「生理(月経)をはじめとする女性ホルモンに関する男女の意識調査」
あすか製薬株式会社
「生理(月経)をはじめとする女性ホルモンに関する男女の意識調査」
もうひとりで抱え込まないで!
男性の8割は女性ホルモンによるつらい症状を理解したいと思っている
女性ホルモンによるつらい症状への理解が広がらないハードルは
日本人らしい「オープンな話題にしにくい風潮」が第1位に
産婦人科領域を中心に、長きにわたり女性の健康を見つめてきたあすか製薬株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山口 隆)の創立100周年を機に設立された「女性のための健康ラボMint⁺」は、この度「生理(月経)をはじめとする女性ホルモンによる女性特有のつらい症状に関する男女の意識調査」を行いました。
女性の体と健康についての正しい情報について、女性だけでなく男性も含めた社会全般に正しくご理解いただくことは、当社が取り組むべき重要な使命と捉え、今回の調査では、女性だけでなく男性の意識に関しても調査を実施しました。
また、本調査結果を踏まえて、産婦人科医の吉村泰典先生にコメントをいただきました。
●主な調査結果
女性の生理(月経)について理解している男性は4割
・生理について「知識がある」と答えたのは、女性80.0%に対し、男性は42.3%。
・「生理中だけでなく排卵日前後や生理前などにもつらい症状が起こる」と認知する男性は36.8%。
・生理の知識は学校教育のほかに、女性は「インターネット検索」(27.6%)、男性は「パートナー」(33.7%)から学ぶ。
女性の7割が女性特有のつらい症状を経験する
・「腹痛」(72.7%)、「イライラ」(68.2%)、「だるさ」(63.0%)など、全体の67.3%が女性ホルモンによるつらい症状を経験。特に、20代女性75.0%、30代女性79.8%と若い世代に多い。
・対処方法は「市販の薬」(58.5%)、「休養」(47.6%)、「体を温める」(42.1%)などで、「医療機関に相談」しているのは11.2%で、現在の対処方法に「満足」している女性は11.1%。
女性パートナーがいる男性の7割は女性のつらい症状を理解、4人に1人は「八つ当たり」される
・女性パートナーがいる男性の73.9%はパートナーのつらい症状を認知。うち4人に1人はパートナーから「八つ当たりされる」(23.6%)と感じている。
男女とも女性のつらい症状の理解を望むも、話題にしにくい風潮と男女の意識差が障壁に
・女性特有のつらい症状について、理解してほしい女性87.0%、理解したい男性79.6%と、男女共に理解を望む。
・理解が進まない障壁は「オープンな話題にしにくい風潮」(女性57.0%、男性61.8%)が男女共に一番の理由。
・さらに男女の意識差も障壁に。「大したことではないという考え」女性41.6%:男性12.0%と29.6ポイントもの意識差。
産婦人科医・吉村泰典先生に聞く調査結果のポイント
調査概要 ■実施時期:2020年6月19日(金)~6月22日(月) ■調査手法:インターネット調査 ■調査対象:全国の20代〜50代男女832人(男女各416人)
※構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しています。合計しても必ずしも100%にならない場合があります。
生理に関する理解度とその情報源は?
女性の生理(月経)を理解している男性は約4割
20代〜50代の男女832人(男女各416人)を対象に、女性ホルモンに関する調査を行いました。
まず、女性ホルモンと聞いて最も身近な生理(月経)について、どの程度の知識があるかと聞くと、「知識がある」と答えたのは女性は80.0%でしたが、男性は42.3%と半数以下でした[図1-1]。
生理について知っていることを聞くと、男女とも「生理中に腹痛が生じる」(女性88.7%、男性69.5%)、「症状の有無や程度は、個人差がある」(女性87.0%、男性64.9%)の認知率が高くなっています。女性の認知率が高いのは当然ですが、「排卵が起こらなくても生理がくることがある」については女性でも50.2%しか認知していません。
また、男女差が大きいのは、「生理中だけでなく排卵日前後や生理前などにもつらい症状が起こることがある」(女性76.4%、男性36.8%)が39.7ポイント差、「生理中に腰痛が生じる」(女性83.2%、男性44.0%)が39.2ポイント差と大きなギャップが生じています[図1-2]。
生理前のつらい症状や生理中の腰痛など、女性特有のつらさは男性にはまだまだ認知されていないようです。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O1-mKYMGlHI 】
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O2-lxJUJAJE 】
生理の知識は小中学校の授業以外に、女性は「インターネット検索」、男性は「パートナー」から情報を得ている
生理の仕組みや働き、症状などについて知った情報源を聞くと、女性は「小学校の授業」(75.0%)、男性は「中学校の授業」(35.1%)と学校での授業が上位に挙げられました。また、学校教育以外で上位となったのは、男性は「パートナー」(33.7%)から、女性は「インターネット検索」(27.6%)で生理の情報を得ていることがわかりました[図2]。
女性のインターネット検索で得た生理の知識が、そのまま男性の生理に関する情報源につながっているという人も多いかもしれません。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O3-EU1bMH11 】
■男性は学校でも学べる機会は少ない!?
生理に関する情報源で、小中高の「学校教育」のいずれも回答しなかった男性を集計すると48.4%にも上りました。日本人男性の2人に1人は、生理について学校の授業で学んだ記憶がないということがわかりました。
女性ホルモンによるつらい症状の実情とは?
「腹痛」「イライラ」「だるさ」など、女性の約7割が女性ホルモンによるつらい症状を経験
女性に生理痛や更年期障害などの女性ホルモンによるつらい症状があるかと聞くと、67.3%が「つらい症状を感じる(症状を感じる+やや症状を感じる)」と答えました。20代75.0%、30代79.8%と若い世代の方がつらさを感じるようです[図3-1]。具体的には「腹痛」(72.7%)、「イライラ」(68.2%)、「だるさ」(63.0%)の症状が高くなっています[図3-2]。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O4-897rXyqF 】
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O5-f2X1RG89 】
女性のパートナーがいる男性の約7割は、パートナーのつらい症状を理解
男性の約4人に1人はパートナーの女性に「八つ当たりされる」と感じている
妻や恋人など女性のパートナーがいる男性287人に、パートナーの女性ホルモンによるつらい症状を知っているか聞くと、73.9%はパートナーのつらい症状を認知しており、20代男性では83.9%と認知度が高くなっています[図4-1]。パートナーのつらい症状を認知している男性212人に認知している症状を聞くと、「イライラ」(49.1%)、「腹痛」(48.6%)、「体がだるい」(42.9%)が上位となり、「八つ当たりされる」と答えた男性も23.6%います[図4-2]。
女性のつらい症状が原因によるエピソードについて聞くと、女性からは「つらいのに怠けていると思われる」「普段は気にならない些細なことで当たってしまう」「自己嫌悪に陥る」、男性からは「突然攻撃的になる」「我慢するようにしている」「気遣おうとしたのに『あなたにはわからない』と言われた」などの意見が寄せられました。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O6-t6VDkZ3Z 】
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O7-ddXvbeJE 】
女性のつらい症状に対する女性の意見
・私のPMDDが酷く、恋人に対して傷つく発言をしてしまい、「俺は傷ついた、ほっといてほしい」と言われ、別れの危機に(北海道29歳)
・夫は毎月の生理による私の体調不良は、わたしの管理不足のせいだと思っている。自分ではコントロールできないホルモンバランスの乱れの辛さは、理解されないんだなと思い悲しくなりました(愛知県35歳)
・「生理は病気じゃないから痛いと言うのは大袈裟」と言われ傷ついた。出血過多で貧血になりフラフラすると、食生活が悪いと言われたのも辛かった(長野県46歳)
・関節痛や頭痛、強烈な眠気やホットフラッシュが時々起こりますが、職場の人には気遣ってもらえない。女同士でもわかってもらえないのが辛い(東京都50歳)
女性のつらい症状に対する男性の意見
・当時付き合っていた彼女が生理痛の際に、優しくしているつもりだったが、「男性だからきつさはわからない」と言われて辛かった(福岡県25歳)
・妻は生理痛が酷く、生理前後は気分のムラが激しく言い合いになることがある。しかし、生理が終わると何も無かったかのように振る舞うので、生理とはこのようなものだと思い、我慢するようにしている(福岡県31歳)
・更年期障害の妻をささいな一言で傷つけてしまい、『距離をおきたい』と言われて別居状態となってしまった(福岡県47歳)
・気にさわるようなことを言っていないのに、突然、攻撃的なスタンスで話をしてくる。話がきちんと伝わらずお互いの意思を疎通することができない(群馬県56歳)
女性ホルモンによるつらい症状への対処方法は?
女性特有のつらい症状への対処方法は、「市販薬」「休む」「温める」など手軽なことが主流
医療機関に相談したり治療をする女性はわずか1割
女性ホルモンによる女性特有のつらい症状を自覚する女性330人に、症状への対処方法を聞きました。すると、「痛み止めなどの市販薬を飲む」(58.5%)、「休養を取る/安静にする」(47.6%)、「お腹や腰など、体を温める」(42.1%)、「たくさん寝る」(38.5%)、「お風呂にゆっくり入る」(24.8%)などが上位に挙げられました。市販の薬を飲んだり、休んだり、温めたり、手軽な方法が選択されており、「医療機関に相談する」女性は11.2%と少なく、「医療機関で処方される薬(月経困難症の治療薬など)で対処」(10.6%)や「医療機関で処方されるホルモン補充療法」(4.8%)などの積極的な治療を行う女性はわずかでした[図5-1]。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O8-1Qsg7a3j 】
現在の対処方法が「十分とはいえない」と感じている人は半数以上
つらい症状に対して何らかの対処をしていると答えた女性305人に、現在の対処方法に対する満足度を聞きました。
すると、「満足している」と答えたのは11.1%と少なく、「どちらともいえない」「あまり満足していない」「満足していない」と現在の対処方法が十分とはいえないと感じている人は55.4%と半数以上であることがわかりました[図5-2]。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O9-fPqqGurm 】
女性がつらい症状のとき、パートナーとうまくいくよう対処していることを聞くと、女性は「我慢せずどうつらいのかを伝える」「感謝する」、男性からは「つらいことを伝えてもらう」「負担のかからないよう気をつける」などの積極的な関与のほか、男女ともに「そっとしておく/しておいてもらう」などの工夫も寄せられ、それぞれのパートナーシップにとって、よりよい対処方法を選択しているようです。
女性のつらい症状に対し、女性がパートナーとうまくいくように対処していること
・パートナーと生理について、つらさやどういう症状が出てくるのか一緒に学んで理解を深めていき知ってもらうこと(滋賀県26歳)
・症状が落ち着いたら、パートナーに感謝を伝える(静岡県38歳)
・今までは無理をして家事をこなしていたが、今は正直に無理だからと申し出てスーパーのお惣菜などを買ってきてもらっている(茨城県46歳)
・分かるはずはないが、煩がられても事細かに今の自分の状況を伝える。出来ないことは協力してもらう。子供のことは夫でも出来そうなことは全て任せる。夫の世話はしない(北海道50歳)
女性のつらい症状に対し、男性がパートナーとうまくいくように対処していること
・「体調や気持ちの変化がある場合には、臆せず自分から伝えてほしい」とパートナーにお願いしている(東京都28歳)
・生理期間中の休日はあまり外出をしないようにして、負担のかからないようには気をつけている(北海道36歳)
・生理中でキツイときは素直に言ってもらう。イライラして八つ当たりをされたときは軽く流す(大分県40歳)
・会話時間を多くとる(兵庫県59歳)
女性ホルモンによるつらい症状への理解は深まるか?
女性ホルモンによるつらい症状について、女性の約9割が理解してほしいと願い、男性の約8割が理解したいと望んでいる
女性全員に、パートナーや男性を含めた周囲の人に、女性ホルモンによるつらい症状について理解してほしいかと聞くと、57.5%が「理解してほしい」と答え、「やや理解してほしい」(29.6%)と合わせて、女性の87.0%が理解してほしいと答えました。年代別に見ると、30代女性が95.2%と最も高くなっています[図6-1]。女性にとっての30代は、結婚、出産、仕事、家事、育児などライフステージが大きく変わる時期。つらい症状への理解をより求めたい年代といえそうです。
次に男性全員に、女性が抱える女性ホルモンによるつらい症状について理解したいかと聞くと、41.3%が「理解したい」、38.2%が「やや理解したい」と答え、男性の79.6%が「理解したい」と考えていることがわかりました。20代(83.7%)、30代(82.7%)の若い男性の方が理解したい意向がより高くなっています[図6-2]。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O10-046Ow7g5 】
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O11-zvpnbD9N 】
女性ホルモンによるつらい症状の相互理解、いちばんのハードルは「話題にしにくい風潮」
男女の意識差が最も大きいのは、「つらい症状は大したことではないという考え方」
女性ホルモンによるつらい症状について男女共に理解を望んでいますが、現実的にまだまだ十分とはいえません。そこで女性のつらい症状への理解を広める上で何がハードルになっているかと聞くと、男女とも1位「オープンな話題にしにくい風潮」(女性57.0%、男性61.8%)、2位「『女性のつらい症状に関心のない男性』が『つらい症状のある女性』を理解しようとしないこと」(女性55.0%、男性35.6%)となり、次いで女性は「『つらい症状がない女性』が『つらい症状のある女性』を理解しようとしないこと」(42.8%)、男性は「適切な情報源の見つけづらさ」(25.0%)が挙げられました。男女差が大きいのは「女性ホルモンによるつらい症状は大したことではないという考え」で、女性41.6%、男性12.0%と女性のスコアが高く、29.6ポイントもの意識差が生じています[図7]。女性は「月経によるつらい症状は大したことではなく、我慢するのが当然だと思われている」「症状のない人には理解してもらえない」と考え、つらさを抱え込んでいるのかもしれません。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O12-tKZsyC9u 】
産婦人科医・吉村泰典先生のコメント
<学校教育から生殖に関する正しい知識の習得を>
今回の調査で、月経に関する理解度において、「理解している」と回答した男性は4割程度という低い結果となりました。わが国の生殖に関する知識は、先進諸国の中でも低く、これまでの学校教育において、男女共に月経や妊娠のしくみなどの生殖に関する知識を学ぶ機会が非常に少なかったというのが現状です。今回の結果は、将来のわが国における生殖に関する学校教育がいかに重要かということを明示しています。特に男性は、中学校の授業やパートナーから知識を得ている割合が多く、今後は女性と同じように月経に関する正しい知識を学校教育で学んでいくことが大切です。
<男性が女性の体の「しくみ」をよく理解することが重要>
女性ホルモンのつらい症状への理解において、男性の約8割が「理解したい」と望んでいるのに、女性の約9割が「理解してほしい」と感じているのは、男性側は「理解したい」という思いがあっても、十分に理解をするための行動までには至らず、女性から見れば「まだまだ理解が足りていない」と感じているからなのです。現代女性の約半分は月経痛で苦しんでいますが、この苦しみが男性には理解されていないというのが現状です。これが男女間のギャップにつながっています。
また、理解したいと望んでいるにもかかわらず、それが難しいのは、正しい情報を発信する医療者側の問題でもあり、社会全体で正しい知識を得ることができるツールや仕組みを作っていくことが非常に大切であると考えます。
<月経などのつらい症状、一人でがまんしないで産婦人科医に相談を>
つらい症状への対処法として、医療機関へ行っている人が1割程度と極めて低く、約6割の女性が市販の薬で対処していることが非常に驚きでした。市販薬を飲むことや体を温めることは決して悪いことではありませんが、これらの対処法は根治療法ではありません。思春期から月経トラブルを解決していくことは、将来の骨粗しょう症、糖尿病、脂質代謝異常などの生活習慣病の予防につながるため、月経痛や月経困難症などのつらさを取るためのファーストラインとして、産婦人科医に相談することが大切です。
女性の月経に伴うつらい症状により会社を休んだり、集中できなかったりすることで、年間約6,000億~7,000億円もの経済損失があるといわれています*。こうした症状は、女性が社会で活躍するのを妨げる要因の一つなのです。女性がいきいきと社会で活躍していくためにも、つらい症状をがまんせず、適切な治療を受けることをお勧めします。
* Tanaka E et al.: J Med Econ. 2013;16(11): 1255-1266
慶應義塾大学名誉教授 福島県立医科大学副学長 吉村泰典(よしむら・やすのり)先生
1975年 慶應義塾大学医学部卒業。米国留学等を経て95年より同大学医学部産婦人科教授、現在は同大学名誉教授。日本産科婦人科学会理事長等、数々の学会理事長を歴任。2012年に女性と子どもの未来を考える一般社団法人「吉村やすのり 生命(いのち)の環境研究所」を設立。第2次~第4次安倍内閣で内閣官房参与として少子化対策・子育て支援を担当。
これまで3千人以上の不妊症、5千人以上の分娩など数多くの患者の治療を担当。福島県立大野病院問題の解決、HPVワクチンの公的助成や特定不妊治療費助成制度の確立、周産期医療従事者の待遇改善、出産育児一時金や妊婦健診の公的助成の増額など、わが国の周産期医療の危機を救い、女性の健康力増進に貢献。『生殖医療の未来学―生まれてくる子どものために―』など、生殖医学に関する著書多数。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202009284913-O13-Gku5O8vT 】
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