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AI・デジタルヘルスの進歩を見据えた新たな保険償還制度に関する提言


「AI・デジタルヘルス研究会からの提言」を発表



2020年9月14日

公益財団法人医療機器センター



 公益財団法人医療機器センター(所在地:東京都文京区、理事長:菊地眞)では、AI・デジタルヘルスの進歩を見据えた新たな保険償還制度のあり方の検討をするため、昨年11月に13名の有識者により構成される『デジタルヘルスの進歩を見据えた医療技術の保険償還のあり方に関する研究会(略称「AI・デジタルヘルス研究会;座長 国際医療福祉大学 名誉学長 谷修一氏)」を設置して計5回にわたる検討を進め、このたび報告書をとりまとめました。



■検討の背景

 デジタルヘルスに関するわが国の研究開発振興策が進み、また医師法、医薬品医療機器等法等の取扱いが明確化されつつある中、企業が事業化する際に最も重要視するデジタルヘルスに関する医療技術(以下、デジタルヘルス)の保険償還に関する議論は未だ行われていませんでした。そこで、多くの参入企業が求めている開発投資の出口論である保険償還に関する予見可能性を高め、企業側の更なる研究開発意欲を喚起すべくデジタルヘルスの進歩を見据えた新しい保険償還のあり方についての検討が必要と考えられました。

 今の医療保険の枠組みではデジタルヘルスの「特性」が積極的に加算等による上乗せ評価がなされにくい構造になっています。現行制度では、上乗せ評価されるか否かは患者にとっての臨床的有効性・安全性が高まることが大きな判断基準となっていますが、デジタルヘルスのユニークさは、医療従事者の負担軽減や、医療従事者間の技術の平準化、患者の利便性向上等にあるからです。医療従事者の負担軽減等のデジタルヘルスの特長を積極的に評価しないことは、人口減少や働き方改革、感染予防が長期的に求められるといった大きな環境変化の下で、これからの日本に求められる医療・介護サービスの生産性の向上のせっかくの機会を逸することになります。

 本検討は狭義にはAIを含むデジタルヘルス分野の推進を図る産業界を後押しするものですが、広義にはこれからの「国民の健康寿命の延伸」と「医療・介護サービスの生産性の向上」の実現にデジタルヘルスが貢献していくものとなるため、現行制度の課題を解消した新たな評価制度の検討が望まれると考えました。



■検討結果の骨子(詳細は別紙報告書のとおり)

 AIを含むデジタルヘルス分野の開発競争が世界的に激化するなか、世界に先駆けて当該技術を国民・患者に提供することを目指し、デジタルヘルスの特性を踏まえた保険償還制度のあり方として次の5つを提案しました。

 デジタルヘルスの特性を踏まえると、その保険償還は、①包括評価で、②アウトカム評価も含める仕組みにすることが必要と考えます。また、デジタルヘルスはデータ収集に対する親和性が高いことから、③一定期間データを収集し、再評価を行う仕組みの導入も必要と考えます。同時に、デジタルヘルスの評価にあっては、従来の知見に加え、さらに異なる分野の専門性や専門家が必然的に求められることから、④新規の専門の組織を中央社会保険医療協議会(中医協)に設置することが必要と考えます。また、医療保険で評価されているデジタルヘルスに関する医療技術とそうでないものを明確に区別するためにも、⑤デジタルヘルスに即した報酬項目の新設が必要となると考えます。

 AI・デジタルヘルス研究会は、上記をデジタルヘルスに関する医療技術の評価のあり方に関する5つの提言としてまとめました。



■今後の期待

 AI・デジタルヘルス研究会は、本検討結果が関係各所による今後の検討の基礎となり、さらなる議論が進み、制度として具現化することを期待しています。



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