今週末にフランス大統領選挙を控え、市場参加者はその動向に注目しそのポジションを縮小しようとしています。
そのような中、アメリカではトランプ大統領が地政学リスクを醸成し、そしてオバマケア改革法案、減税プランを発表しようとしていることで、マーケットは楽観と悲観の両極端が存在している状態になります。
今回の話は、マーケットはどこを目指しているのか、という話をしていこうと思います。
フランス大統領選挙の笑止!
昨年、行われたアメリカ大統領選挙で、メディアの世論調査ではヒラリー・クリントン圧倒的有利と報道されましたが、結果はトランプ氏の圧勝でした。
この結果からわかったことは今のメディアの世論調査などはあてにできないということです。
しかし、今回のフランス大統領選挙ではまたもや、世論調査をもとに相場動向や当選者予想を出し始めています。
昨年11月に起こったことはトランプ氏勝利でマーケットは「もしトラリスク」なんて訳のわからないリスクによってマーケットが暴落すると喧伝されました。
しかし現実は、ヒラリーも勝利せずに、トランプが当選しても、マーケットは暴落せず、何もかもメディアのいうことの逆になったことを皆さんお忘れのようです。
今回のフランス大統領選挙は、ルペン氏が当選しても、暴落予想なのですが、そもそも、トランプ氏が当選してなぜ、マーケットが上昇したのかの分析も終わっていないのです。
昨年、私たちが学んだことは、メディアの世論調査なんてあてにできない、ということだけです。
結果を受けてからマーケットに参戦することが一番、大事なのではないか? ということです。
トランプ氏当選の意味
今年の春のヨーロッパの選挙はトランプ氏のような方が、トランプ氏自身が当選するだろう、と予測したのは別に驚くに値するものではありません。
トランプ氏は今の資本主義に限界を感じていることは間違いないことだろうと個人的には思います。
その資本主義の限界とは、高額な報酬を手にする傲慢な経営者たちの増加だと思います。
確かに世界の景気は拡大をしていますが、でも、実際にあなたの生活自体は楽になったのか? ということにあります。
その拡大した部分をみな、経営者や株主がもっていっているから過半の人にその富が回ってこないと考えるのが自然なことです。
こういった、異端児の候補を一般の有権者が応援をするのは、景気はよくなっていると政府は喧伝するけれども一向に自分たちの生活がよくならない、ということが移民の排斥運動につながっていると思います。
移民を受け入れれば税金が高くなり、より一層自分たちの生活が脅かさられると誰でも考えることでしょう。
トランプ支持者たちも大っぴらにトランプ支持ということができないのが世論調査の間違いの発端であり、フランスでも同じことが起こる可能性が十二分にあります。
異端児が当選をした場合
確かに、私たちは歴史教育によって、移民や貧困層の差別がよくない、と教えられてきました。
移民を排斥するとか、差別をするということがいけない、ということがわかっていますので、その候補の支持には、抵抗を覚えます。
世論調査でもその移民排斥や差別を訴える候補者を支持しているとは言えないと思います。でも、実際の投票行動は違うのです。
ですから、異端児がまた勝利をする可能性はあります。
異端児が当選した場合
すぐにはそのような排斥や差別はできません。でも、その当選者たちはいつか気づくはずです。
民衆が、国は豊かになっているのに、なぜその生活は豊かにならないのか、それは、強欲な経営者や株主に配分されてしまっているからだ、ということに。
ほんのわずかな、一握りの金持ちに稼いだ富の配分をするよりも、みなに配分をするほうが、国は豊かになるのはだれにでもわかる話です。
ですから、今回の選挙にて、排斥、差別主義者が当選をしたとしても、株価や為替相場は上昇するでしょう。
現在の資本主義、自由主義は、移民への排斥、差別運動ではなく最終的には強欲な経営者や株主を追い出す、過渡期と考えれば、株価上昇への布石と考えるのが通常でしょう。
逆に今までのような自由や人権を標ぼうした候補が当選することは、世界経済の停滞を意味することになるでしょう。
結論
フランス大統領選挙は、だれが当選するかはわからない、でも、既存の候補者当選ではマーケットは極端には楽観的にはならないということです。
しかし、移民の排斥や差別を訴える候補というのは最終的に、一人で使いきれないほどのお金を稼ぐ富裕層を追い出す政策を行いますので、金融マーケットは既存の候補者以上に楽観的なマーケットを醸成するでしょう。(執筆者:角野 實)