銀行預金の利子は利子所得にあたりますが、税金が引かれて入金されます。
これは源泉分離課税の所得で、わざわざ申告することはありません。ただ、国外銀行からの預金利子のように総合課税の利子所得もあります。
利子に関しては、平成28年分から公社債の利子などが申告対象となりました。
公社債等に関しては、売って利益を得た場合にも課税対象となりました。
変更点
MRF・MMFなど(公社債投資信託)や公社債の譲渡益は、平成27年分までは非課税でした。
また公社債の利子や公社債投資信託の分配金は、銀行預金の利子と同様に所得税15.315%・住民税5%の源泉分離課税で、申告することはありませんでした。
平成28年分からは「金融所得課税の一体化」という名分で、下記に該当する「特定公社債等」の利子・分配金・売却益・償還益は所得税15.315%・住民税5%の申告分離課税となりました。
・ 地方債
・ 外国債
・ 公募公社債
・ 上場公社債
・ 公募公社債投資信託(MRFやMMFなど)etc
上の画像は平成28年分の「特定口座年間報告書」の様式ですが、(10)~(15)が新たに加わり申告対象となった利子・配当所得となります。
(10) 公社債
(11) 社債的受益権
(12) 投資信託又は特定受益証券発行信託( (13) 及び(14)以外) )
(13) オープン型証券投資信託
(14) 国外公社債等又は国外投資信託等
(15) 合計( (10)+(11)+(12)+(13)+(14) )
少額であることが多いMMF・MRFの分配金も平成28年分より表記されるようになりました。
また、上記の利子・分配金・譲渡損益・償還損益は、上場株式等の譲渡損益と損益通算(相殺)することもできるようになりました。
基本は上場株の扱いと同じに
・ 一般口座
における特定公社債等の売却益・償還益は、これらの口座における上場株の売却益と同様に申告しなければいけません。
特定口座(源泉徴収有り)の場合は、申告不要制度を活用できます。
利子と上場株配当との違い
特定公社債等の利子や分配金については、上場株の配当と違う部分もありますので注意が必要です。
上場株の配当に関しては、
・ 申告分離課税
・ 総合課税
のいずれかを選択することができます。
総合課税では配当控除という税額控除があるので、総合課税の税率が低い場合は、税額をかなり下げることも可能です。
しかし特定公社債の利子・分配金に関しては、
・ 申告分離課税
のいずれかを選択するため、「総合課税」は選択できず配当控除のような特典が受けられない点は注意してください。
ただそのことで、申告方法は比較的すっきりします。
上場株式等や上記の特定公社債に関して譲渡損失があれば、利子を申告することで還付を見込めます。
損失のあるなしに関わらず所得を押し上げるのが嫌であれば、申告不要制度を活用すればいいわけです。(執筆者:石谷 彰彦)