超高齢化社会に突入する日本。公的介護保障だけでは不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
民間の介護保険に加入する際は、いざという時に保険が役に立つよう、きちんと支払要件を確認しておくことが大切です。
支払要件は、大きく3種類に分けることができます。それぞれの特徴を解説します。
タイプ1. 公的要介護度連動型
最もシンプルでわかりやすいのが、公的要介護度の認定に応じて年金や一時金が支払われるタイプです。
公的介護保険制度では、要支援1~2の2段階、要介護1~5の5段階に分類され、それぞれの段階に合わせたサービスを受けることができます。
商品によって異なりますが、要介護2以上を支払要件として定めている商品が多いようです。
要介護3や4が条件となっている保険は、支払基準が少し厳しいと言えるかもしれません。
請求するときは、要介護認定の結果について記載された介護保険被保険者証の写しを保険会社に提出します。
タイプ2. 保険会社独自の基準がある保険会社独自型
約款に定める所定の状態になった場合に支払われるタイプです。
こちらは、要介護度に関係なく、所定の状態に該当すると保険会社が判断した場合に年金や一時金を受け取ることができます。
このタイプの保険では、請求に際して保険会社所定の医師の診断書が必要となります。
よくある所定の状態には、以下のようなものがあります。
寝たきりによる要介護状態
次の(A)、(B)両方を満たす状態が180日以上継続していること
(A) ベッド周辺の歩行が自分ではできないこと
(B) つぎの(1)~(4)のうち2項目以上が自分ではできないこと
(1) 衣服の着脱
(2) 入浴
(3) 食物の摂取
(4) 大小便の排泄後の拭き取り始末
認知症(痴ほう)による要介護状態
次の(A)、(B)両方を満たす状態が90日以上継続していること
(A) 「痴ほう」と診断確定されていること
(B) 次の見当識障害(※)のいずれかがあること
(1) 時間の見当識障害
(2) 場所の見当識障害
(3) 人物の見当識障害
※見当識障害とは、自分の置かれている状況を認識できなくなることです。
保険会社独自型の場合、「所定の状態になってから◯日以上経過していること」という条件があるのが特徴です。
ですので、要介護状態になってもすぐには請求できないことに留意してください。
タイプ3. 公的要介護度一部連動型
公的要介護度連動型と保険会社独自型、両方の特徴を兼ね備えたタイプです。
よくあるのは、「公的要介護認定を受けてから◯日継続していること」といった条件です。
まとめ
介護保険の支払要件の違いは極めて重要です。
公的要介護度連動型は、一見シンプルでわかりやすく、請求書類を揃えるのも容易ですが、公的介護保険制度に変更が加えられた場合の対応は未知数です。
どのタイプにも一長一短があることを理解した上で、どの介護保険に加入するかを慎重に決定しましょう。(執筆者:近藤 あやこ)