それとも賃貸に住み続けるほうが得なのか
この問題はまさに永遠のテーマ。ことあるごとに議論が繰り返されます。
この問題は、とかくお金の面にのみ注目して議論されがちですが、それ以外の側面からも考えてみようと思います。
あなたは賃貸派? それとも購入派?
マイホームは賃貸派かそれとも購入派か街で意見を聞いてみると、案の定、結果は真っ二つ。
賃貸派と購入派できれいに分かれました。賃貸派は「購入したらずっと同じ場所に続けることになり、移動の自由が制限される」という意見が大半でした。
一方の購入派の意見は次のようになります。
・ 庭でバーベキューができる
・ 自由にリフォームできる
・ 毎月家賃を支払うのが苦痛
賃貸派の意見はほぼ同じ内容に集約されるのに対して、購入派の意見はバラエティーに富んでいることが意外に感じませんか。
購入派には、多様でポジティブ意見が多いというのがポイントになります。
コストを比較すると
1,000万円の家に10年間住む場合のコストを、購入した場合と借りた場合に分けて考えてみます。
平等な条件で比較するため、対象となる物件は同一と考えます。
購入して10年間住んだ場合のコスト
まず、購入して住んだ場合のコストについて考えてみましょう。その場合に掛かるコストを次に挙げます。
・ ローン金利
・ 仲介手数料
・ 固定資産税
・ 修繕費
購入費以外の費用の総額を300万円と仮定すると、10年間で掛かる費用は1,300万円ということになります。
また、家を購入した場合は売却することもできます。
売却額を600万円と仮定すると、掛かる費用から売却額を引いた700万円が10年間に掛かるコストということになります。
10年間賃借して住み続けた場合のコスト
次に、10年間賃借して住み続けた場合のコストについて考えてみましょう。
同じ家に同じ期間住むわけですから、賃借して住んだ場合に掛かるコストも基本的には購入した場合と同じ700万円ということになります。
ところが、賃貸物件に住んだ場合、他にもコストが掛かってきます。何だと思いますか?
管理人や管理会社を委託する際の手数料は、家賃に上乗せされて入居者に請求されます。
また家賃は大家の収入になりますので、その収入に対して所得税が課せられることに。
そのため大家が家賃所得を期待通りに得ようとすると、所得税分は家賃に上乗せされることになります。つまり、大家が支払うべき所得税も入居者が負担することになるのです。
これらは経済学を元にした試算ですので実際とは多少異なる面もありますが、コスト面だけを考えると賃貸よりも購入した方が得といえそうです。
家を建てる意味って?
将来転売することを視野に入れて家を購入する人がいる一方で、ずっと住み続けて家を使い込んでいこうと考える人もいます。
後者の人にとっては、むしろ金銭的な価値などはどうでもよいのです。そういう人は、「自分の幸福度をいかに上げられること」に家の価値を見出しているのです。
趣味のためだけの部屋を持ったり、自分好みにリフォームしたりする変化を毎日の生活に取り入れることで、人間の幸福度は上がるといわれています。
ところが、賃貸物件ではそうした変化をなかなか味わうことができません。
もちろん引越しで変化を付けることはできますが、そう頻繁に引っ越すこともできません。
私的価値に重きを置いて得られる幸福度がある
ある調査によると、1万円払って得た経験とモノから得られる幸福度を比較したところ、経験から得られる幸福度の方が高いという結果が出たそうです。
つまり、家を建てる、自分オリジナルの空間を設ける、その空間で趣味に没頭するなどの経験が、生活をより豊かにするというのです。
私も含めて転売を目的とした共通価値を基準に自宅を購入する人は多いと思います。
その一方で、私的価値に重きを置いた一生モノの家を購入することも一つの選択肢だと実感しました。(執筆者:内田 陽一)