本当に「マイナンバーで副業をしていることが勤務先にバレる」のか?
今年の確定申告が終わり、マイナンバーをもとに各部署に保管されている個人情報の紐付けが実施されています。
そこで、「マイナンバーで副業をしていることが勤務先にバレる」と心配する証言が得られたのをきっかけに、総務省にマイナンバーの管理体制について問い合わせました。
総務省の担当者とのやり取りした内容をベースにマイナンバー制度の実態を紹介します。
マイナンバーの役割と個人情報の管理方法
結論から申し上げます。マイナンバーは個人情報というボックスの鍵の役割を果たします。
個人情報に鍵がかけられているため、国や地方自治体の職員なら誰でも自由に個人情報を入手できるわけではありません。
個人情報の管理は昔と同じ
役所のことを「縦割り行政」と比喩するように、昔から個人情報を各部署で分割管理していました。
たとえば、同じ市役所でも個人の国民健康保険と住民税について管理する部署は異なります。
そのため、市役所課税課の職員が国民健康保険をキチンと納めているかどうかの情報は入手できない仕組みです。
それはマイナンバー制度が導入されてからも全く同じです。
マイナンバーを管理する市役所情報推進課の職員が、番号を用いて課税課や税務署に個人の年収を照会しても、相手は一切教えてくれません。
情報推進課に「年収を把握しなければならない」理由がないからです。
要するに個人情報はひとつの部署による一元管理ではなく、各部署で分割管理されています。
マイナンバーのデータ送信は暗号化されている
「オンラインでマイナンバーのやり取りをするときは暗号化される」と総務省の担当者が言っていました。
具体的には、個人が所得税、会社が従業員の住民税を電子申告するときなどが該当します。万が一、通信傍受されたときのリスクヘッジが目的です。
マイナンバーの漏えいにより刑務所行きもあり得る
マイナンバー制度の導入に伴い、罰則が強化されました。マイナンバーの漏えいに対しては窃盗犯などと同じように刑事罰が課せられます。
実刑(執行猶予なし = 刑務所へ収監)をも辞さないというスタンスが見えてきます。最高刑は懲役4年であり、執行猶予が付けられる最高ラインの懲役3年を超えているからです。
罰則の対象は国や地方自治体の職員にとどまらず、一般市民も含まれます。
個人情報の管理を厳重にする理由
理由は簡単。実際に起こり得ると想定しているからです。
すでに導入しているアメリカや韓国では他人のマイナンバーを悪用する犯罪が社会問題になっています。
犯人が本人になりすまし、還付金詐欺やクレジットカードを勝手に作成した事例が報告されています。総務省の担当者も「情報漏えい対策は100%ではない」と言っていました。
マイナンバーは安易に人に教えないこと
国や地方自治体の職員でさえ、マイナンバーで必要最小限の個人情報しか照会できない仕組みになっています。
だが、個人情報の漏えい対策は万全の域まで達していません。よって、マイナンバーが悪用されるリスクに備える必要があります。
現段階では、身分証明書の提示に「個人番号カード」を使用しないことなど、安易に人に教えないことがマイナンバーよって個人情報の漏えいを防止する自衛策です。(執筆者:阿部 正仁)