タワーマンションに関する固定資産税、不動産取得税の税額計算の方法が平成29年度の税制改正により見直されました。
タワーマンション購入による相続税対策にも一定の影響が出るようです。
改正前の課税方法と問題点
改正前においては、タワーマンションの固定資産税、不動産取得税の額は低層階と高層階で計算方法は同一でした。
タワーマンションの場合、高層階の部屋の方が取引価格は高くなるにも関わらずその差が税額計算に反映されないため、高層階の部屋を取得した場合については、税金上は割安であると考えられていました。
改正内容
居住用超高層建築物(高さ60m以上)については、階を増すごとに評価額が高くなります。
具体的には1階ごとに0.26%程度ずつ高くなります。1階に比べると50階の評価額は13%程度高くなるということになります。
また、天井の高さや付帯設備の程度について著しい差がある場合は、それに応じて補正も行われます。
適用される時期
平成30年度から新たに課税される居住用超高層建築物のうち、平成29年4月1日以降に売買契約が締結されたものが改正内容の適用を受けます。
基本的にこれから完成し、売買されるタワーマンションは全て適用されると考えて下さい。
相続税対策に影響も
タワーマンションに限らず、固定資産税の評価額は一般的な取引価格よりも安くなる傾向にあります。
さらにタワーマンションの場合は高層階と低層階でその差が大きくなります。
この一般的な取引価格と評価額の差を利用したタワーマンションを取得することによる相続税対策がこれまで盛んに行われてきました。
保有する現預金を購入対価に充てる、あるいはローンを組んでタワーマンションを購入することにより相続税が安くなるという仕組みです。
物件によっては評価額が時価の半分以下になる場合もあり、非常に効果の大きい相続税対策であると言われています。
今回の改正により一般的な取引価格と評価額との差額は縮まることとなり、相続税対策としての効果は若干下がりました。
まとめ
今回の税制改正では固定資産税や不動産取得税といった地方税の改正が行われました。
今後、タワーマンションの課税をめぐってさらなる改正が行われる可能性もあります。
相続税対策、あるいは収益物件としてタワーマンションの取得を検討している方は今回の税制改正を理解するとともに、将来的な取引相場や税制改正のリスクも慎重に見極めたうえで購入するかどうか判断するべきではないでしょうか。(執筆者:高垣 英紀)