『ふくしまプライド。』漁業復興メディアセミナー 試験操業5年目、目指せ“常磐もの”復活!
チャレンジふくしま農林水産物販売力強化事業
広報事務局
平成28年度 チャレンジふくしま農林水産物販売力強化事業
『ふくしまプライド。』漁業復興メディアセミナー
試験操業5年目、目指せ“常磐もの”復活!
ホッキ飯、ウニの貝焼き、“浜のかあちゃん”の6次化商品等の試食会も実施
平成28年8月18日、都内にて開催
福島県では、「平成28年度 チャレンジふくしま農林水産物販売力強化事業」の一環として、『ふくしまプライド。』漁業復興メディアセミナー「試験操業5年目、目指せ“常磐もの”復活!」を、去る平成28年8月18日(木)に都市センターホテル(東京都千代田区)にて開催しました。当日は、新聞・雑誌・Webメディアの記者、フリージャーナリスト、テレビ局の報道関係者など58名を集め、福島県の沿岸部で行われ5年目を迎えた試験操業の現状と今後の展望について報告しました。
福島県沖の海域は、親潮と黒潮がぶつかる「潮目(しおめ)の海」と呼ばれており、豊穣な漁場が形成され、そこで獲れる海産物は“常磐もの”と称され、市場等で高い評価を受けてきました。
【“常磐もの”のシンボル、ヒラメの出荷制限等指示が解除】
平成24年6月に始まった試験操業は、今年で5年目を迎えました。今年6月9日には、“常磐もの”のシンボル的存在である福島県沖ヒラメの出荷制限等指示が4年ぶりに解除され、漁業関係者の間では、復興へ向けた機運が大きく高まっています。
【新・相馬原釜魚市場が今年9月に落成】
福島県の沿岸部は北部の相馬双葉地方(相双地方)と南部のいわき地方に大別され、ともに被災した漁業関係施設の復旧が着々と進み、平成27年3月26日には、いわき地方で新・小名浜魚市場等が竣工し、本年9月18日には、相双地方で松川浦漁港に新・相馬原釜魚市場が落成する予定です。
今回のメディアセミナーでは、試験操業5年目という節目を迎え、ヒラメの試験操業や相馬の魚市場落成を目前に控えたタイミングで、現場の漁業関係者も招いて、“常磐もの”復活へ向けた取組についてもアピールしていただきました。
News Letter 『ふくしまプライド。』漁業復興メディアセミナー
セミナー冒頭、主催者を代表して、福島県農林水産部長 小野和彦が、「福島県の漁業は復興へ向けて前へ進んでいます。漁業関係者の思いに耳を傾け、魚介類を活用した郷土料理もご賞味いただきながら、本県漁業の今の姿を肌で感じ取っていただきたい」と挨拶して会がスタートしました。
【平成27年4月以降、基準値超えはゼロ、同年7月以降は、90%以上が不検出で推移】
続いて、県水産課長の河合孝が、「福島県の漁業復興と安全性確保へ向けた取組」について報告しました。特に、水揚げされる魚介類の放射性物質については、今なお万全の体制で検査が行われ、平成27年4月以降、基準値超えはゼロで、同年7月以降は、90%以上が不検出で推移していることが伝えられました。また、こうした検査に基づき、いよいよヒラメの出荷制限等指示が解除されたことも、改めて報告しました。
【試験操業の対象種は73種まで増加】
底引き網漁業と船引網漁業の試験操業の様子を収めたビデオが上映された後、福島県漁業協同組合連合会 参事 兼 指導部 部長 渡邉浩明さんが、「試験操業の現状について」と題してプレゼンテーションを行いました。現在、試験操業の対象海域は、福島第一原発から半径20km圏内を除く福島県沖全域まで拡大し対象種も当初の3種から73種にまで増加して(平成28年8月1日現在)、沿岸漁業の漁獲量も平成27年度で1,400tを上回ったものの、まだ震災前10年平均の5.8%程度であることなどが報告されました。
また、今後の展望として、「対象種のさらなる拡大」「販売・出荷体制を再構築」「風評対策としてと “常磐もの”の魅力、美味しさの訴求」などを目指していることも強調されました。
【セミナー後半は漁業関係者が登場】
セミナーの後半では、相馬双葉地方といわき地方の漁業関係者が登場し、試験操業の現状や6次化商品の開発について語っていただきました。
【“王道の魚”ヒラメの復活に期待!】
相馬双葉漁業協同組合で試験操業の開始時から対策委員長を務める立谷寛治さんは、「ヒラメは“常磐もの”の王道の魚で、震災前は漁獲量も多かった。これが復活すれば、震災前の浜の状況にまた一歩近づく。希望の光」と力説しました。
【“浜のかあちゃん”が6次化商品を開発】
水揚げされた魚介類を仕分けしたり魚市場でセリにかけたりするのは漁師の妻など“浜のかあちゃん”の仕事で、このような女性たちは沿岸漁業にとってなくてはならない存在です。そして、相馬双葉漁業協同組合 女性部相馬支部 部長の佐藤靖子さんと、女性部鹿島支部 部長の桑折澄子さんは、各支部でそんな“浜のかあちゃん”たちのまとめ役として活躍しています。
佐藤さんの相馬支部では、現在、6次化商品として「イカメンチ」と「タコのやわらか煮」を開発中です。「イカもタコも季節を問わずとれるが、小さいと安値で取引されるので、付加価値をつけて少しでも浜を潤したい」と語っていただきました。
一方、桑折さんの鹿島支部では、“浜のかあちゃん”の家庭料理にヒントを得て「ツブの生姜煮」を開発しました。こちらは既に商品化されていて、好評を博しています。「このような商品を通じて元気な福島の様子を伝えたいですね」(桑折さん)
【現役漁師からみた試験操業の現状】
続いて登壇したのは、いわき市漁業協同組合に所属する第八恵比須丸の鈴木二三男さん、第三仁洋丸の鈴木健さん(ともに底びき網現役漁師)、そして、福島県鮑雲丹増殖協議会の吉田康男さん(採貝藻漁業現役漁師)です。
鈴木二三男さんは、子供の頃から船に乗るのが大好きで親の後を継いだという根っからの漁師です。「試験操業で、出漁回数も増えてきて、最近ようやく震災前の姿に戻りつつあると実感している。本操業が待ち遠しい」と今の心境を語りました。
また、鈴木健さんは、お父さんが現役の船長で、子供の頃からその背中を見て育ってきました。「最近は、父も少しずつ漁を任せてくれるようになってきた。試験操業期間中で毎日漁に出られない分、気持ち的には余裕があって、覚えるにはいい時期」とのことです。
震災前から採貝藻漁業を営んできた吉田さんは、「いわきの海は、ウニやアワビが本当によく育つ漁場で、潜るたびに嬉しさが実感できた」といいます。もともと、福島県のウニ、アワビ漁は栽培漁業として行われていました。しかし、被災した県の種苗センターがまだ復旧していないため、「稚貝の手配がまだ思うようにできないことが課題」と現状を報告しました。
【流通関係者・料理人に聞く“常磐もの”の魅力】
セミナーでは、松川浦漁港で旅館と食堂を営むとともに、鮮魚卸や魚介類などの土産物販売を行っている「齋春」で料理長をつとめる冨澤義文さんが語る“常磐もの”の魅力を、ビデオレターで紹介しました。 相馬の海は“海産物の宝庫”で、ここで水揚げされるものは、味が良すぎて言葉では説明できないほどで、地元のプロの料理人からも、一般のお客様からも大きな評価を得ている。特に、ヒラメは、修業時代から使っていた魚で思い入れも深いとの、復活を待ち望む声が届けられました。
【郷土料理や6次化商品で、“常磐もの”のおいしさを堪能】
セミナーでの座学が終了した後に、試験操業で水揚げされた魚介類を使用した郷土料理や6次化商品が会場内で提供され、報道関係者に“常磐もの”の魅力をご堪能いただきました。
この日、提供された郷土料理と6次化商品。左上から「どんこの肝つみれ汁※」「ホッキ飯」、下プレート左から「ウニの貝焼き」「イナダの漬魚」「イカメンチ」「ツブの生姜煮」
※船中のまかない食として、もともとは作られていたが、どんこ(エゾイソアイナメ)の出荷制限等指示がまだ解除されていないため(平成28年8月1日現在)、他県産のものを原材料として使用
【発行】福島県
福島県HP:http://wwwcms.pref.fukushima.jp
「ふくしま 新発売。」HP:http://www.new-fukushima.jp/
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