ゴールデンウィークもだんだん近づいており、旅行の計画を立てられてる方もたくさんおみえではないでしょうか。
昨年2016年のゴールデンウィークには、約55万人もの方々が海外旅行をされています。
しかし、海外旅行時は、いつもの生活と環境が違うので、体調を崩す方もいらっしゃると思います。しかし、海外の病院では「健康保険証」を使用することはできません。
そこで、海外旅行時に海外の病院にかかった場合の「健康保険制度からの給付」について取り上げたいと思います。
「海外療養費」
海外で病院にかかった場合の治療代は、健康保険から「海外療養費」として給付されます。
この「海外療養費制度」は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で治療等を受けたとき、申請手続きをすることにより一部医療費の払戻しを受けることができる制度です。
「海外療養費」の支給金額
海外療養費は、日本国内で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(患者負担分:原則3割)を差し引いた額を支給します。
日本と海外での医療体制や治療方法などが異なることがあるので、日本国内で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費と異なる場合があります。
そのため、海外で実際に支払った治療費から自己負担相当額(原則3割)を差し引いた額よりも、支給金額(海外療養費)が大幅に少なくなることがあります。
「算定額」が海外で実際に支払った額(日本円に換算された額)を下回る場合
「算定額」とは日本国内で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額のことです。
「算定額」から自己負担分(原則3割)を控除した額が払い戻されます。
例)海外で実際に支払った治療費15万円、「算定額」12万の場合
海外で実際に支払った治療費 … 15万円
算定額(日本での医療費に換算された額) … 12万円
海外療養費 … 12万円×70%=8万円
自己負担分 … 15万円-8万円=7万円
外貨で支払われた治療費などについては、支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いられ、「日本円」に換算して支給金額(海外療養費)が算出されます。
海外療養費の給付範囲
海外療養費の給付の対象となるのは、日本国内で健康保険が適用される医療行為に限られます。
そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で健康保険適用外となっている医療行為や薬などについては、給付の対象とはなりません。
また、治療などが目的で海外へ渡航し治療を受けた場合は支給対象となりませんので注意が必要です。
海外療養費の申請手続き
海外療養費の申請については、以下の流れで手続きを行います。
1. 「療養費支給申請書」及び必要な添付書類などを準備
2. 申請書などを保険者(全国健康保険協会又は健康保険組合など)へ申請
3. 保険者が審査し、審査結果が通知される
また、歯科と歯科以外の医科では書類が多少異なります。
下記表は、全国健康保険協会に申請する場合の書類となります。また、健康保険組合に加入の方については、各健康保険組合にご確認ください。
注意点など
1. 日本語訳は、翻訳者の住所・氏名・連絡先を記載し、押印する必要があります。
2. 療養費支給申請書及び様式A~Cは、各保険者のHPからダウンロードか、電話にて送付してもらうことができます。
3. 時効により、海外で治療費の支払いをした日の翌日から2年を経過すると、申請ができません。
4. 海外療養費は海外へ直接送金はできません。(国内の金融機関の口座のみとなります。)
5. 事業主や日本に在住のご家族に受け取りなどを委任して手続きを行うこともできます。
「海外療養費」の申請を忘れずに…
海外で治療を受けた際には、海外療養費の申請を忘れずにしましょう。
海外で医療費の支払いをした日の翌日から数えて2年を経過すると、時効により申請ができなくなりますので、ご注意ください。(執筆者:高橋 豊)