ国と過半数を占め、新型コロナウイルスによる各国への継続的な影響が伺えた。
一方で、アジア太平洋地域では、第一位の中国の大幅な上昇もさることながら、ランキング上位にはインドネシア、インドが並び、7位のシンガポールは前回調査比29ポイント増と群を抜いた伸びをみせるなど、全体的に上昇を示した。
また、スペイン(29%)、フランス(32%)、イタリア(33%)、英国(39%)、ドイツ(41%)など、政府によるロックダウンや移動規制を含む厳しい新型コロナウイルス感染拡大防止措置がとられた欧州地域の国々の景況感は、全調査対象国平均より大きく離れ、低水準を記録した。
国ごとの上昇幅では、シンガポールに次いでインドネシア(23ポイント増)、アイルランド(22ポイント増)、ブラジル(21ポイント増)、と、二桁ポイント増の上昇幅を記録し、強固な回復をみせた。
対照的に、減少を記録した国は、ベトナム(15ポイント減)、次いでアラブ首長国連邦(9ポイント減)、マレーシア(6ポイント減)、フィリピンならびに南アフリカ(5ポイント減)となり、ベトナムをのぞき、減少幅は比較的小さいものであった。
さらにランキング下位には日本(15%)、韓国(17%)、ロシア(21%)、がならび、とくに日本と韓国はこれまでの調査に引き続き非常に悲観的な景況感を示した。
<調査実施期間>
2020年下半期:2020年10月~12月(29カ国)
2020年上半期:2020年5月~6月(29カ国)
2019年下半期:2019年10月~11月(32カ国)
図2
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O2-7YmldPl3 】
日本企業の新型コロナウイルスによる影響
過半数の企業が売上高・営業利益の減少を認識
日本の中堅企業に、新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響を前年同期比で尋ねたところ、売上高については前回調査から引き続きおよそ6割の企業が減少を認識し、そのうち30%以上の減少を認識している企業は11%に低下し、一方で10%の減少を認識している企業は37%に増加した。(図3)
営業利益については、減少を認識した企業の割合は前回比とほぼ同等であったものの、30%以上の減少を認識した企業は9ポイント減の14%に収まり、さらに増加を認識した企業は8ポイント増の11%に伸びた。(図4)
コストへの影響については、前回同様半数以上の企業が大きな影響はないと回答し、内訳も概ね横ばいであった。(図5)
図3、4、5
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O3-49EKV46f 】
現時点で大きく影響を受けている点については、「人材の確保」を除く全ての項目においてわずかながらもポイントが減少した。前回に引き続き、「渡航および移動制限による出張や営業活動への影響」(55%)との回答が最も多かった。(図6)
今後の経営面での影響については、前回最も多かった「国内消費の低迷」がさらに増加し54%となった。(図7)
さらに、今後政府に期待する対応に関しても、前回同様「減税や補助金などの景気対策」(58%)を求める声が依然として多く挙げられ、「設備投資の優遇措置」は前回調査の数値を上回った。(図8)
図6
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O6-1wP2V8iS 】
図7
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O8-8Jl9KJ03 】
図8
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O13-EztnE227 】
各国における新型コロナウイルスによる影響
日本の企業の収益見込みはワースト1位に
新型コロナウイルスが自社の経営に与えた影響に関する質問について、調査対象各国の回答を見てみると、収益に関しては、減収を見込んでいる企業の割合が調査対象国全体で44.1%となり、「1%~9%減少」または「10%~19%減少」と回答した企業は全体の3割を超えた。
対照的に、中国と米国については、収益の増加を見込む企業の割合は減少を見込む企業の割合を上回り、特に「1%~9%増加」と回答した企業の割合は、中国で36.1%、米国では34.0%と、高い水準を記録した。
日本においては、増加を見込んだ企業の割合は12.3%であり、減少を見込んだ企業の割合は69.2%と、いずれも全調査対象国のうち最低の水準であった。英国については、概ね調査対象国平均と同等の水準であった。(図9)
図9
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O11-zyp7epy2 】
今後の市場回復に備えた計画について尋ねたところ、調査対象国平均では、 「組織の復旧に向けたテクノロジーの活用」次いで 「組織の復旧に向けたテクノロジーの活用」を挙げる声が最も多かった。
世界をみても極めて感染拡大が激しい米国では、 これらの項目を選択した企業の割合は約半数の49%にのぼり、長期化するコロナ禍での経済活動の維持に向けて、企業の安全衛生と環境整備に関する意識変化がうかがえる結果となった。(図10)
図10
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202101280292-O12-8B7x7nU8 】
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