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世界自然遺産の小笠原諸島南硫黄島で10年ぶりの自然環境調査の結果について


2017年9月12日



公立大学法人首都大学東京



世界自然遺産の小笠原諸島南硫黄島で

10年ぶりの自然環境調査の結果について







1 調査の目的及び概要



 首都大学東京は、東京都及び日本放送協会(NHK)との共同研究で、世界自然遺産に登録されている小笠原諸島南硫黄島において、平成19(2007)年以来10年ぶりの自然環境調査を実施しました(調査期間は平成29(2017)年6月13日から6月28日まで16日間)。

 南硫黄島は、急峻な地形や自然環境の厳しさから人が定住したことがなく、小笠原諸島で最も原生の自然が保たれている島で、自然環境保全法で立ち入りが禁止され、また文化財保護法で島自体が天然記念物として手厚く守られています(写真1)。

 今回は、植物、鳥類、昆虫、陸産貝類などの調査を実施するとともに、立ち入れるルート以外はドローンを使った空撮による記録調査を行いました。





2 主な調査結果(速報)



〇植物

・希少なラン科植物を発見

 ラン科クモキリソウ属の一種を発見した(写真2)。葉の形やDNA情報から、シマクモキリソウもしくは未記載種であると考えられる。シマクモキリソウは戦前には父島で記録があるが、1982年の南硫黄島調査以来、記録が無かった幻の植物である。南硫黄島では35年ぶりの再発見、79年ぶりの標本採取となる。現在、国立科学博物館で同定作業中である。



〇鳥類

・アカアシカツオドリの集団営巣地を国内初確認

世界の熱帯・亜熱帯の島しょで繁殖する海鳥であり、今まで南硫黄島の南部の崖上で多数の個体が樹上にとまる姿が確認されていたが、アプローチが難しく営巣の有無は不明だった。今回ドローンにより営巣が撮影され、国内初の集団営巣地を確認した(写真3)。



〇陸産貝類

・今回の調査により、3種の南硫黄島新記録種が得られた。

うち1種(リュウキュウノミガイ属の1種 殻長約2㎜)は未記載種で新種と考えられる(写真4)。



〇昆虫類

・ミナミイオウスジヒメカタゾウムシの再発見

平成27(2015)年に新種として記載された南硫黄島固有のゾウムシである「ミナミイオウスジヒメカタゾウムシ」は、これまで昭和56(1981)年の調査隊が持ち帰った標本1頭のみであったが、今回の調査で再確認された(写真5)。なお、今回も山頂部までの調査で1頭のみの確認であった。





3 調査結果の活用



 今回の調査結果は、南硫黄島が世界自然遺産地域としての価値を引き続き有していることの証明に活用する。また、採取・採集した個体やドローン画像などは、今後学術的な分析を行い、島の生態系を保全管理するための基礎資料とし、小笠原諸島全体の保全目標や保全計画を策定する際の科学的情報として活用する。







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