ベネトクラクス、化学療法が非適応の初発の急性骨髄性白血病患者の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得
アッヴィ合同会社
アッヴィ、ベネトクラクスについて、強力な化学療法が適応とならない初発の急性骨髄性白血病患者さんに対する治療薬として米国FDAより迅速承認を取得
●急性骨髄性白血病(AML)は最も侵襲性が高い血液がんの1つで、強力な化学療法が適応とならない患者さんにおける生存率は極めて低く、治療選択肢は極めて限られている現状 [1,2]
•ベネトクラクスは、初発のAMLおよび再発/難治性(R/R)慢性リンパ性白血病(CLL)、2種類の血液がんに対する治療薬として米国で承認を取得
•AML治療を適応とする今回の承認は、米国食品医薬品局(FDA)より4つの画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を取得した経口BCL-2阻害剤、ベネトクラクスにとって優先審査を経た3番目の承認 [3,4,5,6]
イリノイ州ノースシカゴ、2018年11月21日(米国時間)-グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE: ABBV)は、75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない初発の急性骨髄性白血病(AML)成人患者さんに対する治療として、ベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法について迅速承認を米国FDAより取得したことを発表しました。今回の適応は奏効率に基づく迅速承認で、検証的試験で臨床的有用性を確認し、示すことにより本適応に対する継続的な承認が見込まれます7。
強力な化学療法が、AMLと診断されたすべての患者さんにとって適切であるとは限りません8。高齢(70歳以上)のAML患者さん446例を対象とした解析では、強力な化学療法を実施できる可能性があるものの、ほとんどの患者さんにとって有益とならない可能性があると結論づけられています8。AML患者さんが強力な化学療法に耐えることができない理由は、年齢、全身の活動状態および併存疾患など、多くの要因が挙げられます8。強力な化学療法が適応とならない患者さんの生存期間中央値は5~10カ月とされています1。
アッヴィの研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント兼最高科学責任者のマイケル・セヴェリーノ医師(M.D.)は次のように述べています。「AMLは極めて侵襲性が高く、消耗性の高い血液がんで、強力な化学療法が適応とならない患者さんの予後は極めて不良です。今回のベネトクラクスの承認は、アッヴィにとって、さらには生命に関わるAMLを有する患者さんにとって重要なマイルストーンとなります。今後もベネトクラクスの開発を継続するとともに、悪性度の高い他のがんに対する先進的な治療選択肢の開発に取り組んでまいります」
FDAによる今回の迅速承認は、75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない初発のAML患者さんを対象とした2つの非盲検、非無作為化試験に基づいています。1つはベネトクラクスとアザシチジン併用療法(67例)またはベネトクラクスとデシタビン併用療法(13例)を検討したM14-358試験で、もう1つはベネトクラクスとLDAC併用療法(61例)を検討したM14-387試験です7。有効性は完全寛解(CR)率およびCRの継続期間に基づき検証されました7。
M14-358試験では、ベネトクラクスとアザシチジン併用療法群におけるCR率は37%、部分的な血液学的回復を伴う完全寛解(CRh)率は24%となりました。本試験に参加した患者さんの追跡調査期間の中央値は7.9カ月(範囲:0.4~36カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は5.5カ月(範囲:0.4~30カ月)で、最初のCRまたはCRh達成までの期間の中央値は1カ月(範囲:0.7~8.9カ月)でした。ベネトクラクスとデシタビン併用療法群におけるCR率は54%、CRh率は7.7%となりました。この併用療法を受けた患者さんの追跡調査期間の中央値は11カ月(範囲:0.7~21カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は4.7カ月(範囲:1~18カ月)で、最初のCRまたはCRh達成までの期間の中央値は1.9カ月(範囲:0.8~4.2カ月)でした7。
M14-387試験での、ベネトクラクスとLDAC併用療法群におけるCR率は21%、CRh 率は21%でした。患者さんの追跡調査期間の中央値は6.5カ月(範囲:0.3~34カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は6カ月(範囲:0.03~25カ月)で、最初のCRまたはCRh達成までの期間の中央値は1カ月(範囲:0.8~9.4カ月)でした7。
ベネトクラクスとアザシチジン併用療法群での、重篤な副作用は患者さんの75%にみられました。頻繁にみられた副作用(患者さんの5%以上でみられた副作用)は、発熱性好中球減少症、肺炎(真菌性肺炎を除く)、敗血症(真菌性敗血症を除く)、呼吸不全および多臓器機能不全症候群でした。ベネトクラクスとデシタビン併用療法群では、重篤な副作用が患者さんの85%にみられました。頻繁にみられた副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症、敗血症(真菌性敗血症を除く)、肺炎(真菌性肺炎を除く)、下痢、疲労、蜂巣炎および限局性感染でした7。
ベネトクラクスとLDAC併用療法群では、重篤な副作用が患者さんの95%にみられました。頻繁にみられた副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症、敗血症(真菌性敗血症を除く)、出血、肺炎(真菌性肺炎を除く)および医療機器関連感染でした7。
強力な化学療法が適応となりにくい高齢者を含むAML患者さんの治療については、医学界で議論が続いている課題の1つです。コロラド大学病院(米国)白血病科部長のDaniel Pollyea医師は、AML患者さんの治療経験について「A Physicians View: Facing the Challenges of Treating AML in Older Adults.」(https://stories.abbvie.com/stories/a-physicians-view-facing-challenges-treatingaml-in-older-adults.htm)で考察しています。
Pollyea医師は次のように述べています。「私のもとにはAMLに対する強力な治療が適応とならない患者さんが多く訪れます。治療には一般的に強力な化学療法が挙げられますが、最適な結果を達成するために必要な標準的化学療法に耐えられる60歳以上の患者さんはごく一部です。AMLの治療に新たな薬剤が適用されることは、患者さんやそのご家族にとって励みとなります。ベネトクラクスの承認は、強力な化学療法が適応とならないAML患者さんにとって、まさに画期的なことです」
経口BCL-2阻害剤のベネトクラクスは、FDAから4つの画期的治療薬(ブレークスルー・セラピー)の指定を取得しています3,4,5,6。ベネトクラクスとアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビン(LDAC)との併用療法は、75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない、初発のAML成人患者さんに対する治療薬としてFDAによる承認を取得しています。今回の適応は奏効率に基づく迅速承認で、検証的試験で臨床的有用性を確認し、示すことにより本適応に対する継続的な承認が見込まれます7。
AML治療を適応とする今回の承認は、ベネトクラクスにとって、FDAによる優先審査を経て取得した3番目の承認となります7。ベネトクラクスについては、強力な化学療法が適応とならないAML患者さんを対象に進行中の2つの第III相試験で研究が進められています9,10。
また、慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫(MM)、非ホジキンリンパ腫(NHL)および骨髄異形成症候群(MDS)など、他の血液がんに対する治療薬としても研究が進められています11,12,13。ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。
AMLの治療薬としての迅速承認の裏付けとなった臨床試験について
FDAによる今回の迅速承認は、75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない初発のAML患者さんを対象とした2つの非盲検、非無作為化試験に基づいています。Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)の基準による全身状態の評価スコアが2~3、重度の心臓もしくは肺の併存症、中等度の肝障害、CLcr(クレアチニン・クリアランス)が45 mL/分未満、またはその他の併存疾患のいずれか1つ以上に該当することを基準に患者さんを選択しました。有効性は、完全奏効(CR)率およびCRの継続期間に基づき評価されました7。
M14-358試験は、初発のAML患者さんを対象に、ベネトクラクスとアザシチジン併用療法(84例)およびベネトクラクスとデシタビン併用療法(31例)を検討する非無作為化、非盲検試験です。75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない患者さんは、ベネトクラクスとアザシチジン併用療法群で67例、ベネトクラクスとデシタビン併用療法群で13例でした。患者さんにはベネトクラクスを1日1回投与、最終的には1日1回の用量を400 mgまで増量しました7。
アザシチジン(67例):
CR率は37%[95%信頼区間(CI):26~50]、CRh率は24%(95% CI:14~36)でした。ベネトクラクスとアザシチジン併用療法群における追跡調査期間の中央値は7.9カ月(範囲:0.4~36カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は5.5カ月(範囲:0.4~30カ月)でした。寛解期間とは、CRが達成された時点からデータカットオフ日までの期間またはCR達成から再発までの期間です。最初のCRまたはCRh達成までの期間の中央値は1.0カ月(範囲:0.7~8.9カ月)でした7。
ベネトクラクスとアザシチジン併用療法を受けた患者さんのうち、後に幹細胞移植を受けた患者さんは7.5%(67例中5例)でした7。
本試験では、強力な寛解導入療法を妨げる併存疾患が確認されない患者さん17例を追加登録しました。これらの患者さんでのCR率は35%(95% CI:14~62)で、CRh率は41%(95% CI:8~67)でした。後に幹細胞移植を受けた患者さんは7例でした7。
グレードを問わず頻繁にみられた副作用(30%以上)は、悪心、下痢、便秘、好中球減少症、血小板減少症、出血、末梢性浮腫、嘔吐、疲労、発熱性好中球減少症、発疹および貧血でした7。重篤な副作用は患者さんの75%にみられました7。頻繁にみられた重篤な副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症、肺炎(真菌性肺炎を除く)、敗血症(真菌性敗血症を除く)、呼吸不全および多臓器機能不全症候群でした7。
デシタビン(13例):
CR率は54%(95% CI:25~81)、CRh率は7.7%(95% CI:0.2~36)でした。ベネトクラクスとデシタビン併用療法群における追跡調査期間の中央値は11カ月(範囲:0.7~21カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は4.7カ月(範囲:1.0~18カ月)でした。寛解期間とは、CRが達成された時点からデータカットオフ日までの期間またはCR達成から再発までの期間です。最初のCRまたはCRhを達成するまでの期間の中央値は1.9カ月(範囲:0.8~4.2カ月)でした7。
本試験では、強力な寛解導入療法を妨げる併存疾患が確認されない患者さん18例を追加登録しました。これらの患者さんでのCR率は56%(95% CI:31~79)で、CRh率は22%(95% CI:6.4~48)でした。後に幹細胞移植を受けた患者さんは3例でした7。
グレードを問わず頻繁にみられた副作用(30%以上)は、発熱性好中球減少症、便秘、疲労、血小板減少症、腹痛、浮動性めまい、出血、悪心、肺炎(真菌性肺炎を除く)、敗血症(真菌性敗血症を除く)、咳嗽、下痢、好中球減少症、背部痛、低血圧、筋肉痛、口腔咽頭痛、末梢性浮腫、発熱および発疹でした。重篤なARは患者さんの85%にみられました7。頻繁にみられた重篤な副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症、敗血症(真菌性敗血症を除く)、肺炎(真菌性肺炎を除く)、下痢、疲労、蜂巣炎および限局性感染でした7。
低用量シタラビン(61例):
M14-387試験は、初発のAML患者さんを対象に、ベネトクラクスと低用量シタラビン併用療法(82例)を検討する、非無作為化、非盲検試験です。これらの患者さんには、先行する血液疾患に対してDNAメチル化阻害薬の曝露歴がある患者さんも含まれます。75歳以上または併存疾患により強力な寛解導入療法が適応とならない患者さんは61例でした。患者さんには1日1回のベネトクラクス投与を開始し、最終的には1日1回の用量を600 mgまで増量しました7。
CR率は21%(95% CI:12~34)、CRh率は21%(95% CI:12~34)でした。追跡調査期間の中央値は6.5カ月(範囲:0.3~34カ月)でした。解析時点でCRを達成した患者さんにおける寛解期間の中央値は6.0カ月(範囲:0.03~25カ月)でした。寛解期間とは、CRが達成された時点からデータカットオフ日までの期間またはCR達成から再発までの期間です。最初のCRまたはCRh達成までの期間の中央値は1.0カ月(範囲:0.8~9.4カ月)でした7。
本試験では、強力な寛解導入化学療法を妨げる併存疾患が確認されない患者さん21例を追加登録しました。これらの患者さんでのCR率は33%(95% CI:15~57)で、CRh率は24%(95% CI:8.2~47)でした。後に幹細胞移植を受けた患者さんは1例でした7。
グレードを問わず頻繁にみられた副作用(30%以上)は、悪心、血小板減少症、出血、発熱性好中球減少症、好中球減少症、下痢、疲労、便秘および呼吸困難でした。重篤な副作用は患者さんの95%にみられました。頻繁にみられた重篤な副作用(5%以上)は、発熱性好中球減少症、敗血症(真菌性敗血症を除く)、出血、肺炎(真菌性肺炎を除く)および医療機器関連感染でした7。
ベネトクラクスについて(米国)
ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤です。いくつかの血液がんにおいて、BCL-2は、アポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止します。 ベネトクラクスはBCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用があります7。
ベネトクラクスはアッヴィとロシュ社が開発を行っています。米国ではアッヴィとロシュグループの一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売しています。これら数社共同でBCL-2研究に取り組んでおり、ベネトクラクスは種々の血液がんおよび他のがんを対象に複数の臨床試験で現在評価されています。
2016年4月、FDAは1つ以上のレジメン治療歴がありFDAが承認した検査法で染色体17p欠失が認められたCLL患者さんの治療薬として、ベネトクラクスの迅速承認を初めて認めました14。FDAは奏効率に基づき、この適応症を迅速承認しました14。2018年6月にはMURANO試験の結果に基づき、ベネトクラクスは染色体17p欠失の有無を問わず、1つ以上のレジメン治療歴があるCLL患者さんやSLL患者さんに対する治療薬として、リツキシマブ(遺伝子組換え)との併用療法または単剤療法が承認されました7。
ベネトクラクスは、米国を含め50カ国以上で承認されています。アッヴィとロシュ社は現在、治療を必要とするさらに多くの適格な患者さんにベネトクラクスを提供するため、世界中の規制当局と協力しています。
使用および重要な安全性情報(米国)
ベネトクラクスとは
ベネトクラクスは、以下を適応として使用する処方薬です。
• 染色体17p欠失の有無を問わず1つ以上のレジメン治療歴がある成人CLL患者さんまたはSLL患者さんの治療
• 以下に該当する初発のAML成人患者さんに対するアザシチジン、デシタビンまたは低用量シタラビンとの併用療法
○ 75歳以上、または
○ AML以外に、標準的な化学療法を妨げる医学的状態にある
ベネトクラクスの小児に対する安全性及び有効性データは確立されていません。
重要な安全性情報
ベネトクラクスについて認識しておくべき最も重要な情報とはどのようなものでしょうか。
ベネトクラクスは重篤な副作用を引き起こす可能性があります。以下に例を示します。
腫瘍崩壊症候群(TLS):TLSはがん細胞が短時間に崩壊することにより起こります。TLSは腎不全を引き起こし、透析治療が必要となる可能性があるほか、死に至ることもあります。担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与開始前に検査を行いTLSになるリスクがあるかを調べます。TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクスの投与開始前および投与中に、別の薬剤の投与を受けていただきます。補液の静脈内投与が必要になることもあります。また、ベネトクラクスの投与開始時および投与中に、TLSを調べるための血液検査を行います。
予約したとおりに血液検査を受けることが重要です。ベネトクラクス投与中に、発熱、悪寒、悪心、嘔吐、錯乱、息切れ、痙攣発作、不整脈、暗色尿、混濁尿、異常な疲労、筋肉痛、関節痛など、TLSの症状があらわれた場合は、すぐに担当の医療従事者に伝えてください。
TLSのリスクを低減させるため、ベネトクラクスを服用するときは水分を多くとること。
ベネトクラクス初回投与の2日前から毎日コップ6~8杯(合計で約56オンス)の水を飲み始め、初回投与当日や用量が増量されたときも毎回飲んでください。
副作用がみられた場合、担当の医療従事者は、ベネトクラクスの投与を延期、もしくは用量を減らす、または投与を中止することがあります。
ベネトクラクスを服用すべきでないのはどのような患者さんですか。
ベネトクラクスの服用を開始し、徐々に増量している間は、TLSのリスクが高まるため、特定の薬剤を服用しないでください。
• 処方薬、市販薬、ビタミン剤、ハーブサプリメントなど、服用している薬剤をすべて担当の医療従事者に伝えてください。ベネトクラクスと他剤が互いに影響し合い、重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。
• 担当の医療従事者に相談せずに、ベネトクラクス投与中に新たな薬剤の服用を開始しないでください。
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